詩のご紹介11 パリのめぐり逢い(小黒恵子作) ~ユトリロの絵のなかで~
こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
今回の詩は、「パリのめぐり逢い」です。
「詩集:ユトリロの絵のなかで」については、下記をご覧ください。
まずは「目から」。
パリのめぐり逢い
~ユトリロの絵のなかで 「花衣」より~
小黒恵子作
その時--
あなたは
紺の背広に つつまれて
まずしい 美しさでした
瞳は 晴れた空のいろ
アルプスの 風の匂いを連れて
シャンゼリゼの カフェテラスの
真紅のテントを バックに
紺青の 矢車草のようでした
だから
一層 驚いてしまったのです
言葉が みつからなかったのです
一ぱいのコーヒーに
幾歳月の 時は消え失せて
パリの空の下で 語らうひと時
そして
黄昏の シャンゼリゼの人混みのなかに
さり気なく 別れました
--あのとき
もしあなたを送っていたら
僕の人生は 違っていたでしょう--
こんな言葉を かるく残して
パリの 思い出のなかに
まぶしく浮かぶ
矢車草
次に「耳」からお聴きください。
朗読:大森寿枝
最後まで、お読みお聴きいただき、ありがとうございます。
次回の詩は「薔薇の館」です。(S)