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インドの旅 (1)

台湾・中国・ミャンマーへ一緒に行った親友と、29歳の時インドへ行った。

大学卒業後は離れた場所で仕事をしていたので一緒に旅行する事はなかったけれど、
それぞれが色んな国を旅行していた。

久しぶりに一緒に行くことになり、
行き先会議ではインド行きがすんなり決まった。
特に私は、どうしてもインドへ行きたかった。



リゾート旅がしたいならここ、
ショッピングを楽しみたいならここ、
海外旅行慣れしていない人とならここ、

大学卒業してからの6〜7年の間は、
一緒に行く人に合わせたり、自分が行きたかった国を選んだりしながら旅先を決めてきたけれど、
インドは一度も選択肢に出なかった。
多くの人の中に、インドは少々ハードルが高いという共通認識があったのだと思う。

それでも、私たちが迷うことなく行き先をインドに決めたのは、29歳だったから。

私たちには、刷り込まれているある言葉があった。


   『20代のうちにインドへ行け』


高校時代の、世界史の先生の言葉。

うちら、29歳やで。インド行こ!
そんな感じでスッと行き先は決まった記憶がある。


タージマハル 


先生は3年間世界史を教えてくれた。
世界史は、馴染みのない聞いたことのないカタカナの名前や地名がたくさん出てきて、なかなか覚えられなくて苦戦した。好きな教科だったけど、難しかった。

〇〇王朝の〇〇何世
〇〇〇〇〇〇皇帝
〇〇〇〇・〇〇〇〇大統領
条約、戦い、偉人、名画名著の作者

日本と中国以外はカタカナ表記で、
どこの国やねんと思っていたら現存の国と名称が違ったり。
外国に行ったことがないと、夢物語のようであまり自分のものにできなかった。

それでも、授業は楽しかった。
強く記憶に残っているのは先生の旅行の話。
先生は、大学生のころの世界各地を旅した話を要所要所に入れてくれた。


スペインの入国の時かどこかのセキュリティチェックで、身ぐるみ剥がされた話。
本物のゲルニカのインパクトは大きかった話。

インドでは、トイレの後は誰も紙で拭かずにロープをまたいで拭く(ぬぐう)という衝撃的な話。
紙幣にはひとつの国なのに数十言語の表記がある話。
インドには世界中のあらゆる社会問題が詰まっているという話。

しかも、先生の思い入れが強かったのか、4時間近くあるガンジーの長編映画を、世界史の授業で全部見せてくれた。



自らの体験談を語るとともに、
『インドは20代のうちに行っときなさい』
とよく言っていた。

この言葉はどういう意味なんだろう。
行ってみないと分からないんだろうなぁ。
行ってみたいなぁ。
直接行って色々見たい!

先生の授業を受けた私たちは、
海外にとても興味を持つようになった。

そしてインドのことは、
私も友人も、高校卒業して何年経ってもずっと気になっていた。
20代最後という事実が、ためらっていた気持ちを後押ししてくれた。


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