「ああ、ギャルになれたら…」真面目すぎるあなたのための処方箋◆真面目くんとギャル【ぷろおご伊予柑の大預言】
殴られまくった真面目な少女がギャルになる
伊予柑:はい、今回も観客としてぷろおご図書館のメンバーが聞いています。今回のテーマは真面目くんとギャル。逃れられない正しさについて。
大学生の話を聞いていると、真面目くんになりがちだからギャルになりたい というのがあって、真面目くんというのは社会規範、親の期待だったりまわりの期待を真正面に応えてしまって、その正しさから逃れられない状態にある人のことで、ギャルというのはぷろおごです。ウケるって言ってる
ぷろおご:そのふたつを正反対のものとして扱っているわけね
伊予柑:そう。ウケるで流したいんだけど流せない。ちょうどジャンプでも真面目くんとギャルの漫画があったりしますけど、ギャルは最近神格化されつつありますね。
「ウケる、って言えばいいじゃんってぷろおごは言うけど、そんな簡単じゃないんだよ〜!」っていうふうにちいかわみたいな大学生はみんなおっしゃってまして、どうやったらギャルになれるんかなあ、みたいな
ぷろおご:逃れられない正しさに囚われてるのが真面目くん?
伊予柑:そうです、真面目くんです
ぷろおご:いうたら、ギャルのほうが真面目ですよ
伊予柑:どういうこと?
ぷろおご:真面目さが足りないからギャルになれない。ギャルってめちゃくちゃ真面目なんです。たとえば横浜のギャルを考えたらわかる。ギャルって横浜にいそうじゃないですか。いわゆる夜の街が盛んで、ちょっと大人に触れる機会が多い少女たちが憧れてギャルになるわけじゃん。あるいは、ギャルっていうのは武装なんで。
わたしはギャル民族、ギャル集落の出身だぞっていうのをしめすためのツールでもあるわけですよ。要するにギャルに殺されないためにギャルになるというか
伊予柑:ギャルのコスプレされてますもんね
ぷろおご:隣の国が核を持ってるから自分も核を持たないとやられる。それとおなじなんですけど、つまり規範があるんですよ
伊予柑:ああ、こうあるべきという。たしかに
ぷろおご:あるべきというか、ないと殴られるというだけなんですけど
伊予柑:同調圧力の果てに…同調圧力というか武装圧力というか
ギャルに憧れる心理から、ギャルとはなにかを考える
ぷろおご:真面目くんは、具体的な暴力がない場所とかで、「なんかルールがあるらしくて、でも殴られたことはないんだけど…こわい」みたいな状態だとおもうんですよ。戦争のない国で育った暴力がこわい子なんですよね。対してギャルはもう戦場にいて、殴られたらこれくらい痛くてこうすれば殴られなくてっていうのがわかってるんです。
正しさから逃れられない真面目くんっていうのは、要は自分がルールとか規範の外にでて、それで痛い思いをするのが嫌だって人だとおもうんですけど、ギャルはそういう状態にはなくてもっと、もっと真面目なんですよ
伊予柑:100回殴られるなかで、真面目にギャル武装をせざるをえなかった
ぷろおご:そうです。ウケるって言えるのは、ラインが見えてるってことなんですよ
伊予柑:過去に100発殴られてきたから、その打撃がそんなに強くないことを知っていて、だからウケると言える
ぷろおご:ここでひいたらもっと殴られるってことがわかってるんですよ。ケンカになりました。「オイコラ」って言われたときに、「すみません」って言ったら殴られたり、もっと嫌な思いをすることになるってわかってるから、「は?うざ」って言う。これは真面目くん、経験がない人からすると、なんでそんなふうにできるの?っておもっちゃう。ルールから外れているように見える。だけどこれはたんにルールに沿ってるだけなんですよ
伊予柑:なるほど
ぷろおご:言われたら言う。言わないとやられる。真面目さを水準としたときに、真面目くんorギャルみたいに二項対立になってるのがまちがいで、ギャルは真面目くんの上位存在なんですよ
伊予柑:軍曹と新兵だ
ぷろおご:そうそう。新兵だからわからないだけで、このふたつがそれぞれなにをしているかでみると、むしろおなじだとおもう。おれはそういう捉え方をしてますね。
