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任意参加の研修は、労働時間になる?

「○月○日、研修を開催します!参加は任意です」

もし皆さんに手元に会社からこうした案内が届いたとしましょう。

ぜひ参加したいと思い、備考を見ると「業務外」との文字が...

会社が主催するのに業務外?
こう違和感を覚えた方もいるでしょう。

このときの研修の取り扱いはどうなるのでしょうか?


ポイントは、その研修が「完全に自由参加か」「実質的に業務の一環とみなされるか」


「労働時間」と聞くと、「実際に仕事をしている時間」をイメージしがちですが、法律上は「会社の指揮命令下にある時間」を指します。

たとえば、休憩中でも「電話が鳴ったら対応するように」と指示されていれば、実際に電話が鳴らなくても労働時間に該当します。

では、会社が主催する研修が就業時間外に行われた場合はどうでしょうか?

ポイントは、その研修が「完全に自由参加か」「実質的に業務の一環とみなされるか」です。

形式上は「任意」とされていても、実際には参加を求められる雰囲気があれば、労働時間と判断される可能性があります。

業務時間内の「任意参加研修」は勤務扱いになるのか?


さて、悩ましいのは、業務時間内に実施されるものの、参加が任意とされている研修の扱いです。

例えば、社内のスキルアップ研修で「プレゼンテーション講座」「プロジェクト管理基礎」「最新のAI技術」など複数のテーマが用意され、社員が希望するものを選んで受講できる形式は、多くの企業で採用されています。

このような研修は必須ではないものの、業務時間内に開催されるため、勤務時間として扱うべきかどうかが議論になることがあります。

最終的には、状況によって解釈は異なるため、ご専門の方にお聞き頂くのが一番ですが、多くの場合、業務時間内に実施される研修は「業務の一環」とみなされることが多いと考えられます。

つまり、こうしたケースでは、個々の研修が「強制」か「任意」かという点よりも、「会社が主催し、業務に関連しているかどうか」が重要になります。

例えば、営業職向けに開催される「提案力向上研修」や、エンジニア向けの「最新プログラミング言語講座」などは、業務に直接関わる内容であり、業務時間中に実施されるのであれば、その受講時間は勤務時間として扱われるのが妥当だと考えられます。

「任意参加研修」で労働時間に該当しないケースの例は?


最後に、労働時間に該当しない研修の具体例を見てみましょう。

例えば、終業後に自主参加型の勉強会を開催し、参加が完全に自由である場合です。参加しなかったとしても評価や待遇に一切影響がない場合、勤務扱いにはならないことが多いでしょう。。

従業員が会社の設備を無償で使用する許可を得たうえで、勤務時間外に一人で学習したり、先輩社員に指導を依頼したりするケースも該当します。この場合、会社から指揮命令を受けず、完全に自発的に行われているため、労働時間とはみなされません。

近年、人材育成の重要性が高まり、企業は多くの学習機会を提供していますが、それが勤務扱いかどうかも明確にしておくことは大事です。

社員が自主的に学べる環境を整えると同時に、不必要な労働時間の発生を防ぐためのルールを定め、公正な運用を行うことが求められます。


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