それは旧校舎の裏にあった。何時からあるのかは解らないがかなり古いものだろう。縦横50センチ厚さ20センチ程の自然石で真ん中に丸く人工的に彫ったような窪みがあり、その窪みの中には両手を左右に広げた人のようなものが一体彫られている。石は風化、侵食が酷いうえに上部から下部にかけ右半分以上が苔に覆われ、人のようなものの表情は勿論、女性なのか男性なのかすら判別出来なかった。 「なぁ勇(ゆう)。どう思う?」 中腰でその石をジッと見つめたまま哲平が口を開いた。哲平がどんな答えを求めている
「あれは一体何だったんだろうか?」 未だに考えている。あの事件から10年以上経った今現在も。 「本当に現実に起こった事なのだろうか?本当は夢を見ていただけだったんじゃないか?」「いや、夢ならこんなに鮮明に覚えているはず無いじゃないか。」自問自答を脳内で何度も繰り返しながら僕の足取りは段々と重くなっていく。 「大竜賀美町住民集団失踪事件」 何となく聞いた事があると覚えている人もいるかも知れない。閑静な住宅街である大竜賀美町の住民12名6世帯が一夜にして集団で失踪してしまった
ある日、TVでyoutubeを自動再生したまま寝ていた。 急に爆音で『猛れ!猛れ!猛れ!心を殺す事はRude!』という女性の叫び声が聞こえた。(正確な歌詞はこの時は解らなかったが、後で調べたらそんな歌詞だった。) 僕はTVが壊れたのかと思い飛び起きたのだが、何か気になって歌を聴き続けた。 『街録チャンネル』というチャンネルのテーマソングで大森靖子さんが歌う『Rude』という曲だった。 動画は千原Jrさんが出ている回で面白く引き込まれ、いっきにその回の全エピソードを観た。 この
オリンピックが好きだった。 1998年の長野オリンピックの閉会式なんてAGHARTAの『WAになっておどろう~イレアイエ~』にのせ幸せそうに踊りまわる世界各国の選手、関係者達を観て幼いながらも感動したものだ。 『嗚呼、これが平和の祭典なんだ。これで世界から戦争が無くなるんだ。』と。 あれから20年以上の月日が流れたが、いっこうに世界に平和は訪れやしなかった。 何度『平和の祭典』を行ってもその時が過ぎれば戦争、虐殺、差別、搾取は再開される。 言い様の無い違和感。気持ち悪かった