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No.585 小黒恵子氏の記事-5 (ピアノ響き よみがえる懐かしさ)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今回は、1994年に毎日新聞に記載された「遊トピア」記事のご紹介です。

開館4年目の小黒恵子童謡記念館 多摩のほとり ひっそりと
ピアノ響き よみがえる懐かしさ


多摩川のほとり、ケヤキの木々に囲まれて、年代を刻んだ西洋風の館がひっそりと建っている。川崎市高津区諏訪の小黒恵子童謡記念館は七月に開館三周年を迎えた。
「ドラキュラのうた」などで知られる童謡詩人の小黒恵子さん(六五)が、一八七九(明治一二)年築の木造二階建て自宅を改築し、作曲家の手書き楽譜や詩集、レコードなどを展示している。入り口の大きなドアを開けると、一階は約五十席の小ホール。専属ピアニストの井林芳恵さんと大竹由美子さんが童謡メドレーで迎えてくれる。「小さい秋みつけた」「ふるさと」など懐かしい曲に合わせ、声を出して歌ううちに童心がよみがえってきた。
小黒さんが童謡の作詞を志したのは、二十七、八歳のころ。戦後の混乱の中、週刊新潮の表紙を描いていた谷内六郎氏と知り合ったのがきっかけだった。「こんな素晴らしい世界があったのか」と、サトウハチロー氏に三年間師事し、やがて、NHKの「みんなのうた」などでおなじみの歌を次々と発表した。
部屋の奥には英国製と米国製の手巻き蓄音機が二台。戦前の童話全集など約三百枚の七十八回転のレコードは、全国各地から寄せられた。小黒家にあったレコードは「戦時中、防空ごうに入れたら湿気で反ってしまった」。 「親によくかけてもらったが、もう蓄音機がなくて」と寄贈するお年寄りが多く、一枚々々に思い出が刻まれている。
窓の外に広がる庭では、一昨年の秋に子供たちと落ち葉をたいて童謡を歌う集いが開かれた。「多摩川の流れを見ながら、河原の花を摘み、昆虫を追っているうちに詩心がはぐくまれた」と話す小黒さん。裏庭に「けや木たつ 多摩のほとりの諏訪川原 緑の伝言 未来に伝えて」の歌碑が建つ。庭の自然と童謡の思い出を伝え続ける記念館だ。毎週土、日曜開館。午前十一時から午後五時まで。同館044・833・9830。

毎日新聞 平成6年(1994年)9月23日

現在は、川崎市に遺贈され、リニューアルしてオープンしています。色々とイベントも行っていますので、当館ホームページでご確認ください。

  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
  次回も、1995年に新聞に紹介された小黒恵子氏の記事を、ご紹介します。(S)

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