くまちゃんがきた! 5月10日前半
4:30
短かったようでとっても長く感じた準備期間を終え、ついにくまちゃんがくる日がやってきた。
もうどうしようもなくうれしすぎて寝れなく目が覚めたままそのまま起きて。
娘の遠足のおべんとうを作り、支度をして、家を出る。
さぁやちゃんの家に行って荷物を一旦整理して、それから11日の会場の綾へ。
8:30
頼れる相棒さぁやのおかげで机椅子問題は解決したものの、これを自分たちで運搬しないといけない。
そのためくまちゃんがくる当日になって綾に20台のテーブルと40脚の椅子、それから現場でつかうあれやこれやを2台の車に押し込んで綾へ。
片道40分強のドライブ、BGMは爆音のレゲエ。
ずいぶんと長いことわすれていたたぎる気持ちをよびさまし、どんどんテンションがあがってきた。
以前行った時は、あちらこちらに背の高さが違う下草が生えていたキオラは、私がお願いしたようにきちんと草を刈ってくれていた
おそらくお願いしてすぐに取り掛かってくれたんだろうな。
でも植物は植物で、刈り揃えられた四角いあたまを一生懸命空にむかってのばしている。
ここキオラを使わせてくれるちくりん夫妻のやさしさと、綾の大地の生命力の拮抗をみる。
芝生がしっとりと濡れて、歩くとズボンの裾がみずみずしくなる。
前日まで雨。ずっと雨。
ところが今日はうってかわって雲ひとつない晴天。
天気予報は、会開催の2日間だけみごとに晴れ。
それ以外の日は雨だったり風だったり暑すぎたり寒すぎたり、とにかく不安定な空模様だった。
だけど今日はなんということでしょう。
青い空、緑の地面、しっとりとした空気。
まさにウェルビーイングにふさわしい会場が整っている。
最高の舞台をもう一度想像し、微調整して設定完了。
戻って、洗車して、準備して、いよいよくまちゃんをお迎えだ!
再度車に乗り込みTurn up the 爆音レゲエ。
高鳴る期待に胸膨らませ、綾をあとにしたのでありました。
12:00
到着が11:50なのに空港についたのが12時という大失態。
ドタバタと走って到着ロビーにいくと、もう人が出てきてる!
あわわ…
くまちゃんは、荷物を引き取っているかしら。
中を覗き込んでもどうやらそれらしきひとがいない…
でも電話もかかってきてないけど…
もう外にでちゃったのかな?
踵を返して今度はロビー内を見渡してみる。
左側からじーっと人をみていくと…
あっ!こっちをみている人がいる!!
最初からいるよ、ってかんじでにこりと笑いながらこちらをみている男性。
く、ま、ちゃ〜〜〜〜〜ん!!!
🥹🥹🥹🥹🥹
サザエさん的な登場を横からしっかり見られていました。
お恥ずかしいったらありゃしないわ。
なにはともあれ、会えてよかった。
私が宇宙でいちばん会いたかったくまちゃんとの30時間がこうして慌ただしく始まったのでした。
12:30
「宮崎空港は初めてだな〜」
「あら、宮崎初ですか?」
「ううん、でもバイクでね」
そっか!三日月の輪舞曲では九州にもきているもんね。
宮崎の記述はないけどきっと素通りだろうけど。
「通過するよね」
「ですよね」
「でもミッションでね」
「あ、なるほど!」
行き先の途中になっちゃう宮崎は、そういうわけで未来永劫新幹線も通らないしコストコもイケアもできないの。
でも、だからこそ宮崎はこの良さを残しているんだと思ってるからいいんです。
椰子の木が並ぶバイパスを南下して海沿いのお気に入りのレストランへ。
お天気がいいから、さぞ気持ちいいだろうにとおもっていたら外の席があいていたので着席。
「チキン南蛮って食べたことありますか?!」
「え、南蛮?なにそれ??魚の南蛮漬けは好きだよ」
「じゃあ好きなはず!それにタルタルが乗っててね〜」
「タルタル?!」
くまちゃんは未知の料理への想像がおいつかないらしい。
私が大学生になって東京に住んでいた時、おいしいチキン南蛮が食べたかったけどどこにもなかった。
そもそもチキン南蛮というこの至高の食べ物が宮崎にしかないこと自体を知らなかった。
家庭で食べるにはおそろしく手間がかかる上にたいしておいしくならないから、みんな外で食べる。
家で食べてもいまいちおいしくないのに外で食べると絶対おいしいチキン南蛮。
カフェ、定食屋、居酒屋、お弁当屋など皆それぞれのジャンルの飲食店で繰り広げられるチキン南蛮絵巻。
チキン南蛮がおいしい店は存在するけどチキン南蛮専門店は存在しない。
冷凍食品とかになっているチキン南蛮は絶対おいしくない。
だけどお惣菜やさんで唸るほどおいしい南蛮をつくるところがある。
みんなそれぞれに推し南蛮のお店があって、シチュエーションなどで使い分けている。
私が愛してやまないチキン南蛮を推しの中の推しであるくまちゃんが人生で初めて食す!
ああ、なんたる喜び。。。最高🥹
身に余るよろこびに浸ってニマニマしていたら、さぁやちゃんが到着。
チキン南蛮を食べるくまちゃんを愛でる会をしようと企んだんじゃなくて、打ち合わせをしようとさあやちゃんを呼んでいたのです。
実はこれまで打ち合わせはすべてくまちゃんのスタッフさん方とやりとりをしていて、そして内容に関する打ち合わせという打ち合わせもたいしてしていなかったのです。
もちろんくまちゃん本人とイベントの内容を話すのも初!
