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多感な時期にサカナクションに出会っていて本当に良かった

はじまりの『ミュージック』

僕とサカナクションの出会いは中学生。
両親がストランが舞台のドラマ『dinner』を気に入って観ており、その主題歌がサカナクションの『ミュージック』だった。


父はいたくこの曲を気に入り、CDショップでアルバム『sakanaction』を購入。車で出かけるとき頻繁に流していた。
バンド名と同じ命名であることから、てっきり1stアルバムなのかと思っていたが全くそんなことなくてビビったのも懐かしい。6作目とかめちゃくちゃ老舗バンドじゃん…。

参考:サカナクションのアルバム

・GO TO THE FUTURE(2007年5月9日)
・NIGHT FISHING(2008年1月23日)
・シンシロ(2009年1月21日)
・kikUUiki(2010年3月17日)
・DocumentaLy(2011年9月28日)
sakanaction(2013年3月13日)👈これ
・834.194(2019年6月19日)
Wikipediaより引用



紅白、CMソング

サカナクションは大ヒットした『ミュージック』を引っ提げ、紅白歌合戦に出場。PCを前に横一列に並んでパフォーマンスする彼らの奇抜さには驚いた。今でもそのときの映像は鮮明に思い浮かべることが出来る。


同時期のCMソング『夜の踊り子』もTVでよく流れており、サビの透明感と伸び伸びとした山口一郎の声が僕の心を打った。

あまりにも良曲だったためフルサイズを視聴したのだが、え、Aメロがサビの印象と違う…?!


音楽の構成、奥深さを知ったのはサカナクションが初めてだった。

※ サカナクションは滅多にCMソングを出さないが、数年前の『プラトー』はそのサビの爽やかさが目薬らしさを表現している。目を覚ましたい時に聴いて、眠気を飛ばせるのでお世話になっている。




広がる世界、音楽の楽しみ方

好きな曲はそれなりにあっても、アーティストに対して興味を持つことがほとんど無かった僕は、一気にサカナクションの世界観に引き込まれていった

TSUTAYAでアルバムをレンタルし、PCを中継してスマホに取り込む。ひととおり流し聴きする。気になった曲は戻って再生する。好きな曲を見つけたらプレイリストに入れる。出来上がった最強プレイリストは、勉強しながらシャッフルリピート。

中学生の頃、お気に入りだったのは『Ame(A)』『僕と花』

まだ音楽に対して大して自我も芽生えていなかったので、全般的に分かりやすい音楽を好んで聴く傾向があった。
言うならば、小さい子どもがハンバーグや唐揚げを好んで食べるそれ。

バッハの良さを分かるようになってから、僕の音楽体験が変わった気がする。




大学入学当初は、自身の状況とも重なっていたこともあり『ルーキー』をずっと聴いていた。
長いイントロに、同じ歌詞を何度も繰り返すのはサカナクションの王道スタイルであるが、この頃にはその良さがしっかり分かるようになっていた。

あと、『ナイトフィッシングイズグッド』を初めて聴いたときの感動は一生忘れない。同じ曲の中に2曲あるんだよな。

マジで言葉通りなので騙されたと思って聴いてみて欲しい。絵本のような、綺麗で遊び心のある世界が、そこにある。




ライブで得る、新たな気付き、解釈

サカナクションによって僕は音楽の楽しみ方を理解し、世界を広げた。今も様々なアーティストの楽曲を聴いているが、サカナクションは特別。なんというか、ルーツになっているような感覚がある

彼らの音楽を生で体験したいという願いを、社会人になる前のタイミングで叶えた。

当たり前だがライブは音源を聴くのと違って、乗っかってくる情報が格段に多い。そして、それらはその瞬間でしか得られない体験である。
細部のアレンジ、イントロの改変、曲と曲の連結。さらにはステージの照明や舞台上での彼らの躍動。音楽的な要素と、視覚的な要素。

『ルーキー』を演奏しているときの白く明るい緑の照明が眩しい…。その光の中でパフォーマンスする彼らも痺れるほどかっこいい…


ライブの良さは他にもある。アーティスト本人たちの姿を観られることだ。終始僕が思っていたのは、山口一郎、お前、めちゃくちゃ心が若いな…?

スタンド二階席だったが、彼の動きやモニターで拡大されて見える表情、っしてMC中の発言から彼のエネルギーの底の知れなさを感じた。

特に、『忘れられないの』を歌う彼は確実に若返っていた


てっきり、サカナクションは昔に紅白で見たような、ミステリアスでストイックなアーティスト集団だと思い込んでいたが、その実態は全力でエンタメしているユーモアあふれるバンドなのだと認識が改まった。
(ひょっとすると、古参ファンなら彼らの印象は違うのかもしれない)

アーティストによってライブの位置づけは千差万別であるが、サカナクションに関しては数ミリでも興味があるのならぜひ行ってみることを推奨する。




おまけ①:ライブで聴いて良さに気が付いた曲

歌い出しにやられた。問いかけるような歌詞。透き通る山口一郎の声。

悲しい夜の中で蹲って泣いてたろ
街の明かりが眩しくて 眩しくて
通り過ぎて行く人が 立ち止まっている僕を見て
笑うんだ 笑うんだ

サカナクション『白波トップウォーター』


まだまだ若造だけれども、それなりに人生は大変だし、苦しいこともたくさんある。悩み、考え、疲れ、溺れてしまいそうになるときがある。

そんなときにこの曲を聴くと心が慰められるし、波が辛い気持ちをさらってくれるような気がする

おまけ②:20代半ばになって効いてきた曲

歳を重ねると「人間どうしようもない」と思うことが増える。それは、他人のことかもしれないし、自分のことかもしれない。

誰かを笑う人の後ろにもそれを笑う人
それをまた笑う人
と悲しむ人

サカナクション『エンドレス』

ああ、なんだか人間社会に疲れたなあ。もう何も見たくない。考えたくない。

AH 耳をふさいでる僕がいる それなのになぜか声がする
見えない夜に色を付ける デジャブしてるな

サカナクション『エンドレス』

独り夜に、人間の残酷さや浅はかさについて思い悩み、考えている人がいるとしたら(そんなピンポイントにいるわけないけど)ぜひこれを聴いてほしいと思う。

答えの出ることのない、エンドレスな問いを考え続けるあなたに、この曲は寄り添ってくれるから。

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