エッセイ おじさん
エッセイ おじさん
私の主人が、おじさんにはまっている。
どういうことか。
テレビで気に入ったおじさんが出てくると、決まって私に言うのだ。
「ほら。おじさんだよ?」
本当だねー! と言うと、満足そうにニヤリと頷く。私はよくわからないまま、きっと主人はおじさんにはまっているのだろうと結論づけた。
そこで、私が町で見かけた興味深いおじさんについて、話して聞かせてあげるのだ。そうすると主人は、
「うんうん」
と、満足そうにニヤリと頷くのだ。
詳しくは、こんな話。
ちなみに私はアラフォーのにんげんであり、主人はアラフィフのお兄さんである。
そういえば、以前別のブログで、カテゴリを選ぶ必要にせまられたことがある。日記(……、アラサー、アラフォー、アラフィフ、アラカン、……)から選ぶようだった。私は強い抵抗を感じた。ヒトを年齢で分けられるのは、違う気がする。と。そのブログの運営のかたに、抗議のメッセージを送った。しかしながら、なんとも納得のいかない説明を読んだ上で、私はシブシブ、アラフォーを選んだ。どうせなら、にんげん、というカテゴリに入りたかった。年齢にこだわっているわけではないが、カテゴリに分けられると、年齢という、超えるための壁を、わざわざ作っていただいた気がして、納得いかなかった。
わが家のにんげんとお兄さんは思うのだ。
「どちらでもよろしいですよ。気にしないのが一番です」
ちなみに、私はおじんギャグが好きであるが、それは、おじんギャグの後の独特の空気感が何とも言えず、その何とも言えない感覚が、たまらなく気に入っているのだ。
そういうわけで、よく主人の前でおじんギャグを言うのだが、主人にはよくその後で言い聞かせていることがある。
「これは、会社で言わないほうが良いですよ」
なぜならば、おじんギャグは私以外の人にとっては、寒いものであるそうだからだ。確かに、私が気に入っているのは、おじんギャグの後の独特の空気感であり、おじんギャグそれ自体ではない。ここは間違えてはいけない。
さて、年齢についてだが、よく、
「もう年とったから」
と、同じくらいの年齢のひとのしょんぼりした言葉を聞くことがあった。えっ! と私は思った。気にする人は、気にするのだなぁ、と思った。
わが家のにんげんとお兄さんは思うのだ。
「どちらでもよろしいですよ。気にしないのが一番です」
そういうわけでして、私の主人はおじさんにはまっています。