詩のご紹介146 老獣(ろうじゅう)の詩(うた)(小黒恵子作) ~モンキーパズル~
こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
小黒恵子最後の詩集となる「童謡集:モンキーパズル」では、野に咲く小さな草花や虫を歌った詩から、サバンナで繰り広げられる鳥獣の死闘の詩まで、色々な詩が含まれています。
今回は、「老獣(ろうじゅう)の詩(うた)」~Ⅲ~ です。
「童謡集:モンキーパズル」については、下記をご覧ください。
老獣(ろうじゅう)の詩(うた)
~モンキーパズル Ⅲより~
小黒恵子 作
ハッ!!とした 瞬間(しゅんかん)
すさまじい 響(ひび)きをあげて
ウオーターバックは 走っていた
砂煙(すなけむ)りを け散(ち)らし
ありったけの力を ふりしぼって
矢(や)のように
走る走る 走る走る
走る走る 走る走る 走る
目がくらんで
はりさけ破(やぶ)れそうな のど笛(ふえ)
突然(とるぜん)
ウオーターバックは
なえた脚(あし)が もつれてきた
ズズズズズズ
ドドドドドドドド
その時
ライオンの 鋭(するど)い爪(つめ)のナイフが
脇腹(わきばら)かすめて
ドドドーッ!!と 倒れた
舞い上がる 砂煙り
立つのぼる 土ぼこり
のど笛の
ヴァイオリンの 絶唱(ぜっしょう)が高鳴(たかな)る
見開いた 老獣の瞳(ひとみ)に
はてしない
マリンブルーの空を
静(しず)かに 映(うつ)していた
この詩は、「少年少女合唱のための組曲 ライオンの子守唄 ー野生の大地アフリカの詩-」(小黒恵子詩/高木東六曲)の7曲目として使われている。
詩は一部が、少しだけ異なっている。
■「ライオンの子守唄」バージョン(同声3部)
老獣(ろうじゅう)の詩(うた)
高木東六 作曲
ハッ!!とした 瞬間
すさまじい響きで
ウオーターバックは 走っていた
砂煙りを け散らし
ありったけの力を ふりしぼって
矢のように
走る走る 走る走る
走る走る 走る走る
目がくらんで
はりさけ破れそうな のど笛
突然
ウオーターバックは
なえた脚が もつれてきた
ズズズズズズ ドドドドドド
その時
ライオンの鋭い 爪のナイフが
脇腹かすめて
ドドドーッ!!と 倒れた
舞い上る 砂けむり
立上る 土ぼこり
ヴァイオリンの 絶唱が高鳴る
見開いた 老獣の瞳に
はてない マリンブルーの空を
静かに 映していた
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
次回は、「大平原のキャンバス」(童謡集:モンキーパズル ~Ⅲ~)をご紹介いたします。(S)