Photo by matsubishi エッセイのご紹介410 お正月はミノムシになって(小黒恵子著) 5 小黒恵子童謡記念館 2022年6月10日 16:00 こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。 今までは、神奈川新聞のリレーエッセイをご紹介してきましたが、今回からは、神奈川新聞のサンデーブレイクに掲載されたエッセイをご紹介いたします。 記念館には、自筆の原稿が残っており、ここでは、原稿の方をご紹介します。実際の記事は、校正を重ね、少し異なっています。 詩人の書いたエッセイ、独特の言葉選び等を感じていただけると幸いです。エッセイ タイトル一覧(小黒恵子自筆の原稿より)「お正月はミノムシになって」 詩人・童謡作家 小黒恵子 今年はとりどし。ヒマラヤを飛ぶ鶴の美しい姿を、ふと思い浮かべた。 そしてその麓の大自然の平原に生きる遊牧の家族を幸せと思った。 現代社会の組織の中に生きている私達は、目に見えないストレスのくさりにつながれている。 そこで私は毎年お正月には、ミノムシになる。 門を閉ざして誰にも逢わず受話器もとらない。 自由な時間を自由に使って、三匹一羽一人の三種類の家族で幸せをわかちあう。 そんなわけでお正月は、一年を通して最高な日々だ。 ミノムシと言えば、時代と共に、ミノムシの家も新建材に変った。赤や青のビニールや毛糸の切れはし等を使って雨風に強く派手な家になった。 目立つけれど鳥はミノムシと気付かず、かえって安全なのかもしれない。 鳥と言えばこの季節には毎年、多摩川にカモの群が飛来するが、岸辺を歩いているカモの姿は、決して美しいとは言えない。体重が一寸重すぎるような感じのこの鳥たちが、遥かな地から飛来するのを思うと、尊敬の気持が湧いてくる。 そして世界中が鳥獣保護の国々であって欲しいと思う。 地球は一つ。鳥には国境も狩猟地も関係ないのだ。 人も鳥も動物も昆虫も、みんな一つしかない大切な生命、私達が守ってあげねばと思った。 静かなお正月にわたしはミノムシになって、そんなことを考えていた。1993(平成5)年1月10日 神奈川新聞サンデーブレイク掲載の原稿 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 次回も、小黒恵子の神奈川新聞のサンデーブレイク原稿をご紹介します。(S) ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #エッセイ #自由 #紹介 #詩人 #正月 #原稿 #小黒恵子童謡記念館 #小黒恵子 #毎年 #ミノムシ #神奈川新聞 #サンデーブレイク 5