外郭団体か民間か、それともそれ以外か
行政事業というものは、結構いわゆる外注的に出しているものも多くって、大なり小なり外部の協力がないと成し得ないもあります。じゃあそれを「どこに」「どのように決めて」お願いするのか、これが見えにくいところでありまして。
シンガポール修学旅行が直近のひとつの例
この件に至っては、議会側と行政側の認識が今も実は違っていて。
先月、そんな事業者選考が行われて、今週の特別委員会でどこにどう決まったかの報告がされる予定です。なので、この件はまだ継続審議をしており最中でありまして、委員会終了後にどうであったかまとめてご報告をしますけれども。
そんなことはさておいて、海外修学旅行は実施事業者を選ぶ必要があるわけで、そのために事業者から「修学旅行内容の企画提案(丸投げ感が腑に落ちないけれども)」、「プロポーザル方式」、「港区関係者以外の第三者を多めに(5人有識者、2人役所職員)した選考委員」で最適なところを選んでいただきましょうとなっています。
自民党会派としましては、いわゆる「出来レース」とならんように、通常の選考委員を5名から増員してくれと要望していたわけで、それは叶ったのできっちり選ばれるための最低限の改善はされたと思います。なぜここまで細かく指摘していたかと言いますと、「事業立案と選考過程で公平性・透明性に問題はないだろうか」という懸念があったからわけですよね。
新しいことを始めることも大切なんですが、そこに至るまでの経緯がどうだったかという視点でモノを見ることも重要だと思います。ま、細かくはまた別の機会に。何がいいたいかと言いますと、信用と信頼が備わってて、それが回り回って港区と港区民とかのために満足する結果が出ればよいという話。
港区立みなと芸術センターというものができる予定
浜松町の駅のすぐそば、たくさんの方には「ああ、世界貿易センタービルか」とピンと来る方もいらっしゃると思いますが、そこの再開発でみなと芸術センターという施設を何フロアか入れさせてもらうことに。
もとより芸術センター的なものは平成19年くらいから区民参画組織とかからご意見いただきながら整備しようとしていたようなんですが、平成23年の東日本大震災による影響で計画変更。元々のプランでは、今の芝浜小学校があるスペース(田町駅すぐのみなとパーク芝浦の真隣)に芸術センター的なものを建てようとなってたみたい。これは私が議員のお役目いただく前のこと。
で、再開発の計画が進み、港区もいろんな準備を進めていく中で、さてどういう施設にしようかしら、さてどんな施設だったら港区が誇れるようになるのかしらなどなど、検討が進められていたわけですね。素敵な公演が見られるようになるのよねとか、舞台に立てるのかしらとか、ドキドキしながら楽しみにしてる区民も少なからずいらっしゃった。どこの事業者がやるんだろうとか。そんな中、1年ほど前でしょうか、とあることが発覚したのは。
非公募で外郭団体に委託することが前提だった
非公募にした理由(当時)は、「事前に調査したけれど民間は手を挙げるところがなさそうだったから」「財団は地域をよく知っているから最適」「財団はネットワークがあるから最適」というような理由の羅列。解せぬ。
事前の調査だってまったくヒアリングの声がかからなかった事業者もあったし、他の自治体で同様施設の指定管理受けている実績あるところも声すらかけてもらえなかったと後に聞いたことあるし。要は「調査がテキトーだったのでは」「外郭団体へ出す結論ありきだったからでは」と、疑念が払拭できなかったわけです。
昨年の予算委員会からだったでしょうか。このみなと芸術センター(当時はまだ名無しだったので【文化芸術ホール(仮)】でした)と指定管理に関して、自民党会派からのみ質問が連発。
年間10億円とも事業費をかけるとされる、しかも「世界に誇れる施設に」とするのであれば、未だに毎年6億円超の運営補助金をもらって組織運営している外郭団体が最適だと、誰が納得するのかと。それであれば公募にして、事前調査に声をかけてもらえなかったところもチャレンジできるようにして、もちろん非公募内定していたところもチャレンジできるわけだから、どう港区にとってプラスとなる施設になるかプロポーザルなりなんなりで公平公正に選べばよいだけなのに。
と、公募に切り替えるよう訴え続けてきたわけです。
公募に切り替えが決まりました
こちらの声が届いたということで、結果としては非常に満足いくものとなりました。まだ事業者が決まったわけじゃないけど。とにかく公募に切り替わったことで、ワールドクラスの興業ができる事業者が手を挙げてくれるかもしれないし、そのノウハウをもとに利用する区民が「あら素晴らしいわねここ」と思ってくれるのが一番いい。
そう、海外修学旅行と同じ。行政は自分たちですべては賄えないから、より良い内容にするのであれば公募一択。海外修学旅行がもし、「手を挙げるところがなさそうだから」とか「これまで国内の修学旅行で港区の学校を知っているから、そこが最適です」という類似した理由で非公募で内々で決まっていたとしたら、おそらく大炎上でしょう。なので公募になったことを歓迎します。
実はまだ全部納得できてない(個人的に
管理運営計画というのが策定されていまして、ここにみなと芸術センターとはどういう施設にしていきたいか、的なことが示されてます。長い。
みなと芸術センターが開設されることで気運情勢を、要はオリンピックのようにアゲていきましょうということで、港区ではワークショップ等が開かれていました。今もやってんのかな、ちょっと事業スケジュールまで完璧に把握はできてない。
一度見学に行ったんですよね。参加される区民のみなさんが港区と芸術についてどう感じてるのかなとか気になるじゃないですか。そしたらですね、区の方ではない芸術アドバイザー的な方がおっしゃったのがとても強烈に印象に残ってましてね。
そりゃあ参加された方々から「人材育成のイメージがわからない」「港区がどこに向かおうとしているのがわからない」「港区でそういうのをやる価値がわからない」と質問があがりましたよ。
ま、あれから数ヶ月。事業者も公募に切り替わることですし、管理運営計画も一度策定されたものの、本当に改めてこれでいいのかを見直したり多くの方の意見を聞いてみてもよいのかなと思った次第。