映画感想『遺書、公開。』

前回の公開が1月27日…なんとか一週間以内に次の記事を公開できたので、「重い腰を上げた」宣言は守れましたかね…。

こんにちは。ホイサップです。
前置きはさておき、今日見てきた映画の感想を書こうと思います。
正直、最初に書く感想はビビッ!と来たものやお気に入りの作品にしたかったのですが、そんなことを言っているといつまでも書かない気がしたので、そこはもう断念しようかと。
ただ、今回書く『遺書、公開。』も楽しめた作品ではあったので、感想をしたためることにしました。

あらすじ

物語は、高校2年生のクラス発表の朝に、2年D組の生徒宛に「教師を含むクラス全員の序列」が送られてきたところからスタート。
誰が、何の意図で送ってきたのか分からないまま新しいクラスが始まり、それぞれ自己紹介をすることに。序列で「1位」に選ばれていた姫山椿は、他の生徒から「1位の姫山さん」と茶化されながらも、上手いことその場を切り抜けたことで見事に「1位」として認められる。
そうして始まった学校生活は次第に「1位」の姫山中心のクラスとなり…。

時は流れて半年が過ぎたある日、突如として姫山が学校で自殺する。
クラスには驚きと悲しみが広がる中、クラスメイトが姫山の葬儀を終えて教室に戻ると、全員の机の上には、それぞれに宛てた姫山の遺書が置かれていた。
自殺したはずの姫山の遺書を誰が置いたのか…?不気味な空気が流れる中、「遺書を読めば姫山が自殺した原因が分かるかもしれない」と思ったクラスメイトたちは、全員の遺書を順番に公開していくことで、その真相を探ろうとするが…。

感想

若手俳優といえば英勉監督

映画の感想を語る中で監督が誰かというのは欠かせないポイントかと思うので、まずはそこから。
『遺書、公開。』の監督を務めたのは英勉さん。英監督といえば、『東京リベンジャーズ』シリーズや『賭ケグルイ』シリーズの監督も務めた方。
個人的な印象としては、とにかく若手俳優がいきいきとする瞬間をカメラに収めるのが得意で、同人に若手俳優にもギラついた演技を求める方なのかなーと思っています。
とくに『賭ケグルイ』シリーズはかなりの顔芸オンパレードで、しまいにはハイテンションを超えて完全に頭がイッちゃっている演技が見どころでもありました。
『ぐらんぶる』のようなおバカ作品もやれば、それこそ東リべのようなアツい作品もやるなど、ジャンル自体は色々とやっている印象ですが、やはり共通してあるのは「若手俳優がいきいきとしている」ではないでしょうか。

『遺書、公開。』もその例にもれず、主演の吉能北人さんをはじめ、髙石あかりさん、志田彩良さん、宮世琉弥さんなど、メインキャストは恐らく20代で固められているのだと思います。(先生役で忍成修吾さんもいますが、役どころ的に例外)
そのため、本作でも若手俳優たちのギラついた演技が見どころになっているのですが…。
なかでも髙石あかりさんは、やっぱりちょっと存在感が別格でした。

髙石あかりさんの存在感は別格

髙石さんの役は、自殺した姫山の親友である御門(みかど)というテニス部の生徒。部活でも姫山とダブルスを組んだり、普段からもベッタリと接していたが故に、誰よりも姫山を自殺に追い込んだ人物を許さない姿勢を見せます。

そんな中、御門も遺書を公開することになるのですが、その時に髙石さんが見せる感情剥き出しの芝居が素晴らしくて…。思わず心の中で「これこれぇ!」とガッツポーズを決めてしまいましたね。
スンッとしたと思ったら、次の瞬間には一気に表情が爆発する。本当に、表情の芝居が素晴らしいんです。

あと、同じく顔芸というジャンルで光っていたのは、谷地(やち)という生徒を演じた兼光ほのかさん。
この谷地という生徒は、遺書公開の流れを変えるキャラクターの一人なのですが、彼女の本性があらわになるシーンでの絶妙にいやらしい表情(エッチな方ではなく気味悪さの方)といったら…。
鑑賞後、兼光さんのことが気になって調べてみたら、めちゃくちゃ美人さんなんですよね。劇中では失礼ながら(あるいは良い意味で)そんな片鱗を全く感じさせない見事なキャラクター作りをされていたので、思わずびっくりしてしまいました。

