全ての施策から学ぶ〜成功を運で終わらせないコツ〜
こんにちは。Keiya Ohashiです。
これまでは複数のIT企業で新規事業や、プロダクトのGrowthなどを行ってきております。今は製造業のマーケティング、営業活動をデジタル支援するスタートアップ「アペルザ」でPdM(事業企画)をしています。
これまでのキャリアにおいて、様々な種類のプロダクト、事業を立ち上げ、改善してきて、自分なりに繰り返し成果を出し続けるコツを得てきたと思っています。今回は、そちらについて自分なりの法則を書いて行きたと思っています。
言い換えれば,プロダクトや所属会社が変わったとしても、再現性高く成功を生み出し続けるためのコツをご紹介します。
とはいっても、おそらくGrowth施策を生み出し続けている方々にとってはごく当然なことを言っていると思いますので生暖かい目で見ていただけますと(何卒m(_ _)m)
この記事で述べること
・企画する施策一つ一つに意図/仮説を持とう
・良かった/悪かった理由を端的に説明できるようになろう
・上記要因を抽象化しよう(この施策に閉じない)
・抽象化した要因をストックしよう(チェックリスト化)
企画フェイズ
基本的には改善、Growthを行っていく際には、何かしらの課題に向けてその解決を図るパターンと、注力して向上させたいKPIをより良い値にしていく促進型のパターンとが有ると思います。
その双方のパターンのどちらでもいわゆる「ノリ」だけで企画してなんとなく良さそうということで、企画することは稀です。
例えば、立ち上げ期のプロダクトやオンラインゲームでよく重視される7daysRR(RetentionRate = 継続率)を向上させたいという時には、離脱者、継続者で行動をログベースで検証し、行動の違いを見ていくはずです。
しかしその後の実際の機能の企画に入ると、先程の行動の分析を基に、どうしても少し飛躍させて考えないといけないことが多々あります。分析はあくまで数字なので、そこから本当に最適なソリューションがどストレートに企画できるとは限らない(おそらくほぼ無い)からです。
ここは数字をベースとして整えた上で、ユーザー調査や、定性インタビュー等で顧客を知り、若干感覚的なところも含めて仮説ベースで企画をすることが大切だと思うのです。ユーザーのジャーニーに合わせて最適なコンテンツ配置だったり、報酬設計だったりを、ユーザーの心情や、使用タイミング等を踏まえて納得感のある仮説ベースで進めていくことが大事です。
定量の数字ベースの分析が欠けても、企画として昇華させる際の、感覚的なところ、仮説思考で動くところも欠けてはいけない要素だと思います。
またここで、開発チーム内で一定の仮説を共有できていることで、チーム間のコミュニケーションや、実装、その後の分析等で齟齬が出にくく鳴ることが多いように思います。
施策実施後(分析フェイズ)
ここでは、分析の手法についてはお話しませんが、この分析で何を満たしてないと行けないのか?アウトプットでどのようなものが出ていることが理想なのか、を記載します。
施策実施後、結果数字をDBから抽出して、そこから読み取れること全てをテキストにし、分析資料としているケースもよく見ます。
長い説明をして、「で、結局この施策は他の施策より結果は良かったの?」と言われるということもあるのではないでしょうか。
分析でまず大事なのは、結論を出すことです。
「良かった」、「悪かった」、「現時点ではわからなかった」でも良いと思うのですが、まず自分として分析をし尽くして、上記結果を端的に言えることが大事です。
ひいては、この施策を続けて良いのか?続けることで利益、パフォーマンスに悪影響が出るから止めたほうがいいのか?そこに対して明確な示唆が与えられなければいけません。
そのためには、限りなく、端的に結果について語れなくてはいけないですし、端的に言い切るためには、裏側では、自分なりにかなり分析をしつくさないと自信を持って言い切ることは難しいのではないでしょうか。
成功/失敗要因を抽象化せよ
一番大事なフェイズです。
先程の分析時に対象の施策が良かった、悪かったというところまでは考え尽くすことができたと思います。
