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No.464 小黒恵子氏のインタビュー記事-30 (けさの顔)

 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。

 様々な新聞記事等をご紹介しています。今回は、小黒恵子氏へのインタビュー記事です。

けさの顔    日本作詞家協会童謡賞を受けた 小黒恵子さん

 もの静かな容姿が、対話を始めると、いきいきしてくる。的確な言葉を探し出しながら話す。受賞の「ハダシとハダカ」は“野原の仲間たち”の副題がつき、十四の童謡からなっている。すでにLPレコードにもなり、四十七年度芸術祭参加作品に選ばれた。
 童謡集も「シツレイシマス」(現幻社刊)などを出し、近く「私のトモダチ」を刊行する予定。「私のトモダチ」とは虫のことだという。一般歌謡の作詞も手がけ、一昨年は「あした吹く風」で日本詩人連盟賞もとったが、師のサトウハチロー氏の忠言もあって、これからは童謡一筋に- と決心している。
 現住地の川崎市高津区諏訪一一一で生まれているが、当時は一面、桃畑だった。今でも家の一角にはスズメがやって来る。コオロギ、トカゲ、フクロウ、ヤモリがおり“トモダチ”にはこと欠かない― と笑った。「この環境が大いに作詩に影響しているんです」。
 昨年は川崎市議会などに請われて「夢見ケ崎音頭」と「日吉音頭」をつくり、踊りの振りもついて発表会を盛大に行った。画家、谷内六郎さんとは古い友人で、谷口作品の心の世界、純粋性にひかれ、「あの世界を詩にあらわそう」と童謡を始めた。本格的に没頭したのは約十年前からのこと。サトウハチローの「木曜会」に入っていたが、あまりにサトウ氏の影響が強すぎて、書くものが、つい“ハチロー調”になるので二ヵ年で「思い切って、会を離れ」新しいタイプ、新しい感を出すよう努力してきたという。
 家には八歳のキュウカンチョウと犬二匹、ネコがいるが、このキュウカンチョウが、ある時から急に「シツレイシマス」と叫びはじめたのをみて、「シツレイシマス」の一編を作詩した。今回受賞の中に含まれている。
 高津小、田園調布高、大妻女専を経て中央大法科卒。作家の岡本かの子とは遠縁に当たる。日本詩人連盟会員、日本作詞家協会員、「まつぼっくり」同人。趣味は旅行、草むしり。両親と住む。四十二歳。

(新聞社不明) 1973年?月

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回は、1970 年頃に掲載された小黒恵子詩集の紹介記事をご紹介します。(S)

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