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[カメラ遍歴 2] Nikon F イカついカメラ
ワタシが使った最初の一眼レフカメラ、Nikon Fを紹介します。
序章 Nikon Fとの出会い
前回のRollei 35S編では、ローライを使うことによって露出を学べたことを書きました。
しかしビルトインとはいえ、平均測光気味の外部露出計を読みこなすのは初心者だったワタシにはかなり難しく、出来上がった写真を見てがっかりすることがよくありました。
前述の先輩と話しているうちに、父の持っているでかいカメラはNikon Fで、これもまた歴史に名を刻むものであることを知りました。
最近使っているところを見なかったので、父に頼んでローライに続き使わせてもらえました。
Fとは言ってもフォトミックFTNファインダー付きで、見た目はあまりかっこいいと思わないけど、TTL測光であることが何よりも感激でした。
時は20世紀末でニコンのフラッグシップはすでにF5だったが、最先端のカメラよりこっちの方が断然楽しいと思っていました。
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フィルターで写真を作る
一眼レフのファインダーは、レンズを通した景色をそのまま撮ることができる。
ピントリングを回すと霧が晴れるかのように鮮明な景色が現れる。
そんな今では当たりまえのようなことも、目測でピント合わせをしていたローライを使っていた人間には感動だった。
なかなかの使いこみ具合のカメラだったが、ピントを追い込む楽しさを早くも教えてくれた。
レンズを通した景色が見えるということは、フィルターを通した景色も見れるということだった。
ワンダーフォーゲル部員で山の写真を撮る者として、PLフィルターの効果を確認できることは必須の要件だった。
また、PLフィルターによって数段露出が変わるが、TTL測光のおかげで露出補正を考えずにファインダー内の露出計をもとに決定することができた。
渓流や滝をスローシャッターで撮るためにNDフィルターも使ったが、そのときの露出も同じように気にしなくていいことはすごく大きなことだった。
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とことん使った
大学を卒業してからもしばらく使ってたので、6年くらい使っただろうか。
自分自身の写真の教科書である。
ポジフィルムを主に使っていたが、露出を外すことはほとんどなかった。
夏の長期合宿で撮った大キレットの稜線、冬山山行で撮った白馬岳のモルゲンロート、穂高岳山荘の夏バイトの思い出も全てこのカメラで撮った。
今改めて手に取ってみると、よくこんな重たいカメラを首から下げて登ってたもんだ・・・
一度シャッターが切れなくなって修理したけど、それ以外の故障はなかった。
今は露出計は動いていないものの、カメラとしての機能は全く問題ない。
電気的な部品を介さずに全ての機能が動く機械式のカメラ。未来技術遺産に相応しい。
フォトミックファインダーがあまりにイカつくて、何度も中古の三角のアイレベルファインダーを買おうかと思ったけど、うちのこのカメラはこれでいいような気がしてきた。
物心がついたときにはもうここにあったイカついカメラ。これがうちのカメラだ。
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造形が美しい