大抵の人は、ここまでで成功したから良かったと、また次の新しい施策に取り掛かります。また失敗した人は、切り替えて次の手を高速で打とう!みたいにポジティブに取り掛かります。
ただし、ここで、一つの施策を自らの血や肉にできるか否かが分かれるので、必ずこのステップを行ってください。
それは、先程の成功/失敗要因をその施策限りの結論にしないということです。
・今回の施策は○○○によって◻◻◻が向上し、△△△という数値が向上したので成功です。
・今回の施策は○○○によって◻◻◻を向上させようとしましたが、思うように○○○に反応せず、目標達成には至りませんでした。
このような結論だけで、終わっている場合は、まだまだ不十分で、次の企画の成否も出たとこ勝負となってしまうでしょう。
例えば、オンラインゲームの企画を例にとってみましょう。
あるイベントのプランニングを行いました。敵モンスターを倒すことで、ポイントがもらえ、そのポイントの合計値でゲーム内で順位付けを行い、最終的な順位で報酬がもらえるというシンプルなキャンペーンです(合計値は2週間の開催期間で計算されます)。マネタイズのポイントとしては、敵モンスターと戦う時にBP(バトルポイント)が必要ですが、その回復時間を早める回復薬の有料販売です。
課題としては、長期間遊ばれているゲームだったので、徐々にユーザーにも飽きや、慣れが生まれ、徐々にそのキャンペーンでの売上(回復アイテムの消費量)も落ちてきていました。
そこで以下のような改善を加えました。
・ユーザー全員で競うのではなく、5人ほどの小集団で競うように
・5人の小集団は毎日の結果で組み替えられる
・毎日の24時時点の結果で順位ポイントが毎日付与され、その順位点の合算値で最終的に全体順位が決まるようにした
まずは、結果としては、前回比で回復アイテムの消費量が3倍程度まで増加したと仮定します。
この施策分析で、以下のような分析結果だったらどうでしょうか?
小集団制を導入し、回復アイテムの消費を促進でき、キャンペーン売上が増加しました。
良かったことはわかりますが、この成功経験は次に繋がるでしょうか?今回のキャンペーン限りのいい回しになっていて、ここでの学びは、小集団制を次回もやりましょう!となりそうです(続ける事自体はいいが、学びが無い)。
そこで必要なのは、講じた対策と、結果を結びつけて、成功要因を抽象化することです。
例えば以下のようなまとめをしたらどうでしょうか?
■今回の成功要因
・少集団のほうがよりライバルの動向を気にし、競争力が生まれる
・日次で順位を確定することで、イベント途中でだれることがなくなり、回復アイテム消費の山を頻繁に作ることができる
・毎日グループを組み替えることで、より競争力を生みやすいユーザー同士でグルーピングが可能になる
上記のことから、イベント企画においては、以下2点が有効
・大人数ではなく、ライバルの人数を意識しやすい小さなグルーピングが有効
・長期サイクルではなく、短期サイクルを繰り返し実施することが消費アイテムの使用の山を複数作る上で有効
後者は、今回の成功を抽象化し、次のキャンペーン企画でも活きる示唆となっていることがわかると思います。
このように、単に良かった悪かったの分析をするだけではなく、その要因を抽象化することが何よりも次の施策を成功させるために必要なのです。
これは失敗ケースでも同様で、失敗の要因を抽象化することで、次回以降同じような要因による失敗は繰り返さないようになるはずです。
次の企画時
上記で得た学びのリストを自らのリストに常に蓄えておきます。
企画立案時のチェックリスト、また迷ったときの拠り所として、見返す等します。
自分もこの考え方、リストでの運用(今は脳内に蓄積しており、物理的なリストは運用してないけど)を開始してから、格段に成功の再現性が高まりましたし、同じ失敗を複数回繰り返してしまうことも格段に減りました。
1回の施策での成功、失敗は、それ自体は大したことがないと思いつつ、自らの学びとして蓄えるか否かでその後の成果には大きくつながっていきます。
ここでの抽象化できた学びがいくつあるかが、PMとしての経験とか、スキルと言われるものにもつながっていくと思います。
成功を運で終わらせずに、全ての施策から学びましょう!