土佐闘犬と柴犬
「人が、犬に散歩されてる。」
逃げよう、と本能的に思いました。
きっとあれが噂に聞く土佐犬だ、とも思いました。
あのMr.オクレにちょっと似てる痩せたおじさんが、
その明らかに自分の行きたい逆方向に犬に引っ張られてるリードをウッカリはなそうものなら、
あのただごとではないマッチョな大型犬は、
住宅街に放たれてしまう…!!
(画像はタイムズクラブさんのページから拝借しました)
とあわあわしたものです。
まだ結婚前に暮らしていた東京都下の町での出来事でした。
通称土佐犬、土佐闘犬には実は高知県に来てからは一度も出会っていません。(本当の古来の土佐犬は四国犬と呼ばれる、スリムな日本犬です)
もしかして、あちこちに土佐犬がいっぱいいるのでは・・・と
何も高知のことがわからないときには、想像してちょっと震えてしまったものです。
もちろんあちこちにはいませんでした。
好戦的であるため安全に飼うことがエネルギーを要する犬種であることが大きいと思いますが、
高知の伝統的娯楽のひとつであった闘犬自体も、
動物の扱いに対する感覚の変化とともにその需要は減っていったようです。
私たちが高知県民になるのとほぼ入れ違いぐらいに、
観光スポットとしての土佐闘犬の展示施設も諸事情でなくなっていたのです。
見ようとして見れるものではなくなりました。
というわけで、私が土佐闘犬を生で見たのは、
あの東京の住宅街の1回こっきりだったのです。
Mrオクレ風おじさん。とても飼い主の威厳なかったです。
お散歩アルバイトだったのかな…。
現在、高知の私の住む地域でいえば、
散歩で出会う犬は断トツで柴犬が多いです。
もちろん他の犬種もいますが、
柴犬センサーがついてるのか柴犬が目につきます。
なんと賢そうな柴犬ちゃんたち。
犬を飼うなら柴犬。そんな思いに駆られてしまいます。
私は犬と暮らしたことはなく、犬との付き合い方もよく知りません。
子どもの頃住んでいた家は住宅地のどん詰まりで、
家から公道に出入りするには、
同じ街区の家の柵から頭を突き出して力の限り家主以外の歩行者にほえまくる
黒の柴犬ブロッケン(仮名)の前を通らなくてはなりませんでした。
おかげさまであの時は柴犬が賢そうとかかわいいとかつゆほど思えず、
小さい体全身に響くブロッケンの急な威嚇が恐ろしく、どきどきして通りました。
どうやらブロッケンは飼い主に散歩にあまり連れていってもらえてなかった、
ストレスフル犬だったようです。
こちらが子どもだったので余計八つ当たりされたのかもしれません。
人生初犬が近所のストレスフル犬だったので、
愛情深く飼われているわんちゃんたちの可愛いこと。
どんなに吠えられてもこわくないぜ。
あ、でも元気有り余るマッチョな闘犬はやっぱりびびります。
私は日常に闘志はいらないほうです。
穏やかに、人らしく暮らしたい。