\大切な人、大切な自分のために。自転車用ヘルメットを!/【ゲストコラム】自転車用ヘルメット緊急事態宣言!(その7・まとめ)
オートバイ用/自転車用ヘルメットのメーカーとして各シーンで頑張る「人」を通じ、ご本人によるレポートやコラムなどを掲載中。
今回は自転車ジャーナリストの浅野真則さんによる、自転車用ヘルメットを取り巻く現状レポートのまとめ(最終回)をお送りします。
「自転車用ヘルメットとして販売されているヘルメットの中に、自転車用の安全規格をクリアしていないヘルメットがある」という問題についてレポートしてきた緊急連載。今回はまとめとして、自転車用ヘルメットを選ぶ際に注目すべきポイントや正しい選び方、扱い方についてお話しします。
大前提として「自転車用」の安全規格をクリアしたものを選ぶ
今回の連載でお伝えしたかったことのひとつは、「自転車用として販売されているヘルメットの中に、自転車用としての安全規格をクリアしていないヘルメットがある」という現状です。
しかも、インターネット通販だけでなく、家電量販店やホームセンターといった対面販売のお店でもそのようなヘルメットが販売されています。
自転車用ヘルメットは、自転車に乗車中、転倒などの事故から頭を守ることを想定したいくつもの安全性の認証試験が実施されます。
自転車以外、他の用途目的のヘルメットでは実施されない試験項目や、同様の試験でも求められる安全性がより高いケースもあります。
したがって、自転車用以外のヘルメットを自転車乗車時に使うと、万一の事故の際に頭を十分に保護できない可能性があります。
自転車用の安全規格をクリアしたヘルメットには、認証マークのシールなどが貼られています。
「その2」で紹介したとおり、安全規格はいろいろありますが、主なものは次の通りです。
👇国内認証マーク
●SG(製品安全協会)
●JCF(日本自転車競技連盟)公認/承認
👇おもな海外認証マーク
●CE EN1078
●CPSC
●SNELL
●ASTM
●BSI
●CEN
自転車用以外のヘルメットの安全テストを行っている規格では、自転車用の安全規格をクリアしていることを確認する必要があります。
例えばCEの場合、自転車用の安全規格はEN1078で、このEN以下の番号が異なるものはCEの認証ステッカーが貼られていても自転車用の安全規格をクリアしていません。
実際にこうした、いわゆる「ヘルメットっぽいもの(軽作業用帽など)」が「自転車用」として売られているケースもあるので注意が必要です。
購入時には必ず試着を!
ヘルメットは頭を守る安全装備です。
自分の頭に合ったものを選ばないと、本来の機能が発揮されない可能性があります。
購入前には必ず試着し、大きすぎたり小さすぎたりしないか、特定の部分が当たらないかなどをチェックしましょう。
試着時には後頭部にアジャスターが装備されていれば締め込み、あごひもも調整し、正しいかぶり方でかぶってみることが重要です。
ちなみに、日本人をはじめとするアジア系の人種は、頭の横幅が広めで頭周の形が真円に近いという特徴があります。
Kabutoのヘルメットは、日本国内で正規に販売されているものに関してはすべて真ん丸に近いラウンド形状を採用しており、国内の多くの方の頭部形状にジャストフィットします。
海外ブランドのヘルメットを選んだ方の中には、頭の形が合わない、という声もときどき聞かれます。無理にかぶるっていると特定の部分が当たることによる不快感や頭痛が発生することもあるので、ブランドによっては「アジアンフィット」などと明記されている製品もありますので参考になさってください。
有効期限は購入後3年。ダメージを受けたヘルメットは使わないで!
