ご指名ありがとうございます!おしゅうまいです!~ソープ編その3~
ある日の午後、初めましてのお客様。
ご挨拶をするとどうやら本指名の子が急遽お休みになったため、せっかく来たしなぁとフリーで遊ぶことになったようだ。
よくある話ですし、次はその子とちゃんと会えるといいですねなんて話をしていたのだけれど
とてもじゃないけど無視できないほどの甘い香りが部屋を包み込む。
手にはくしゃくしゃの黄色いドンキの袋。
我慢できずに、この香りは一体…?と聞くと
ドンキの袋から取り出した銀色の塊を私の手に渡した。
…なんだかすごくあたたかいしずっしりしてる!
「パン屋で働いてて、趣味でお菓子も作るのよ。で、毎回本指名の子に渡してたんだけど今回はバナナパウンドケーキ。良かったら後で食べて」
とまたドンキの袋に入れ直した。
(手作りかぁ!ちょっとハードル高いなぁ!)と思いながらも笑顔でお礼を言い、プレイをしてお見送り。
さて、どうしたものかと悩みながら待機室へ運んだ。
(誤解のないように伝えたいけど、どんな場所であってもよほど仲のいい・信頼関係がある間柄でなければ他人の手作りのものを口にするのはちょっと怖いと思う。
風俗業界では「飲み物にドラッグ」とか「食べ物にザーメン」を仕込んだ状態で渡してくる人もいるのだと都市伝説のような話はいつだって聞く。
渡す側は純粋な好意や善意かもしれない。良かれと思っていても受け取る側は常に危険を考えていなければならないので、手作りのものは基本的には受け取りたくないし、受け取っても大体口をつけずに処分する。
食べ物のプレゼントは避けた方が無難だけれど、どうしても渡したいなら買ってそのままくださった方が捨てられる確率は低くなると、私は思うのだけれど。)
待機中の女の子に経緯を説明し、バナナパウンドケーキを取り出した。
「え?手作り?やばくない?怖くない?」
「だよね、いつも受け取った子は食べてたのかな?」
「いや捨てるっしょ、フツーに」
「だよね、でもいい匂いだね」
なんて、みんなちょっとはしゃいでた。
自己責任ですよ、我々大人なんだし。と、おやつどきの私は好奇心に負けて一口かじった。
バナナは苦手なのだけれど、ほかほかのパウンドケーキはちょっと魅力的だったから。
あ、美味しいな。趣味の話は嘘じゃなさそうだよ。と伝えると、みんなのおやつタイムが始まった。
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