『どこの山行きたい?』の話
神保町裏路地日記(63)
2025/01/11㈯
昨日は年始最初の週末ということもあってバタバタでした。色んなご縁もありましたし、やっぱり年始こそゆっくりお話したい人ばかりが来てくて下さって本当に有り難い限りです。
早い時間にいらした方とのお話の中で「今年はどこの山に行きたいか?」と言う話題になりました。
どこの山が良いかなーとしばらく考えたあと、「やっぱり、今年こそ熊野には行きたいですね。」と答えた僕。
以前スペインのカミーノ・デ・サンティアゴを歩いた僕達は帰国したその足で熊野古道を歩くつもりでいたのですが、ひょんなことから成田空港に帰国した瞬間に神保町でお店を開くことが確定したことで『熊野を歩く』ことが有耶無耶になってしまいました。スペインの巡礼路と日本の熊野古道は世界遺産に登録された道として姉妹提携していて、両方の道を歩いた巡礼者は『二つの道を歩いた巡礼者』として証明書をいただけるらしい。折角だからそれを目指したいと思いながらそろそろ6年が経とうとしていると言うわけです。
以前よりも山岳信仰に興味を持った僕は、少しは熊野古道を歩くことで日本原始の信仰を感じ取ることが出来るかも知れない。何も知らずに歩いた頃とは少し違う自分という自覚はあって、でも目に映る全てのものを新鮮に受け止めたい気持ちもあって、そう言うぐるぐるっとした色んな感情のまま熊野を歩けたら楽しいだろうなと思うのです。僕にとっては、僕の物語の一つの章の完結となる旅。それが熊野古道なのです。
さて、じゃあ熊野古道が第一候補としてその他に行きたい山はどこですか?と聞かれたら。僕は石川県の「白山に行ってみたい。」って答えます。これも熊野と同じような理由で、日本の三大霊山を歩いてみたいから。
日本の三大霊山と言えば、富士山、立山、白山。日本の有名な巡礼路と言えば、熊野古道、お遍路、出羽三山。このうちまだ行ってないのが熊野古道と白山なのです。それに加えて石川県の日本酒が好きな僕は、是非にでも訪れてみたい酒蔵がある。それで言うと、信仰と日本酒の勉強のために、白山はどうしても行ってみたい、登ってみたい山なのです。
このふたつが僕が行ってみたい山。言葉にしてみると、もう僕にとって山はすっかり『自由研究の場』のようになっているんだなと思います。山と酒、道と人の営み。時代の大きな流れの中の、日本人の源流を辿りたいという好奇心で行き先を探すようになっている自分を、趣味で山を登り始めた頃の僕はきっと想像できなかったでしょう。なんて崇高な目標を持っていますと言いたそうな僕ですが、「知らない世界を見てみたい」という月並みな気持ちは結局、一人旅が好きだと言って国内外をフラフラと旅していた頃と少しも変わっていないのですけどね。
皆はどんな山に登ってみたいんでしょう?お話聞かせてほしい。出来れば、どうしてそこなのか?どうしてもそこに行きたい理由があるのかどうか、そんなことまで聞けたら良いなぁ。