子供達のゲーム
保育園から帰った子供達は、基本的にすぐハラヘリモンスターと化してしまう。そうなれば夕食の支度にも支障をきたし、モンスターはより強力になる。しかし今日は妻の帰りが遅くなる予定だったので、何とか魔をもたせる必要があった。
そんな事情を全く知らないモンスター予備軍達は、定期的に様子を見ないとすぐケンカを始めてしまう。何しろお互いに空腹で気が立っているのだ。短気なんてもんじゃない。
だから私はスープの準備を10分したら5分間相手をし、次の10分で材料を切ったらまた相手をするというようなことを繰り返さなければならない。
そして今日、最初の10分は「どうぶつしょうぎ」で対局していた。上の子でさえルールの把握ができているかどうか怪しいのに、どうしてこのタイトルを選んでしまったのか。案の定すぐに揉め始め、様子を見に行けば盤面は緊迫した状況だった。
それもその筈、下の子はドレが自分の駒なのかすら理解していないのだ。勝利条件も何もわからず、ただ闇雲に駒を動かしているだけであって、それを「違う」と指摘されても意味不明なのだ。
本来ならば相手の陣地へライオンが到達している下の子の勝利なのだが、そのまま暫く勝負(?)は続いていた。どうやら上の子が勝ったらしいが、その時点でルールなんて有って無いようなものだ。
再び揉める前に、もっとわかりやすくて簡単なゲームを提案すべく、私は再びふたりの元へ向かった。私が提案したのはチンチロリンである。
と言っても何かを賭けたり奪い合ったりするわけではなく、ただ単にサイコロを振って出目で勝負するだけのものである。それだけではあまりにもつまらないだろうから、多少わかりやすい役は教えた。何にせよ対等な勝負が可能な筈だ。
これに子供達は大変盛り上がり、後の20分を平和に過ごしてくれた。途中からはトミカや小さいオモチャを賞品にして勝負し始め、結局本来のチンチロリンに近いリアルな遊びへ発展していた。やはりこれは人間のサガなのだろうか。
やがてそれにも飽きて純粋にトミカで遊びだし、我が家の夕食は無事に完成へと至ったのであった。