自転車用ヘルメットには「購入後3年」という有効期限があります。
ヘルメットは外側の外殻(アウターシェル)と内側の衝撃吸収ライナー(インナー)で構成されており、アウターはおもにポリカーボネート素材、インナーは大多数が発泡スチロールでできています。屋外で紫外線や風雨にさらされることで、これらのプラスチック製品は少しずつ劣化し、本来の性能が発揮できなくなるからです。
特に内側の衝撃吸収ライナーの劣化は、硬化や痩せたりした場合には衝撃吸収性能が著しく低下するため、転倒時に頭部を衝撃から守れない可能性も高くなってしまいます。
また、転倒などして一度でも大きなダメージを受けたヘルメットは使わないようにしましょう。
ヘルメットは、転倒などで頭部に強い衝撃を受けた際に衝撃吸収ライナーがつぶれたり割れたりすることで衝突時のエネルギーを吸収し、ダメージを軽減するためです。
「かぶるきっかけが事故では遅い」さまざまな啓発活動!
今回のnoteの連載でも自転車用ヘルメットの全世代での着用努力義務化にからみ、自転車用ヘルメットを取り巻く問題や取り扱いの注意などについてまとめました。
努力義務化後半年の時点で、全国平均で着用率13%というデータも紹介しました。
この連載を通じて広めたかったことは一つ。
「自転車に乗るときはヘルメットをかぶりましょう」
ということです。
そのためにはヘルメットの重要性をいろいろな場で広める必要があります。
じつはオージーケーカブトは、さまざまな広報啓発活動を行っています。
●オージーケーカブト
警視庁と日本交通安全教育普及協会とともに、一般公募のうえ決定したキャッチコピーを使ってポスターを製作、警視庁各署で掲示しています。
日本最大の公募広告賞「宣伝会議賞」の中高生部門でも同様に公募し、製作したポスターがこちらです👇
ちなみに上記一般部門のコピー
「ノーヘルだと、命がスースーする。」
は「第60回 宣伝会議賞」応募総数62万通(他課題作品含む)の中から総合2位に入るキャッチコピー作品となりました。
啓発動画も作ってYouTubeチャンネルにアップし、ヘルメットの普及に努めています👇
・自転車ヘルメット着用啓発広報動画「カブト、かぶろ。」
https://youtu.be/VOj-h80nqgg
警察の要請を受けて企業の安全運転管理者や地域の交通安全指導員に向けヘルメットに関する講義を実施したり、また日本ヘルメット工業会との協働で一般のイベントで自転車ヘルメットの着用啓発活動を行ったりもしています👇
また、インフルエンサーの皆さんの力をお借りして、ヘルメットの重要性を伝えていただいています。
●今田イマオさん
ラップで自転車ヘルメットの重要性を伝える!正しいヘルメットの着用を推奨しますYo👇
https://youtu.be/AWEbdqAmdyY?si=d15unIURx2M3E3CV
●サイクルガジェットTV
安全基準を満たさないヘルメットで事故るとこうなる【比較テスト】
https://youtu.be/S6QEbbTBxAI?si=RZBL53OjIZQDAaK7
正しく自転車用ヘルメットを選び、安全で楽しい自転車ライフを!
自転車は手軽で便利な乗り物。ただし、気をつけていてもいつ事故に遭うかわからない、危険な側面があることも忘れてはいけません。いざというとき命を守ることにつながる装備ですから、自転車に乗る際には必ずヘルメットをかぶることが重要です。そしてそのときのヘルメットは自転車用の安全規格をクリアした「自転車用ヘルメット」を正しく選びましょう。ちなみに購入時には補助金制度が利用できるかもしれません。
お住まいの地域によっては賢くヘルメットを手に入れることも可能な地域がどんどん増えていますので、自治体に確認してみましょう。
クルマに乗るときにシートベルトを締めるのが当たり前になったように、自転車に乗るときはヘルメットを自主的にかぶるようになる、ヘルメットが当たり前になることが究極の目標と言えるでしょう。
このコラムをご覧いただいた皆さんのなかには自転車好きな方も多いと思います。自転車好きなみなさんから、ぜひ大切なご家族やご友人にも、上記の資料などとともに、自転車ヘルメット着用の大切さをひとりでも多く伝えていただき、安全で楽しい自転車ライフを送っていただければと思います。