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【誰でも簡単に出来る】臨床で効果的にアプローチするための動作分析の仕方を解説

今回は動作観察についての話です。

動作分析、、、。みなさんも日頃の臨床でやってないなんてことはまずないと思いますが、難しいですよね。

特に新人の時や学生時代なんかは「何から見ていいかわかんないよ!」
って感じでした。

私の学生時代は、とりあえず「教科書通りの動きになっているかどうか」だけを見ていたり、見た動作を運動学の用語で書くだけでした。

今になって思えば学生時代の動作の見かたをしていれば、患者さんの動作を改善していくための動作分析なんか全然できていなかったと思います。

それは私が正常からの逸脱だけを捉えてしまうような観察をしていたからです。それだと実際患者さんの問題点を予測する事が難しいですよね?

動作分析で重要な視点とは?

正常と違うかどうかであれば、高齢者の動作はほぼ正常から逸脱しています。

ここでいう正常な動作とは「教科書や専門書に記載されている動き方のこと」です。
その場合、私の知る限りほとんどが健常者でしかも成人をモデルにしたものが多いので、高齢者の動作のスタンダードはないと思います。

生まれつき先天性の骨の変形がある場合は、生れながら正常と異なる動きをしているわけですから、教科書の動作通りになる訳がないです。

逆に軽傷の方の場合は、動きに影響が出ていないことも多く、正常との違いがわからないなんて事もあります。

そもそも運動のパターンは生活様式でも様々なバリエーションがあるため、正常との違いだけを考えてしまうと、問題点がどこにあるのかわからない事が多いです。

私も今臨床で9年目になりますが、正直言ってまだわからないことも多いです。

「正常からの逸脱」と言う視点から離れて見るようにしてからは少しずつわかるようになってきました。今回は個人的に重要だと思う視点を紹介していきます。

動作分析で必要な視点は
・身体重心の位置を把握すること
・動きの中でどんな筋活動が起きているか予測すること
・実際に操作、誘導してみて症状が変化するのか確認すること

です。

動作分析に重要な視点〜身体重心の把握〜

身体重心の把握は視覚では難しいため、身体の質量中心で見るようにすると動作分析に役立ちます。なぜ質量中心を見るのかと言われれば、それが一番簡単だからです。

動作というのは人それぞれの生活様式や加齢によって変化しています。しかし動作が成立するために必要な要素というのは基本的には変わりません。

その中の1つに重心の移動があります。

質量中心とは

物体または質点系の質量分布の平均的位置にある点。重心と一致する。質量中心は系の各部に作用するすべての外力の合力に依って運動し,外力が作用しないときには等速度運動する。
引用:Weblio辞書


人の身体も物体なので質量中心は存在します。

上半身の質量中心は胸骨剣状突起あたりの第7〜9胸椎の高さにあり、下半身の質量中心は大腿骨の1/2〜2/3の高さにあると言われています。

そして上半身と下半身の質量中心を結んだ中点に身体質量中心があると言われています。

そのため上半身と下半身のどちらの質量中心が動いても、身体重心が移動する事になります。

運動時は基本的に足が地面についているので、下半身の質量中心は基本的には動いていないことが多いです。
そのため、動作分析の時は上半身の質量中心がどのように動いているかを見るようにしています。

動作においての重心移動〜立ち上がり動作を例に〜

立ち上がり動作とは、重心を前方に移動させる必要があります。そのため動作分析する場合はまず上半身の質量中心が前方に移動できているか、

詳しくいうと、上半身の質量中心が起立後に支持面になる足部の上に移動出来ているか。これだけに着目して見るようにしてみましょう。

質量中心の移動が不十分である場合、次に重心の移動を妨げている関節はどれかを確認していきます。この順番を意識して見ていく事で、問題点も絞りやすくなります。

筋活動を予測しよう〜クラインフォーゲルバッハの運動学〜

クラインフォーゲルバッハの運動学に関しては、冨田先生の論文にこのように紹介されています。

機器を使わずに視覚的な観察で行なえて、全身的に観やすく、しかも力学的に捕らえているので身体に要求される活動を直接分析できる方法を提供しているのがクライン・フォーゲルバッハの運動学である。
引用:クライン・フォーゲルバッハの運動学,冨田昌夫

クライン・フォーゲルバッハの運動学の中にはいろいろな用語が出てくるのですが、全て把握しようとするとかなり難しいので、ここでは個人的に動作観察時に使用している用語を説明します。

テンタクル活動

これは主に開放性運動連載(OKC)の際に起きる活動です。

テンタクル活動をする場合は、末梢の動きを保証するために、中枢側の固定が必要になります。またテンタクル活動の特徴として、動いている分節の上側の筋活動が起こります。

例としては手をそのまま上にあげるような動作や、下肢でいうと下肢伸展挙上動作(SLR)などがそれに当たります。

ブリッジ活動

こちらは閉鎖性運動連鎖(CKC)の際に起きる活動のことです。

この場合、筋活動としては分節の下側の筋活動が起こります。例でいうと、背臥位でのヒップアップ動作がそれに当たりますね。

動作中の確認方法

ヒップアップ動作を例にして説明します。
まず動作を起こしている部分の末梢の分節が床面に接しているのかどうかを確認します。

ここで抹消というのは、足部と背中の部分です。

足部・背中が床面に接していれば、ブリッジ活動が起こっています。
そのため筋活動はその分節の下側の部分で起こっているので、下肢後面〜臀部を通って体幹の背面に筋活動が起こっていると予想できます

仮に片方の足部が地面に十分接していない状態でヒップアップを仮に行った場合、接地していない側のブリッジ活動が成立せず、テンタクル活動が起こるため、筋活動としては下肢前面〜体幹の前面に見られることが予想できます。

これにより動作中にどの筋活動が優位であるかがわかりやすくなると思います。

観てるだけでは結局わからない?〜ハンドリング〜

いくら視覚で確認していても、十分でない事のほうが実際は多く経験します。
そこでハンドリングという技術が必要になります。

ハンドリングを行い動作を誘導し、患者さんの動作に変化が見られれば、何を誘導・介助したのかによって問題点がある程度絞り込めるようになります。

私の場合は普段の臨床では
・口頭指示で出来る→まだ運動学習が進んでいない
・徒手で誘導して出来る→その時の筋活動がまた乏しい、自動での可動域が足りない、負荷量が大きすぎる
・それでもダメ→根本的な可動域が足りていない

と言う順番で考えるようにしています。

ハンドリングの難しいところは、ある程度動作の誘導が上手くならないといけないということですね。ここに関しては練習が必要になると思います。

私なりのコツですが、まず相手に優しく触れて、相手の動きに合わせるようにします。その後、「もう少しこっちに動いて欲しいなー」という方に自分が動いて相手に知らせていくようなイメージで行うとやりやすいと感じています。

最後に

動作分析は正直難しいですし、自分ももっと上手くなりたいと思います。

大事なことは頭の中だけで考えるのではなく、実際に患者さんを触らせてもらって、動作時にどんな身体の反応があるのかを感じ取ることだと思います。

これは意識していないとできないことなので、明日から早速意識しながらやって見て下さい!

今回の記事を読んで、今後の臨床にいかせていただければと思います。

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