楽しみだった志田彩良さん

顔芸の話ばかりしているとそれが趣味の人みたいになるので、他の感想も少し。
個人的に出演者の中で楽しみにしていたのが、志田彩良さんでした。
志田さんはドラマ『ゆるキャン』に出演されていたので知り、その後も『ドラゴン桜』に出演されていたりと、注目の若手俳優としてよく名前をお見かけしていた方。
ただ、私がドラマをあまり見ないせいもあって、『ドラゴン桜』以降、出演作を見ることもないままになっており、「優等生」「透明感」みたいなふわっとした印象で止まっておりました。
そんな志田さんが英監督の作品に出るということで、「顔芸やハイテンションな演技を見られるのでは?」「そこまではしないにしても、良い意味でイメージが変わる芝居が見られるのでは?」とワクワクしていたのです。

結果、やられましたねー。以下、少しだけネタバレを含みますのでご容赦ください。

以下、ネタバレを少し含みます

まず前提として、志田さんの顔芸も頭がおかしい芝居も見れませんでした。そこは見事に、髙石あかりさんが全部引き受けていて、結果的には大満足だったのですが。
志田さんが演じたのは、廿日市というクラスでも地味な立ち位置のキャラクター(もっと地味な人もいますが、あくまでクラス内でのポジションは地味だと思います)で、人間観察が趣味の生徒。
主人公の池永くんからはたびたび姫山さんの自殺や遺書について意見を求められるのですが、確信的な答えをつくというよりも、なんだかふわっとした回答で不思議な印象も醸し出しています。

その、池永くんと話しているときの声や話し方が、妙に可愛らしいんですよね…。
特段、可愛いらしさを前に出すようなキャラクターではないのですが、見ているうちに段々と「あれ、こいつ地味なやつだと思っていたけど、よく見たら可愛いじゃん…」的な気持ちにされたというか…。
そんな風に思わせるキャラクター作りを志田さんが意図的にやっていたのだとしたら、相当恐るべきことだなと思ってしまいました。
だって、最後に匂わせる池永くんへの感情と照らし合わせると、廿日市さんとしてはそういう側面が出ていてもおかしくないわけで。
視聴者というのは基本的に主人公に感情移入したりして物語を追うことが多いわけですから、そんな立場のなかで「可愛いかも」なんて思わされた日には、見事に廿日市さんの人間観察の実験台にされているかもしれないわけですよ。

どこまで意図を込めた芝居・演出なのかは分かりませんが、いずれにせよ志田さんのポテンシャルにやられてしまった気がしたので、今後はもっと出演作を追いたいなと思いましたね。

おわりに

さて、ここまできて気づいたのですが、長々と俳優陣のことばかり書いていますね。
まぁ、題材がミステリー作品なので、あまりストーリーに触れるとネタバレが過ぎてしまうので…。
ただの数字でしかないのに"1位"という称号に振り回される人々、物語が進むにつれて明らかになる本音や暴かれる黒い感情。
一体誰が、何のために序列を作ったのか?
姫山はなぜ自殺しなければならなかったのか…?そのあたりの真相は、劇場やら公開後のサブスクでお楽しみください。
ちなみに、脚本は鈴木おさむさんです。たまに「おや?」と思う展開もあるのですが、基本的にはストーリーもハラハラできて最後まで飽きることなく見れました。

もう1個だけネガティブなことを書くと、たまに高校生に見えない(=キャストの年齢感が出ちゃっている)シーンもあります。
とはいえ、教室という限定された空間が舞台という以外、高校生という設定が生きているシーンなんてほぼないので、逆に気にしないで見てしまった方が楽しめるかもしれませんね。

あとは上記で書いた通り、とにかく若手俳優たちのギラギラした芝居が飛び出してくるのでワクワクもできました。
英監督の作品は素晴らしい若手俳優さんたちと出会えるので、それがありがたいなーと改めて思えた作品でしたねー。

という感じで、今回は映画『遺書、公開。』感想でございました。
それでは。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集