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No.547 小黒恵子氏の詩-14 (旅)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 今回は、小黒恵子氏作の詩 をご紹介します。
うた」(詩と音楽の会年刊詩集)に掲載された「詩」のうち、まだこちらのnoteで紹介されていない「詩」をご紹介します。

 この「詩と音楽の会年刊詩集79」には、(13作品)(15作品)(10作品)の計38作品が掲載されています。小黒恵子氏の詩「旅」は、に入っています。


                      小黒恵子

地図を ひろげて
鉛筆列車の 旅をするのは
楽しいものです

鉛筆列車は みどりを縫って
鉄橋をわたり トンネルぬけて
やってきました
浅間そびえる 信州しんしゅう追分
高原のプラットホームに 咲いていた
燃えるカンナの 血の色
ふと思い出す あんずの香りの
夏の日を

地図を ひろげて
鉛筆列車の 旅をするのは
楽しいものです

山川いくやまかわこえ 海峡わたり
昆布の町を 通りすぎて
遥々はるばるきました
ここは道東どうとう 広い麦ばたけ
向日葵ひまわりのゴッホの絵よりも なお黄色きいろ
地平に続く 麦でした
今よみがえる 独り旅した
遠い日を

地図をひろげて
鉛筆列車の 旅をするのは
楽しいものです

1979年(昭和54年)1月15日発行 詩うた79  詩と音楽の会年刊詩集

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回も、詩と音楽の会年刊詩集「うた」から、「詩」をご紹介します。(S)

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