「ちんびん」について語るときに僕の語ること
きみは「ちんびん」を知っているか?
そもそも「ちんびん」とは動物なのか、物なのか、一体何を指す言葉なのか分かってもらえるだろうか。分からなければ、ぜひ名前だけでも覚えて帰ってほしい。知っている人は、「ちんびん」を知っていた自分を褒め、周囲に広めてほしい。これまで語られてこなかった「ちんびん」の真実を。
「ちんびん」はすげえうまい
第1の真実は、「ちんびんは食べ物」ということだ。そしてすげえうまい。柔らかくて、もちもちしていて、温かい。この世のものとは思えないうまさがある。
「ちんびん」はすげえあまい
第2の真実は、「ちんびんは黒糖で味付けされている」ということだ。めちゃくちゃあまい。ご飯かデザートかで言ったら間違いなくデザートに含まれる食べ物である。
「ちんびん」は沖縄出身
第3の真実は、「ちんびんは沖縄の郷土料理」だということだ。ソウルフードとまで言って良いかはわからない。「ちんすこう」とかの雰囲気をまとっているし、沖縄感はどことなく名前から感じ取ってもらえるかもしれない。
つまり、「ちんびん」とは沖縄出身で黒糖味のすげえうまいお菓子なのだ。
サーターアンダギーではない。
言うなれば、「沖縄風黒糖クレープ」といったところだろう。実際の写真を見てもらいたい。
これが沖縄郷土菓子「ちんびん」だ!
画像は「ちんびん(沖縄風黒糖入りクレープ)のレシピ〜失敗例もあり」宮古島料理研究家ねこまるの日記さんより引用した。
「沖縄風黒糖入りクレープ」という表現が、「ちんびん」の持つポテンシャルを余すところなく表現していることが分かってもらえることと思う。クレープというと現代日本の食文化的には、小麦粉のカワでフルーツや生クリームや諸々の甘味を巻いたお菓子として受け入れられている。だが「ちんびん」は違う。「ちんびん」はカワの部分が本体なのだから。カワの食感、味、温度……それらが渾然一体となって、実がないはずの「ちんびん」に命を宿す。イデア。プラトンに「ちんびん」を食べさせたい。
「ちんびん」を食べるためにすべきこと
もしあなたが「ちんびん」を食べたいと思ったならば、一番簡単なのはGoogleで「ちんびん 沖縄料理屋 ●●(地名)」と検索することだ。きっと「ちんびん」をメニューに置いている沖縄料理屋のリストが見つかることだろう。ちなみに僕が初めて「ちんびん」を食べたのは、練馬駅前にある沖縄料理屋「海人(うみんちゅ)」だった。いかにも沖縄らしい名前でホッとする。むしろ「海人」以外にどんな名前が沖縄料理屋につけられるというのか?無いだろ、他に。
身近に手頃な沖縄料理屋が見つからないとき、あなたにできることは嘆くことだけでない。涙を拭いて前を見よう。書を捨てよ町へ出よう。具体的には「沖縄物産品店」へゆこう。そこはニライカナイ。きっと見つかるはずだ。「ちんびん粉」という名の神の宝が。
なお現代はAmazonでも買える。最高だ。
作り方は「水で溶いてうまいこと焼く」だけ。
1袋の「ちんびん」粉。それだけ。
1杯の水。それだけ。
1さじの油。それだけ。
焼けたらうまいこと巻いたり巻かなかったりしてホカホカのうちにかぶりつく。それでもう他に何も要らない。天国の到来。御来迎。56億7000万年後まで毎食「ちんびん」を食べよう。
NO CHINBIN, NO LIFE.
陽気な「ちんびん」が地球を回すのである。
回せ、世界。
我が家のねこのごはんが豪華になります