曲E 想う朝:音楽家族の音痴な子(エッセイ)
修正しました:2021年8月30日
最近、noteにはまっている。文字で書けば、声を出さなくても、気持ちが伝えられるからだ。
#曲に物語を か。
おもしろそうな企画を見付けた。PJさんという方の作った5つの曲A~Eへ、物語をつけるという企画だった。
早速、曲Aに作詞をして、参加してみた。曲Aは素敵な曲で、大好きな星の歌詞をつけてみた。『あの宇宙(そら)へ』PJさんはその歌詞を素敵な歌声で歌ってくれた。
すごい! 楽しい。
調子にのって、曲Bに青春の歌詞をつけて、また歌ってもらった。『ぼくらの未来へ』
すごいなぁ!
と。記事を読んでいくと、
『よねちゃんさんありがとうございます!!
今度は是非、歌声も送ってくださいねー😊😊』
とあった。歌声……? それはちょっと。実は私、音痴なんです。歌えません。と、コメントしようと思った。なのに、つい。
『歌声、音痴ですが検討します。』
なんて書いてしまった。私のバカ。
とりあえず、後で謝ろうと思う。本当に、音痴なのに申し訳ない……。
次は曲Eにしよう。朝の風景が浮かぶな。今日は休日だし、朝散歩に行こう。
虫の音、蝉の声。やっぱり朝はいいなぁ。空は遠くて。ふと、母と父の顔が浮かんだ。
*。*。*。
幼い頃。うちは音楽家族だった。父はミュージシャン。母は芸術系の仕事をしていて、絶対音感でこそないが、音楽の耳のセンスは素晴らしかった。たしか楽器の部屋があったのを覚えている。うずたかく楽器や機械が積まれている部屋だった。
生まれた子は、きっと素晴らしい芸術や音楽の才能を持っているだろう。と、きっと思ったことだろう。
なのに、娘の私は、音痴だった。
私が鼻歌を歌うと、ちょっとそこ、フラット(半音下がっている)ね! と、機嫌を損ねさせてしまう。どうやら、私は音痴らしい。幼い心にそう思った。だけど、鼻歌は歌いたい。
そこで、音を大きく外すことにした。そうすると、笑ってくれたからだった。音痴ねぇ。と言って笑ってくれた。
私は音痴よ。ぜひ笑ってください。と。そうして、音を外した鼻歌をいつも歌った。
そして、音痴なまま、大きくなっていった。また、声を発することにはコンプレックスもあって。
(思春期には、合唱コンクールを口パクして怒られたなぁ。放送委員では、変な声で放送してもらいたくないな、と言われたなぁ。親戚の集まりでは、声を出すのがこわくて、ずっと黙っていたら叱られて。社会へ出てからも、小さい声でお客さんへ声が聞こえないよ! と、どやされたこともあった。)
まあ、他にも色々とあったが、それでも頑張って過ごしてこれたのは、家族のおかげにちがいない。母は、温かく育ててくれた。一緒に住めなかった父も、会うといつも優しかった。本当にもう頭が上がらない。ありがとうございます。です。
時は流れ、結婚をして、家を出て。そして。コロナが流行り出した。
もう、母とは数ヶ月前にポツリと会ったきりだった。父とはもう2年以上会っていなかった。
noteは見てくれているようで、たまにメールで感想が来る。noteで書くと、声を出さなくても気持ちが伝えられるので、大変有難いと思う。
……と、そんなこともあった。
*。*。*。
元気かな。
虫の音、蝉の声に包まれて。朝の遠い空を見上げると、母と父の笑顔が見えた気がした。
曲Eの、歌詞ができた。
『想うの朝/よねちゃん』
もしもし……君はごきげんはいかが
朝の香を吸って 夏と秋の間で
草むらで虫たち リリリリリリリ……
遠くから蝉が ミーンミーンミーン……
見上げれば 青い空
遠く浮かぶのは 君の笑顔です
もしもし……君は今何を想うの
……(おはよう)
少し考え、最後に付け足した。
(コロナ等でなかなか会えない母と、めったに会わない父に、贈りたいです。)
そして、なんだか歌いたくなった。つい。歌ってしまった。音痴なのに。
一応、何回か練習をした。洗濯機の前で。もちろん音は外さないように気をつけた。(外してしまったけれども)
PJさんにお手数をおかけしながら、MIXしてもらった。ついに完成! もう感謝しかない。(外してしまった音も直してもらえてた)
なんだかとっても嬉しかった。
メールで母と父におそるおそる連絡をしてみる。怒られるかな……。あ、母だ。
母:『聞きました、コメントは土日に』
土日に? えっと土日に……叱られるかな……。おそらく叱られると思う。
あ、父からもメールがきた。
父:『良い歌いかただね。もっと歌えば上手くなるよ。また電話する』
ああ、優しい、けど練習が足りないとすぐに見抜いたみたい。とはいえ、ひとまず安心した。また電話で話せると嬉しいな。と思った。
ちなみに、主人は。
主人:『そうとう直された? なはは! うん、頑張ったね!』
とのことだった。(そうかも。でもありがとうございます。と思った)
そして土曜日。母から電話が鳴った。感想は。
『うーん。声は良いけど、歌があんまり上手くないわね。詞も……あんまり入ってこないわ……。それと、生活の方はどうなの? 仕事は上手く行ってるの? ……(中略)……まぁ、挑戦は認めるわ。良いことよ。また、色々チャレンジしなさい。体に気をつけてね』
沢山のお小言を頂けた。とてもありがたい。多分母の愛情表現だからだ。 それに、元気そうで、とっても安心した。
まあ、とにもかくにも一安心。母も父も元気にしている様子で、とっても安心した。
#曲に物語を 。
曲E『想う朝』、私の人生の物語に、感謝と安心と笑顔を添えてくれた。久しぶりに母と父に連絡できてとても良かった。
曲とはその中に、人生の物語の種を育てる魔法を秘めている水のような、かけがえのないものなのかもしれない。
とか思った。音痴なのに。あはは。……失礼いたしました。
素敵な曲を作って企画してくださいました、PJさんに感謝です。
聴いて頂いた方々に感謝です。
笑ってくれた主人に感謝です。
そして、母と父に感謝です。
どうもありがとうございました。
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