とはいえ、ギャルの見た目をしてる人はいっぱいいて、いろんな人がいて、なかにはメンヘラもいる。だけど、僕がニュアンスで使うのは、だいたい真面目くんの派生先としてのギャルですね。ルールがわかってるからギャルになる。だって法律家とかもそうじゃないですか。
弁護士は真面目っぽい職業だけど、いちばん真面目なやつっていちばんこわいですよ。「この法律知ってますか?」みたいな、「こういう判例があって、こういう事例があります。これをつっつくと、こうなるだろうからおもしろそうですね。ウケますよね、ねえ」みたいなさ。あれもギャルですよね
伊予柑:ウケるができますね
ぷろおご:そうそう。「ウケるからやりましょうよ」みたいな。それって真面目くんの先にあるんですよ。おれはそう見てますね。真面目くんが正しさから逃れるためには、もっと真面目にならないといけなくて、真面目さが足りない
伊予柑:たしかに。真面目くんは無理やり真面目させられてます、ぐらいですね
ぷろおご:わかんないんですよ。親とか周りの人に「こうしないと危ないよ」とか「こういうことになってるよ〜」ってなんか言われて「そうなんだ」ってやってるから。なにから身を守ってるとか、なにがこわくてこれをやってるとか、そういうものがわからないから、よりギチギチになって動きが硬くなる
ギャルの受け流し力はどのようにしてうまれるのか
伊予柑:ちょっと話がとぶんですけど、大学生たちと話をしていて一個の答えがでました。それは、大学生は就活すべき なんですよ。で、就活をするからといって就職しなくてよくて、ただ就活をするとめっちゃおトクだよという結論になった。
どういうことかというと、就活は大学生というめちゃくちゃ社会的に弱い存在が、合法的にあらゆる大人に対して無限にカードきれるんですよ。
そして、なんの責任も取らなくていいんです。そうやって、めちゃくちゃ真面目に就活をするとなんか知らんがいいことが無限にある。
3年生になったからリクルートに登録しなきゃ、ってイヤイヤ受け身でやるとツラいんですけど、好きなタイミングで就活をするとなんでもできるんです。実際に就職はしなくてもいい。
「いやあ、でもみなさんもかつて就活生だったじゃないですか」みたいな、いやらしいことを言いながらやると、けっこうおもしろいことになると思うんですよね。つまり真面目さも、受け身の真面目さじゃなくて攻めの真面目さに転じることができると、ギャルに近づくことができるのではないかという
ぷろおご:正しさっていうのは法律でしょ。法律の理解が足りないから真面目くんになるとおもうんです
伊予柑:そうですね。反社はだいたい、法律に詳しいですからね
ぷろおご:反社もギャルだけど、真面目なんですよ
伊予柑:DMMの法務部とかめちゃくちゃ法律に詳しいんですよ。なぜかは知らないんですけど
ぷろおご:真面目くんは、どこでどう怒られるとまずい、とかがわからないから、全部ちゃんときっちり守るんですよ。そうすると身動きとれない。ここは怒られてもへいきですよ、とか。ここは怒られないですよ、とか、このラインがわかるとギャルになれる。ギャルは中途半端な真面目くんを超えた先にあるんです
超正しい人はギャルになるんですよね。ウケてればいい。だってわかるんだもん。わからないからこわい。こわいからずっと正しさについて考えなきゃいけない。超正しい人はもう正しさなんて考えなくて、体で動けばいい。そういう段階にいるんですよね。
プロサッカー選手が毎回イメージトレーニングしないようなもので、ボールがきたら体が動いて蹴っているし、咄嗟に蹴ったシュートがゴールに入るんです。この状態にならないとたぶんいけなくて、
伊予柑:戦闘経験の量が要る
ぷろおご:そうですね。だから実践経験なんですよ。実践がないとなんでもうまくいかないじゃないですか。どんなスポーツでも仕事でもそうですけど、エアプだからこわい
伊予柑:おもしろい。よし、なんか一通り見えてきたので、質問をいただきましょう
Q、目の前のことで精一杯の人に、余裕ができるのはいつですか?
