言霊と契約
8月に入ったら「縁切り神社のふしぎなご縁」と「神様のごちそう─雨乞いの神饌─」が出ます。
狙っていなかったんですが、神様尽くしの夏となりました。
どちらの作品も神社や神様にまつわるふしぎな話として書きましたが、共通項はあります。
どちらの話も「一度契約を交わしたらクーリングオフできないからよく考えなさい」という話を書いています。
どちらも、破った場合は最悪死に至るんですが、これはどちらもファンタジーだから大袈裟に書いてあるだけで、現実でも安易に交わした途端、契約を盾にひどい目に遭うことってよくあります。
世の中には、命は取らなくってもそれ以外をなんでも取ろうとする人たちって残念ながらいるんです。
言葉には力があり、誓約がかかります。
一度吐き出した言葉はたとえ吐き出した本人が忘れても消えませんし、言われたほうはいつまで経っても覚えています。それが顕著なのがネットです。ネットの世界ではアメリカなどのアーカイブなどに保存されていますので、それを完全に抹消させることはできませんし、世の中の人は魚拓を取って保存してしまいますので、表面上見えなくなっても簡単に出てきてしまうことは常々あります。
言葉は一度口に出したらどんな風に取られてしまうのかがわからないので、注意しましょう。曲解されて取られてしまったら大変なことになりますというのはどちらの話にも繰り返し書いています。
ただ、契約の話だけずっとしていても、神経ってすり減ってしまいますよね。
情を逆手に取られてひどい目にあうこともありますが、契約相手をきちんと対話相手として見る方法もまた情です。その人の力になりたいって思うのは、ただ利己的なだけでは成立せず、情がなければ動かない力です。
契約だけを気にして、人でなしになってしまったのが「縁切り神社」の敷島ですし「神様のごちそう」の神様たちです。
琴子もりんも、頭ではわかっていますが、気持ちでは納得できないので、ずっと悩むことになります。
どうかふたりが悩みの果てに辿り着く答えを、見届けてくださればと思います。