8年目のタイヤ交換
自転車族である。
自転車さえあればどこまででも行ける平野部で生まれ育ち、
車の免許は独身時代にとったものの
ペーパードライバーのまま結婚、出産し、
上の子どもが一歳半を過ぎる前は、
独身のときにリサイクルショップで買った折り畳み自転車に、
子どもをおんぶして乗って移動していた。
ほどなくしてゴツい子乗せ自転車を買い、
前に乗せ後ろに乗せ、
東京の片隅にある、
山がすぐ近い町の平たいエリアを
西へ東へ走っていた。
だが、8年前に、
第二子の妊娠がわかると、
急に家移りしたくなり、
平たい地域からいきなり丘っつーか軽い山っつーか、みたいな〇〇台エリアのてっぺんに、
貸家を見つけて引っ越した。
そこは、平野育ちのモヤシの脚では自分1人すらも自転車では登れない、ましてや子乗せでは無理な
結構いい角度の坂を登らないといけない場所なので、
ゴツい子乗せ自転車は知人に譲り、
更に重たい子乗せ電動アシスト自転車を買った。
とはいえ雨風の中、
乳児を連れて急坂を送迎するなど
自転車族のまま暮らすことの限界を第二子妊娠中に理解した私は
産後まもなくして一念発起しペーパードライバーを返上したが、
下の子がお座りできれば自転車がやはり心地よく、(あと、雑な性格的に操作の正確さが命に関わる車の運転がストレスだった)
上の子が自分の自転車で公道を走るようになるまでは
前と後ろに子供を乗せて、アシスト様様に
標高差のある街を登ったり降りたりしていた。
高知に来ても自転車族として、
平らな生活圏ではほぼ自転車生活である。
子どもがいない時間は
買い物も畑仕事も座席を荷台にフルに荷物を乗せて走っている。
ただ、最近、なんかタイヤが頼りない気がする。
そう思ってよくよくみたら、
後輪がまったいらである。
すべっすべのきめ肌になっている。
空気入れてたはずなのに、なんで気づかなかったんだろう。
モノを知らない私でも
「やべー、こんなのに30キロの子どもを乗せて段差とか超えてた…」と青くなった。(ほんとは載せちゃだめ)
前輪はまだ溝もあるしタイヤっぽいが、
自転車屋さんに見てもらうと、
「後輪がひどすぎて前輪がよく見えるだけで、前輪もイカン」とのこと。
両輪、交換となった。
変なとこでパンクして障りが起こる前に交換できて良かった。
幼児座席もカゴに、とは言われたが、
シャベルや支柱などを運ぶ際に何かと使い勝手がよいのでそのままにした。
もう我が家には
乳児も幼児もいないのだが、
そういうわけでそんな形の自転車に乗っている。
実用性があることが大事なので、
見かけにはあまり気にしないたちである。
この自転車との8年は子どもの成長の喜びの陰で、
大きな試練もいくつかあった。
共に乗り越えて来てくれた、密かな戦友である。
ものの命尽きるまでより一層、大事に乗ろうと、
心新たにした。
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