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冬の帯広ひとり旅 ~十勝地方とハルニレの木~(1日目)

2月13日(木)

仕事を14時頃に切り上げて、自宅へ戻る。
パンパンに詰まったバックパックを担ぎ、関西国際空港へ向かった。
今回の行き先は北海道。

2023年のニセコグラベル以来、2年ぶりの北の大地だ。しかし、冬に訪れるのは初めて。期待とともに一抹の不安がよぎる。

日本語より外国語の方がよく聞こえる

それは直前に十勝地方を襲ったドカ雪のこと。
何を隠そう、今回の目的地の一つは帯広を中心とした十勝地方なのだから…。

13日の夜は空港内の温泉施設に併設された休憩室で一泊。

北海道といえばガラナ

身体が疲れていないのか、日付が変わった2時頃まで寝つけなかった。

2月14日(金)

早朝、空港を出ると冷たい空気が頬を刺す。それでも澄んだ空気が心地いい。
"北海道に来たんだな"と実感する。

新千歳空港から1駅移動して、南千歳駅へ。
電車を降りると、目の前には白い世界が広がっていた。

今回は家族旅行に合流する前に、一人で帯広を訪れることにした。

北海道の中でも、訪れたことのない地域に行ってみたかった。
知らない道を歩き、知らない風景を眺め、知らない土地の人々の営みを知る。
普段の生活圏から抜け出し、見たことのない世界を見たかったのかもしれない。

南千歳で特急に乗り換え、帯広へ向かう。

It's nice morning………

白銀の世界に胸を躍らせながら、車窓に向けてカメラを構える。

奥に見えるのは日高山脈

あっという間に約2時間が経過し、帯広に到着。

帯広は思っていたよりも雪が少なかった。

いや、除雪されていて少なく見えたというのが正しいのだろう。
それでも歩道は滑りやすく、一歩一歩慎重になる。平日のせいか、人影はまばらで、街全体が静かな印象だった。

今回の旅は、スケジュールを細かく決め込まず、ある程度の目星だけをつけていた。

Googleマップと睨めっこして決めたのは、帯廣神社。バスに揺られて10分程度の移動だ。

この神社は「銀の匙」に登場した神社でもあり、運が良ければシマエナガが見られると聞いていた。
(残念ながらシマエナガには会えなかったが、、、)

そして、神社の裏手へ周り十勝川のほとりへ出る。見渡す限り雪が広がる景色。
その白さが眩しくて、しばし立ち尽くす。

十勝川の流域面積は全国6位

その後、徒歩で帯広駅へ戻る道中、六花亭本店に立ち寄り、サクサクパイを食べた。
甘党にはたまらない、優しい甘さが口いっぱいに広がる。

さらに、帯広グルメといえば豚丼。
薄切りのロース肉と甘辛いタレが絶妙に絡み、あっという間に完食してしまった。

再び電車に乗り、次の目的地は豊頃町。
目指すはハルニレの木。1時間ほどの電車移動だ。

豊頃駅からはコミュニティバスで移動する。
道中、運転手の方と会話をした。

やはり2週間ほど前の豪雪はなかなか酷く、軽自動車がすっぽり雪に埋まってしまったという。
除雪が追いつかず、2日間外出できないため食料に困ったとも聞いた。

バスを降り、1.5kmほど歩くと、遠くに大きなハルニレの木が2本、空に向かってそびえ立っていた。

最高の天気で優勝した

真っ白な地面と日が暮れてきて、空の青さがグラデーションになっている風景が最高だった。

本当は日没まで粘り、星と雪のコラボレーションの写真を撮りたかった。
しかし、天気予報では夕方から雲が出てくるとのことで、帯広に戻ることにした。

帰りの豊頃駅で、帯広で教師をしているカナダ人男性と出会った。

日本に来てから約10年なのに、北の国からが好きとか渋すぎるでしょ

帯広の高校で教鞭を執っているそうで、興味深い話を聞くことが出来た。こうした出会いは旅ならではのもの。まさに一期一会だ。

そして帯広に戻り、冷えた体を温めるために、地元の有名店「インデアンカレー」に入る。
スパイスの効いたカレーは、辛さの中にどこか優しさを感じる味だ。

鍋を持ってきてルーだけ買って帰る地元民も

そして、食後はクラフトビール。
立ち寄ったバーで味わったのは、地元の醸造所が手がける「旅のはじまり」というビール。

北海道産の麦芽とホップ、酵母、水のみで作られたシンプルなピルスナータイプ。
マスカットのような爽やかさと、ほんのりとした苦味が絶妙なバランスを織り成していた。
北海道産のじゃがいもを使用したポテトサラダを摘みながら、完飲した。

外に出ると、夜の空気がさらに冷たく感じる。
寒空の元、ホテルへと向かった。

今回泊まるホテルには、「モールの湯」という温泉が湧いているらしい。

植物が長い時間をかけて堆積し、亜炭層を通って湧き出る温泉で、植物性の有機物を多く含むのが特徴だという。
ホテルのウリにもなっていたので、期待を胸に浴場へ向かった。

ふく井ホテル HPより

熱めの湯にゆっくりと浸かる。
体の芯から温まり、長旅の疲れがじんわりと溶けていくようだった。
湯上がりのぽかぽかした感覚を楽しみながら部屋に戻る。

スマートフォンを弄りながらベッドに横になると、明日の予定を考える間もなく、意識が遠のいていった──。

2日目に続く

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