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ビーガンやめました。

夜ご飯にカツ丼を食べた。
カツはお肉のカツ。
卵もかつお出汁も使っている。

完全にビーガンになったのは、去年の6月。
つまり1年と2ヶ月間動物性のものを選ばない食生活をしていた。
卵は2年ぶり。お肉はおそらく3年ぶりだろう。
卵の殻を割る感覚が懐かしく新鮮だった。

ビーガンだった間に、かつお出汁を使った味噌汁を2回、知らずに飲んだことがあった。
1回は飲み終えてから「ごめん、かつお出汁使ってた」と言われ、自分が気づかなかったことに驚いたしショックだった。味覚が敏感になっていると思っていたから、もし動物性のものを間違って食べてしまっても絶対気付けるはずだと確信があったのだ。
2回目はひと口飲んで分かった。でも、いい鰹節だったのか嫌ではなくて、そのまま一杯いただいた。身体になにか出るわけでもなく、お腹を壊すこともなく、飲んでしまったという罪悪感もそんなに大きくなかった。

私がビーガンになったきっかけは、高校1年のときに自分の手で鶏を締めて捌いたこと。その日から半年くらいはスーパーのお肉コーナーは近寄れなかったし、鶏皮も見たくなかった。

小さい頃から私の家では、お肉メインのおかずがドンと出ることは少なく、肉じゃがのダシに豚コマが入ってるとか、手羽先焼いたのがお弁当にちょこっと入ってるくらいだった。
だからお肉を食べないことに抵抗はなかったし、むしろ野菜だけの食卓になると、いいことをしているようで嬉しくもあった。
魚に関しては、母が魚のアラを好きだったのでアラ煮を作っていたし、父は晩酌のお供に刺し身をよく食べていた。私は生臭さは苦手だったものの、鰹節やちりめんじゃこ、そして干物は好きだった。小学生の頃、離島に住んでいたこともあって、放課後海へ行って近所のおじちゃんたちと釣ってきた魚が夕飯の食卓に上がる喜びも知っていた。

5年間の専門学校では先輩と相部屋の寮生活だった。部屋には古い電気コンロ付きのミニキッチンがあったが、ふたりで同時に料理するには狭いので、時間帯をずらして使っていた。今思うとかなり不便だったが楽しかった。
この5年間で少しずつ牛乳を飲まなくなり、肉魚を食べなくなり、練り製品加工食品をやめ、乳製品、卵、出汁と摂らなくなっていき、ベジタリアンになりビーガンになったのだ。

動物性のものをやめていくと、まず体が軽い。
頭がクリアになる。お腹の調子がいい。
いいこと尽くめだし、自分はずっとこのままビーガンでいるのだとさえ思っていた。

2月にアトピーが再発した。
別の記事にも書いたが色々試しながら治療中だ。
人と会う度になにか手掛かりはないかと必死で痒みを除く方法を探していたとき、ある人にこう言われた。

「皮膚を再生する材料足りてないんじゃない?」

その通りだ。
タンパク質が圧倒的に足りていない!
(栄養素を考えることはあまりしないのだが、食事療法を調べていて、どの栄養素が何に使われてどうなるというのを気にしていたときだった。)
今の家に冷蔵庫がないというのもあって、豆腐や油揚げは買った日にしか食べられない。買い物に行くにも街まで車で40分かかる。となると、週に1回くらいしか大豆製品を食べていなかったのだ。少なかったのだと思う。無性に卵を使ったオムライスが食べたくなったり、鰹節やちりめんじゃこの味を思い出すことが最近よくあった。

以前肉魚を食べていたときと変わったのは、より質の良いものを選びたいという思いが強くなったことだ。
良いものは本当に美味しい。
ただ高いだけじゃない。
舌が肥えたら食べれるもの少なくなって大変だね、と言われたことがあるが、そうだろうか。
良い食材は良いエネルギーを持っている。
食べることはエネルギーを取り入れるということだ。
良いものを選びたくなるのは悪いことではないと思う。
ただ値段が高いものばかり買っているわけではない。
ご近所さんのお野菜をいただいたり、山菜の季節には家の周りを1周したら1日分の食材が手に入ったりしているから、食費は少ないほうなのではないかと思っている。

まだ肉魚をがっつり食べたいとは思わないので、ペスクタリアン(ペスコ・ベジタリアン)といったところだろうか。(乳製品は食べるのだが、牛乳は匂いが苦手で最初にやめたくらいなので、まだ飲みたいとは思わないようだ。豆乳が美味しい。)
そうなって嬉しいのは、例えば友人と出掛けてなにかちょっと食べようよとなったときにあれこれ考えずに「いいよ」と言えること、そして同じものを味わえるということだ。そうじゃなくてもいいやと思っていたときもあったが、食べることにまっすぐ向き合って考えたときに、やっぱり同じ「美味しい」を共有したいと思った。

ただ、今はアトピーを治すために小麦だけは控えている。気にせず生活していると1日に1回は小麦を口にしていると思う。それだけ万能でいろいろな物に入っているし、何より小麦は美味しいのだ。強い中毒性もある。美味しくいただけるいいバランスを見つけたいところだ。
パスタの代わりにきび麺の美味しい食べ方を調べたり、米粉パンケーキの粉の配合を考えたりして、私なりの「美味しい」を探している。

そして、ビーガン料理の美味しさも知っているので、知らない人にはぜひ味わってほしいと思う。
ビーガンカレーは油ぎとぎととか、毎日野菜ばかりで味気ないとか、そんなことは全くない。
ビーガン料理は美味しい!

それから卵や出汁をいただくなら、安く売られているものではなく、ちゃんとした値段のものを買いたいと思う。安いのには必ず理由がある。
ゲージに入れられた鶏さんの卵より、平飼いの鶏さんの卵を分けていただくという気持ちで食べたい。


人は変わる。
味覚も変わる。
自分の体の声を聴くと、ビーガンを続けるという結論にはならなかった。
頭で考えて食べることはしないでいたい。
もしかしたらまたビーガンになるかもしれないし、ならないかもしれない。自分がしていることを人に押し付ける気はないし、どちらがいいでも悪いでもないのだ。

日々新たな発見があり、進歩がある。
今日も良い1日でした。ありがとう。

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