「こんなかんじで2日間やります」
「うん、わかった🎵」
私のたどたどしい説明を聞いてくださって、うんうんって全部うなずいてくれて、いいよいいよ〜って言ってくれて打ち合わせは即終了。
というか私もよくわかってないことが多すぎて、どうなるかわからんのや。
それなのに、ずっとにこにこなの。
いいよ〜言われたようにやるからなって、ほほえみながら言ってくれる。
そのくまちゃんを照れ照れで眺める私。
そんな私をニヤニヤで見つめるさぁや。
ここに口角上がりっぱなし三つ巴が完成しました。
なんやこの幸せすぎる時間。
まだイベントが始まっていないのにもう幸せ❤️❤️❤️
そんなスマイルトライアングルをブレイクしたのが例のチキン南蛮。
いやあ、今日の南蛮もおいしそう✨
「けっこう…ボリューミーだね」
くまちゃん、南蛮のカロリーを想定してか少し怯んでいる?
いやしかし、だがしかし!
カロリーなんてまやかしなのです。
おいしい時間にまさるものはない!
笑って食べれば0カロリー!!
しばらくお食事をしていてくまちゃんが気づきました
「あれっボリューミーと思ってたけどこれ、けっこうすすんじゃうね」
でしょでしょでしょ〜〜!!!
チキン南蛮ってあっという間に消える魔法がかかってるの🪄
めちゃ手間かかるのに一瞬でなくなるから、たいていチキン南蛮の日はお母さん食べれないの。
だからお母さんたちは外でチキン南蛮を食べる時は、家族が学校とかお仕事とかに行っている昼間なの。
それでお母さんたちはおいしいチキン南蛮のお店を知っているのよ〜〜〜!
…なんの話?
とりあえずみんなチキン南蛮を完食してデザートまで食べて、夢のようなおいしい時間でした。
14:00
現場セッティングにとりかかるさぁやちゃんとは店で別れて、その後は海沿い景色のよいところを走りながらずっと聞いてみたいとおもっていた龍アニのことを皮切りに質問タイム。
自分でもちょっとやられてるよねとわかっちゃいるけど、くまちゃんにはなんでも言える気になって運転しながらあたおか独自理論を展開。
くまちゃんが「へ〜おもしろいね、勉強になった」とあいづち打ちながらほめてくれるから図にのってまたしゃべるしゃべるしゃべる。
「さっきから設定っていってるけど、なんのこと?」
「それね、私だけかもしれないんだけど聞いて」
「うんうん、なにそれ〜」
くまちゃんはいったいこのままどこに連れ去られるのかもわからないのに、にこにこしてる。
私のこの変な理論を面白がって疑わずに「そっか〜」って笑って聞いてくれる。
私の理論があってるかどうかはどうでもよくて。
くまちゃんがにこにこして聞いてくれてたことがひたすらにうれしい。
ただただ私の思っていることを話すことがこんなにたのしかったんだ。
ペラペラと言葉がでてくるお口とは裏腹に、人とおしゃべりをする時にはかならず心許なげにふわふわと揺れていた心がどっしり落ち着いてくるのを感じていた。
私はずっと長い間、こんなに純粋にたのしいなって話をしたことがなかったかもって思った。
小学校に上がる前から「歩くスピーカー」って言われてて、保育園からの申し送りでもおそらくそれを言われてたと思う。
だからなのか小学校のはじめての担任の先生が「おまえはほんとようしゃべるな〜聞いてた通りじゃ」って私のことを面白がってくれていた。
私はその先生のことが大好きだった。
男の先生で、いつもあきれながらも私のことをよく褒めてくれた。
お勉強ができたらほめてくれるし、本を読んでもうまいってほめてくれる。
歌を歌っても私の声が大きいって笑いながら楽しんでくれて。
なぜか知らないけど家庭訪問でもない時に、ギターを持って家に遊びに来て家で酒を飲んで帰って行った。
いつでも落ち着いた声でゆっくりしゃべってくれて、いつも微笑みをたたえていて、子どもは元気がいちばんってほめてくれてた。
そうか。
あの先生の「おまえは元気やな〜」って言葉がずっと私を守ってくれていたんだな。
だから私は元気になりたいな、毎日学校に行きたいなって、おもったんだ。
小学校3年生から胃痛があって、本当に学校に行きたくない日がたくさんあった。
それでもなんで自分は学校に行っているのかよくわからなくて、やすみたくても熱とか一切出ないし、行ったらいやな思いをすることがわかっているのに、行く。
泣いていたのがばれると母が激怒することがわかっているから、一回泣ききってしっかり涙をふいて、暗くなってから帰る。
吹奏楽部の練習をとってもがんばっているんだって言うと、遅くなっても怒られないってわかってる。
自分でやりたくってはじめたことだからどうしてもやめたくなくて。
でも心をもみくちゃにされるほどのつらい仕打ちに耐えないと上手になれないと思ってて。
人に言ってはいけない。
人に言ってもしょうがない。
そんな思い込みが私の中にあったのかもしれない。
そこから、私の話すことには価値がないって、思ってしまったのかもしれない。
なのにこの遠くから来てくれたやさしい人は、ずっと私の取るに足らない話を熱心に聞いてくれている。
八幡様もさっきから笑ってるよ〜って言ってくれる。
私の心の中で長い間居座っていた相容れられなかったなにかが、ぱらぱらぱらとやさしくほどけ、潮風にのって宮崎の青い海にきらきらととけていく気がしてた。
つづく