人参の種をまいてみないことにはわからない
ニンジンの種は二、三ミリの間隔をあけてすじまき、って書くのは簡単ですが、
その繊細な作業はやってみないとわからないです。
種まきというのは、高知名物「餅投げ」のように豪快にエイヤーと上から土にまくのではなく、
ミレーの名画、「種まく人」みたいに、立姿勢であさって向きながら、ちょっとるんるんで描写されるようなものでもなく、
多くの作物の種まきは、
しゃがんで地面をにらんで少しずつ前進しながら、土と種を確実に出会わせるための、繊細な作業だと、おおざっぱなワタクシは感じております。
つまり、私はあまり直まき(畑に直接種をまくこと)が得意でないのです。
繰り返します、種まきは、繊細な作業です。
そして一番、ドキドキワクワクする作業でもあります。
生命の神秘、成長の可能性、種の持つエネルギー、遺伝子の不思議などが
発芽から成長にかけてもろもろつまっているのです。
それもこれも、種をまいてみないことには、始まらないのです。
種をまいてみないことには、本当には何が起こりうるか
わからないのです。
皆さんは普段食べてる野菜の種、どれだけ知っていますか?
購入した種の袋をあけてみるとパッケージ写真と種の姿のギャップに、
ほんとうにこんな形の小さな粒が成長してアレになるんかね、と思ったり、
マメ科のものは特に、「種って・・・マメじゃん!」とよくよく考えてみたら至極当たり前のことに気が付かされたり、
きゅうりとかピーマンとかも、「あ、そうそういつも何気なく食べたり捨てたりしてるあれ、種だよね・・・」と思い出したり、
面白いのです。
ニンジン栽培は家庭菜園の作物の中でも発芽(種から芽を出させるまで)がややむつかしいといわれて、
おまけに私が気が付くと買った種の蒔き時が過ぎているのです。
直根性の根菜(地中にまっすぐ伸びる根菜)は直まきが必須なので、
チャンスを逃がし続けていました。
しかしラッキーなことに、
少し前に畑友達が自家採取(自分の畑で育てて花咲かせて種をとること)した時なしニンジン(蒔き時がはばひろい)のタネをを分けてもらえたので、
今回ニンジン栽培に初めて挑戦します。
時なしニンジンのタネは、ワラジムシがぺちゃんこにつぶれて乾燥したみたいな形でした。
二、三ミリ間隔で一直線に蒔き、五ミリほどの厚さで土をかける。
ミリ単位ですが、まじめにやっていたら本気で日が暮れるので、今回は比較的おおざっぱにやってみました(いつもでしょ)
だって、種がとげとげして、絡まりあって、ばらしにくいんだもん。
もし株が密集したら間引きを頑張る、とある程度問題を先送りしての挑戦です。
(そしていつも後で泣いていたりするのです)
おおざっぱな私は失敗しても一人で泣けばいいだけですが、
ニンジン栽培にプライドをもって取り組んでいる農家さんは、一粒一粒、丁寧にミリ単位でまいているらしい、と農園の先輩に教えていただきました。
え、農家さんて、こんな私がまいてる猫の額ほどの面積とはぜんぜんケタ違いですよね。
種まき職人っていう職業あってもいいですよ。こんな繊細な作業。
ニンジンをスーパーに並んでいるもののようにきれいな肌で、まっすぐ、太く、長くそだてるまでの道のりは、
ほんとに繊細な作業の積み重ねなんだろうなと想像しました。
種まいてみないと、私のような雑な仕事のものにはその苦労は想像もできなかったと思います。
私のニンジンは、どんなのが出てくるでしょう。
とりあえず、発芽までの5から10日間、土を湿った状態に保たないといけませんので、
毎日通って水やり、がんばります。しばらく雨予報がないのです。
今日の予定の種まきはありがたくも完了しました。
夏大根、時なしニンジン、サラダ小松菜、日本ほうれん草、中葉シュンギクの種を二畝にかけて蒔き、
もみ殻でマルチングしました。
力仕事や、繊細な作業はこれにてひと段落。ほっとしました。