🏍【GPレポート】🏁ひとりひとりに、試練はつづく。 ー Rd.8イタリア🇮🇹
【Kabuto GPレースレポート】
<2022 MotoGP™第8戦 イタリアGP>
KabutoのMotoGPライダーにとって依然試練は続く。イタリアで8回目となる2022のGPシーズンの経験は、一人一人に異なるものをもたらすこととなった。
イタリアをブーツで例えるなら膝頭の少し下あたり、トスカーナ州にあるムジェロ・サーキットは、丘陵地帯の地形を活かした高低差約41m、15のコーナーで構成される。切り返しが多く1km以上のメインストレートを持つという、中高速のテクニカルコースだ。GPの中では指折りのストレートの長さで、MotoGPクラスでは最高速度は340km/h以上にもなる。
《MotoGP™クラス》
\「残念ながら、全ラップで100%の力を発揮するだけではまだ不十分なんだ…」レミー・ガードナー選手 /
サーキットにマシンやライダーとの「相性」というものがあるとすれば、ここムジェロではオーストラリアンライダーとオーストリア製マシンにとってはとても厳しいものだった、と言わざるを得ない。
テクニカルで習熟度とトップスピードが求められるコース、ということを証明するかのように、予選では地元イタリアンライダーがフロントローを、ドゥカティ勢が5番手までを占めることとなった。
フランスGPではクラッシュのため完走できなかったレミー・ガードナー選手(オーストラリア/Tech3 KTM Factory Racing No.87)だが、ムジェロでは予選19番手、スタート時と同じ19位で無事ゴールした。
レミー・ガードナー選手がベストを尽くしたとしても、事実を告げるデータは非情なものだ。国際映像で表示されるムジェロの最高速度がそれを突きつけていた。
「ムジェロのような体力的にも厳しいサーキットで、23周を通して100%の力を出し切ることができた。昨年のMoto2では、今日よりももっと疲れていたんだ。ただ毎周100%の力を出し切ったとしても、コンペティションにおいて戦闘力は十分とは言えない。」
「結果は良くなかったけど、自分としては力を出し切ったので満足している。」
いまは来たるべきタイミングに備え、ライダーの経験値を上げ技術を磨き続ける試練のときなのかも知れない。
《Moto3™クラス》
Moto3ライダーの鳥羽海渡選手(日本/CIP Green Power No.27)とジョエル・ケルソ選手(オーストラリア/CIP Green Power No.66)については、ムジェロの結果は、異なるものとなった。
\FP転倒の鳥羽海渡選手は我慢の走り/
鳥羽海渡選手のウイークエンドに2度の転倒を喫してしまっていた。1回目はFP1で、2回目はFP2中に。
結局、25番手グリッドからスタートすることとなってしまったが、それでも順位をなんとか上げて16位でフィニッシュした。暫定シリーズランキングで2つ順位を落とし、現在12位に。ただ数日後にはカタルーニャGPが待っている。もはやムジェロの憂さを晴らすことに集中しているだろう。
\ジョエル・ケルソ選手は復調の兆し/
ジョエル・ケルソ選手にとっては、ムジェロコースのようなジェットコースター的感覚を味わえる週末となった。
第6戦スペインでの強烈なクラッシュで足の筋肉に強い打撃を受け負ってしまった怪我の影響をまだ引きずっていた。ル・マン(フランスGP)から先週末まで2週間あったにもかかわらず、だ。ここムジェロは前述のとおり最もフィジカルなサーキットのひとつであり、方向転換を繰り返すため、3〜4ラップ走るとまた痛みが出てくる、という状況だった。
FP1で15番手、FP2で13番手をマークしていたが、結局スターティンググリッドは20番手以内に入ることは叶わなかった。
しかしジョエル・ケルソ選手には若さとともに、あふれる闘志があったようだ。日曜日の決勝レースでは、残り6周で9番手に、接戦のライバルたちとのバトルの末、最終的に12位でフィニッシュ。
集中力を途切れさせることなく、自らのファイティングスピリットで痛みを消し去り、素晴らしいライディングでチェッカーまで走り切ったのだ。
次戦は今週末、息つく暇もなくスペイン・バルセロナのカタルーニャサーキットでウィークが始まる。
(第9戦カタルーニャGP 6/3〜6/5)