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テスト:第二十一話

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「議論の余地もないね」

翌日、私は彼と二人で登校した。

そして私は彼を叱った。彼の意味不明で浮ついていて脈絡のない嘘。それらはしかし、私にとっては大切なのだ。彼の人間の重要構成物質なのだから。それらは何よりも、私は愛していた。たとえ中身が空っぽで虚無だったとしても、だ。

「恋愛なんてただの宝石よ。このインカローズのようにまがい物の感情を美化していても、本当に人を愛することなんて一生できないわ」

藤野前夜は顔を俯けたまま、私の隣を歩いた。

「あんたはただ、欲しかった。キラキラした宝石のような日常に憧れていた。だけどそれは所詮、自分で描くものだから。こんなネックレスはあなたの気持ち悪さそのものね。どう?あなたの幻想を馬鹿にされた気分は。私はいつだって騙されたりしないんだから」

不満気な顔で藤野前夜は言った。

「君だって嘘ばかりだ」

結衣は不意打ちを食らった。・・・言い返せない。私も、君と同じ人間なの・・・だから。

「私が嘘ついたってそれ、いつのこと?」

「俺を好きな気持ちはあるでしょ?それをいつも隠していたじゃん。君はただのツンデレの恥ずかしがりで、強がりをしていただけでだろ」

「・・・・違う、私は恋愛がないことを証明したいだけ」

「君の屁理屈はもういいよ。好きなら好きでいいじゃん」

私は歩く足を止めた。

「あんたへの感情なんてただの好奇心。消そうと思えばすぐ消せる。私の考えを否定するならちゃんと証明しなさい。恋や愛の定義を語りなさい」

私の目は鋭く光り、冷たい声は藤野君の耳を貫いたのか、彼は固まっていた。

「言ったでしょ。私を特別扱いせよ。私という存在を語るのよ。あなたの目で。勿論、今別れたって愛することはできるはず。いつでも可能よ。愛なんてそこら中に転がっている。で、私を愛するってなら私を見ろ。それとも私からの暴力的な好意や肉体を介しての快楽がお目当てだった?もう一度よく考えて」

その場に立ち尽くす藤野前夜を振り返ることもなく、私は先を歩いた。

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