生まれた季節の匂い

久しぶりに自転車で通ったその道は、

すっかり田の稲が青々と成長していました。


目にはアジサイやタチアオイの

賑やかないろどりが飛び込んできて、

「もう本当に夏が来たんや」

陽に焼けて立ち昇る地面の

さまざまな空気を

肌で感じました。


私は夏生まれです。

まだ雨の多い頃の

夏の先頃に、

歳を一つとります。


生まれた季節に初めて吸った空気の味を

身体が覚えているかは

知りませんが、

田んぼや水路のわきを通り、

賑やかに様々ないろどりを見せる花を見ながら、

思い切り空気を吸うと、


とても懐かしい感じがするのです。


私の好きな匂い。









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