まだ金利予測をしますか?金利予測をしない新しい住宅ローンの選び方
金利予測が大前提に?!
金融機関のホームページを見ても、住宅ローンを解説した記事やブログを見ても、皆一様に金利予測が重要だと考えているようです。
説明の仕方が、以前よりも慎重になっていますが
金利予測を前提としているとわかるでしょう。
しかし、よく考えてほしいのです。
あなたは、自分で金利予測ができると思いますか?
金利予測をできると主張できる人は、金利予測のプロではない
これまで会った住宅ローン利用者は
そのほとんどが、金利予測ができると
考えていました。
なぜわかるかというと、
「金利は上がるのでしょうか?」と
質問してくるからです。
専門家は答えを知っていると思っているのでしょう。
大変光栄ではありますが、残念ながら答えはわかりません。
超長期間の金利予測は、実質不可能だからです。
住宅ローンを語る人の中には、
「金利は上がらないと予測して的中させてきた!」と
主張する人もいるでしょう。
金利推移を見れば、10年どころか20年以上、金利は下がり
続けてきたので、予測を的中させてきたかのように見えます。
では、なぜ金利が下がり続けたのか
その理由について、説明を求めてみてください。
世界中の経済学者の誰もが、
日本が長い期間にわたって低金利を維持しても
デフレの脱却や景気回復を実現できない理由を
説明できていないのです。
もし、その人がその理由について
誰もが納得できる説明ができるなら
世界で初の快挙です。
そんなことはできないでしょうが。
私は「金利が上がらない」という考えが、
たまたま当たっただけだと思います。
再現性があるとは到底思われません。
そのたまたまは、なんと10年以上も続きました。
10年以上も偶然が続いたので、予測能力があると
勘違いしてしまうのも無理もないと思います。
原因がわからないけど、答えがたまたまあたっていた。
それは、サイコロの目を当てられる
そう主張しているように思えます。
おそらく
「金利が上がらない」と主張する人は
そう主張することで自分が得するのです。
または、「金利が上がらない」ことを前提に
自分の行動を決めてしまったのです。
心ある専門家なら、長期間の金利予測はしたとしても、
それが当たるとは口が裂けても言いません。
金利予測ができるとなぜ考えるのか
住宅金融支援機構の調査でも、昨年の住宅ローンを
利用した人の約7割は変動金利を選択していることからも
利用者のほとんどが、金利が上がらないと予測をしたようです。
もし、これが株式や為替であれば、どうでしょうか?
日経平均は40,000円以上になる
為替は200円まで円安になる
そんな主張する人がいても、
「そういう考え方がある」と思うだけで
全面的に受け入れることはないでしょう。
もし、その意見を採用したとしても、
「その予測は外れることもある」
ということをきちんと理解しているでしょう。
住宅ローンで変動金利を選択する人は、
どうもその事実に向き合いたくないようです。
なぜ金利だと、当てにすべきでない予測に頼るのだろうか。
それは、これまで金利が上昇してこなかったから
上昇すること想像できないのかもしれません。
もしくは、そんな想像をしたくもないのかもしれません。
銀行、不動産会社、住宅販売会社で働いている人達でさえ、
金利上昇のイメージができないようです。
でも、銀行も、不動産会社も、住宅販売会社も、
金利が上昇しない方が得をすると気づいていますか?
住宅ローンを分析していると自称する人達も、
全員ではないのですが、
変動金利が売れると得をすることに気づいていますか?
金利予測に頼らないアプローチ
金利予測は不確定要素が多く、正確な予測はできません。
そこで、金利予測とは全く別のアプローチで
金利タイプを選ぶことは考えてみてはどうでしょうか。
私は、リスクマネジメントの観点から選択することを推奨しています。
具体的には、以下の通りです。
一つの金利予測に依存せず、複数のシナリオをたてます。
例えば変動金利を採用し、金利が上昇するパターンを
いくつも計算してみます。
また、固定金利を採用して同様のことを行います。
シナリオごとにコストを計算し、その違いを把握します。
金利上昇が家計にとってダメージが大きければ、
それを避ける方法を考える、というものです。
変動金利のせいで問題となるのであれば、
違う金利タイプを選択をします。
借入金額が大きくて問題となるのであれば、
支出の削減をするか、借入金額を削減すればよいでしょう。
もちろん、金利予測を全くしないという訳ではありません。
複数のシナリオは、まさに金利予測をもってたてるのですから。
ただ、その精度は高くなくてもよいのです。
また、金利予測の代わりに膨大なシミュレーションをしたりします。
弊社では、必要に応じて1万通り以上の金利パターンを計算します。
そこで、コストがどのような変化となるかを把握し、
最終決定を行います。
繰り返しになりますが、
選択した金利タイプが金利の変化により
家計にとって致命傷になる可能性があれば
選択肢から外すべきと考えます。
このように、家計にとってリスクが大きい金利タイプを
選択しないという選択を検討してはどうでしょうか。
金利タイプの選び方を消去法で行うと、
万が一の時でも、問題を避けるられるでしょう。
金利予測をしなくても安心できるのです。
低コストの商品を求めるなら、リスクが低い商品の中から
最も安くなるものを選ぶのがよいのです。
リスクは高いが、低コストの商品については、
家計のリスク許容度の範囲内で行うべきなのです。