伊予柑:新兵ですね
ぷろおご:それは人によってちがうとおもうけど、なにが真面目でなにがしんどいかって話?それについてはさすがに考えていかないとわからないかな
伊予柑:まあ、大学一年生としましょう。で、GPAとらないと就職できないらしい、みたいなふわっとした状態に踊らされてるわけですね。そいつにとっての戦場はなにか
ぷろおご:おれは真面目くんは真面目くんっぽく、「うわ〜どうしよう、こわい」ってやる時期が必要だとおもうんですよ。そこはパスしなくていいとおもう。だから真っ当に、そのまま正面から「わかんないなあ…」っていうのをやっていればいいとおもう。そういうふうに、わァ…あァ…ってちいかわになってる状態はある種の実践経験ですよね
伊予柑:大学生だと半年ぐらいで1回、その単位をとるので、次が見えてくる。そのあたりから、自分がなにに囚われているのかを探すのがいいかもしれないですね
ぷろおご:そうならないと見えないですよね。そういう右往左往して真面目くんをやっているっていうこと自体が実践ののひとつで、だから「オレって真面目だなあ、」「なんでこんなに真面目にやろうとしてんだろう」とおもってるわけで、そういう意味で、すでに戦場、戦いの場にいるんだとおもうけどね
伊予柑:そうすると真面目くんの戦いは、1年生だったら後半からはじまるような気がします。前半はワーワーしてるから自分が真面目かどうかの意識もなくて、目の前のものをやりこなすのに精一杯になっている。そしてそれがちょっと落ち着いたタイミングでちょっと余裕ができてくる。
そこで、「なんか無意味っぽいルールをやってんなあ、ずっとこれをやらなきゃいけないんかな」「なんかオレって真面目だな。あいつはルールなんか気にしてないように見えるのにさ」みたいに思うわけですよね
ぷろおご:まあ、たんに続けてたらそのうちわかってくるんじゃないかと
伊予柑:次のワーワーのところにいけばいいんですよね
ぷろおご:気づいてるうちはもう戦場だとおもいますよ。自分がほかのやつと比べて動きがかたいってわかってるってことは、試合を見てるってことだし、自分の動きを知ってるから比べられるので。いま戦場にいるからそういう問題を抱えられるんじゃないの?
Q、ギャルになれない人はどんな人ですか?
伊予柑:もうひとり質問ください
伊予柑:ちがう人種のことかな。今回は、真面目くんというのは所属集団とか国とかなんらかのルールに則っている、守らざるをえないとおもっている人のことで、ギャルはそこから遠いかのように見えて、実はルールを守ってプレーしてる人なんだよ、という話でした。なので、ギャルの反対にある存在は、ルールの外にいる人になると思います
ぷろおご:この人(デンジくん)ってそういう人じゃなかったっけ?
伊予柑:はい。「わかんねー」って言ってる人ですね
ぷろおご:わからない人だよね。わからない人は9割死ぬんですけど1割ぐらいが生き残って、そういう枠で愛されますね。まあ9割死ぬんですけど。基本的にギャルは死なないんですよ。石入りルーズソックスで殴られたりすることはあるだろうけど
伊予柑:これ(ちょうてんちゃん)はギャルですね。圧倒的なルール理解のもとに戦う
ぷろおご:時代にあわせて記号化されてるんですよね
伊予柑:最前線をとり続けないとこの手のギャルはまじで生き残れないので
ぷろおご:ギャル、完全なゲームルールの掌握ですよね。こっち(デンジくん)はルールがわからない人なので、遠い存在っていったらそうなるんじゃないかな。ルールがわからない。で、真面目くんから見ると同じ人種に見えるんですよ。内実、まったくちがうんだけどね
伊予柑:たしかに。まったく違いますね、これは
ぷろおご:こっち(デンジくん)はたぶん、ほぼいない
伊予柑:いるんだけど俺たちは出会わないです。地元にいます
ぷろおご:そう。表にでてこないので
伊予柑:で、けっこうしっかり働いてらっしゃる
ぷろおご:あと、そういう人はそういうことを考えないので、ここにはこない。こういう議論にこないから。きてる時点で派生するとしたらこっち(ちょうてんちゃん)ですかね
伊予柑:ルールが見えている人
ぷろおご:見えちゃう人は見えちゃうんで。見えなくなることってほぼないんですよね。ギャルは見なくてよくなった人なんですよ。もうルールをが染みついてる。べつにサッカーやる時にいちいちルールブックを見なくていいのとおなじで、ルール知らない人、ボールを手で持ったりする人とは遠いというか、べつですよね
(ギャルと真面目くん 完)
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