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大竜賀美町住民集団失踪事件①
「あれは一体何だったんだろうか?」
未だに考えている。あの事件から10年以上経った今現在も。
「本当に現実に起こった事なのだろうか?本当は夢を見ていただけだったんじゃないか?」「いや、夢ならこんなに鮮明に覚えているはず無いじゃないか。」自問自答を脳内で何度も繰り返しながら僕の足取りは段々と重くなっていく。
「大竜賀美町住民集団失踪事件」
何となく聞いた事があると覚えている人もいるかも知れない。閑静な住宅街である大竜賀美町の住民12名6世帯が一夜にして集団で失踪してしまった事件だ。当時は随分騒がれTVではどのチャンネルでも四六時中この事件の報道で溢れていたらしい。しかし、事件の真相が解明される事は無く世間に不安感だけを残す事となった。
「何故僕だったんだろうか?」「解らないから考えるんだろ。」また自問自答が始まる。まるでメビウスの輪のように。真相は永遠に闇の中かも知れない。絶望の暗闇の中にいつか光は差すのだろうか。
気が付くと僕は立ち止まっていた。
いつかは世間から忘れ去られ風化していく事なのかも知れない。けれど、僕は忘れる事など出来ない。
14歳。中学2年生の夏。
友人も、父も、小鉄も…皆居なくなってしまった。
僕一人だけを残して。