[モンハンNOW]│亜種をたずねて約三里
モンスターを倒すための装備のための素材のためのモンスターを探すゲーム『モンハンNOW』。
今日の職場は沼地だった。当然ディアブロス亜種は湧かないので、昼食ついでに付近の砂漠を散策することにした。
しかしそう簡単に見付かるものでもない。ダメで元々、散歩をしながら小ゼニー稼ぎをできれば良いやくらいの気持ちで特に用事のないモンスターたちを射抜きつつ歩いていた。そんな投げやりな気持ちで臨んだ散歩ではあったが、画面の端にチラリと見えた見慣れぬ黒い影を私の目は見逃さなかった。間違いない、ヤツだ。
昼食を終えたサラリーメンが往来するオフィス街を私は鼻息荒く突き進んだ。特に急ぐ必要もないのに競歩の如き様相で、ヤツの待つビルへと辿り着く。まずは周辺の用無し系モンスターを蹴散らし、露払いと前菜を同時に済ませた。こういうのには順序というものがあるのだ(そうか…?)。
「ではでは…」と改めて黒い影を見直す。やはり間違いない。どこへ出しても恥ずかしくない、まごうこと無きディアブロス亜種である。それも★6と手頃なサイズだ。いざメインディッシュに取り掛かろうというところで、左下に表示が灯る。「一狩り行こうぜ!」と。
こんな時に何だね?と私は少々ムッとしながらその内容を確認すると、ターゲットは今まさに取り掛かろうとしていたディアブロス亜種の★6であった。こういう縁起物(?)は独りで樂しむよりも皆で共有する方が良い。例えそれがどこの馬の骨とも知れないサラリーメンであっても、きっと思いは同じだから…。
そんな気持ちの悪いことを考えていたかどうかは覚えていないが、とにかく私はその輪に混ぜて貰うことにした。そこには私よりも遥かにハンターランクの高い猛者が待ち受けており、私は久々に甘美な感覚に囚われた。そう、寄生できるのだ。
いざ討伐開始となったわけだが、私も一応はそれなりに闘った。しかしその注意力や判断力は、ソロの時よりも数段劣るものになっていただろう。何せ味方は強いのだ。圧倒的に。多分何もしなくても倒してくれるのだ。あぁ…これが、寄生…ッ!
そして討伐は完了した。
報酬にこそ恵まれなかったが、それでも充分に楽しめた。満足した私は、後ろ髪惹かれる思いでゆったりとその場を後にした。
名も知らぬハンター達(実際名前は全く覚えて無い)よ、甘いひと時をありがとう。
仕事帰りに秋葉原へ寄る用事があったので、少しだけ遊んでみた。
黒ディアどころかロクなモンスターが居なかった。しかしひっきりなしに灯る「一狩り行こうぜ!」は堪能できたし、例え見知らぬ誰かとの共闘であったとしても、やはりこのゲームはマルチプレイしてこそのゲームかもなと改めて思った。
黒ディアのことは一旦忘れて、多くのハンターと時間を共有できた。今日のところはそれだけで充分じゃないか。