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実家のUIを改善した話

ひさしぶりに埼玉の実家に帰ってきています。

社会人一年目に実家を出て、東京に7年暮らし、今は京都に住んでいます。

東京に住んでいる頃は、埼玉の実家には、近いしちょくちょく帰っていたんです。だけど、なんとなく実家にずっといるのがしんどい。両親とは関係が悪いわけじゃないし、ごはんはおいしいし、ゴミ屋敷ってわけでもない。でもなぜか一泊すれば十分で、それ以上はもう帰りたいってなっちゃうんですよね。なんでだろう。まぁしんどくなったら帰ろ〜とやり過ごしていました。

実家に滞在中のある日、リビングで丸めたティッシュを捨てようとしたんです。ゴミ箱を探す。あったあった、ゴミ箱。

こういう銀色のよく見るやつ。ペダルを踏んで開けてみると、白いスーパーの袋がぎっちり。プラスチックごみ専用かな……?と、母に聞いてみたんです。「このゴミ箱何用?」 母「それね!スーパーの袋を取っておく用!」

ゴミ箱じゃなかった

うそ?! 日本人の95%はたぶんこれを見て、ゴミ箱だと認識するよ……?いやいやいやいや、どんなUIだよ!!! と脳内ツッコミをして気づいたのです。もしかして実家、暮らしのUIがめちゃくちゃじゃない? だから実家で過ごすのがしんどいんじゃない?

というわけで、実家のUI改善に取り組みましたので、その一部記録です。UI改善ってかっこつけてるけど、要は実家の片付けです。


戻す場所をつくる

冒頭のゴミ箱のエピソードで、鋭い方は気づいたかもしれません。

リビングで丸めたティッシュを捨てようとしたんです。ゴミ箱を探す。あったあった、ゴミ箱。

ゴミ箱を「探して」るんです。これはどういうことかというと、父と母がそれぞれ好き勝手なところにゴミ箱を動かすんですよね。なのでゴミを捨てるという日常の何気ないちょっとしたアクションの前に、ゴミ箱を探すという+1アクションが毎回発生するんです。ストレス!

というわけで、ゴミ箱を戻す場所をマスキングテープで作りました。

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(貼ってからだいぶ経ってるのでちょっとちぎれちゃってる)

これは効果てきめんでした。ここにゴミ箱がないと、あれ?どこかな?と探して戻すというアクションが習慣になったようです。マスキングテープによって不在を認識できるようになったのですね。こんなかんじの仕組みづくりを、家のあちこちにしていきます。

しまっても「見える」ようにする

一見片付いているように感じられても罠なのが、見えにくくなって溜まっていくもの。冷蔵庫でいうと調味料類。なにかについてきた調味料たちが冷蔵庫のポケットで賞味期限切れになって積層を成していました。見えないと存在を忘れ、溜まっていき、同じものを買ってしまったりするんですよね。

なので、「見えるように」長いもの、平べったいものはタテにしまえるようにポケット的なものを100円ショップで買って設置しました。


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薬味チューブもいっぱいありましたね……今は3箇所空いてるけど、設置当初は全部埋まっていました。たしか、からしはダブってた。

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横長のカゴに寝かせて入れられていたカミソリも3本発掘されました。立ててあれば、すでにあることに気づけるね!

仲間を同じ場所にしまう

グラスが食器棚のなかのいろんなところに散らばっていたり、ラップとホイルとクッキングシートがバラバラのところにしまわれていたりカオスだったんですけど、ざっくり分類をして仲間は一箇所にしまうことをルールにしよう、と伝えました。ざっくりなのがポイント。あんまり細かいと運用できなくなっちゃいます。

例えば、食器棚の右側には、飲み物を入れるもの。
真ん中の段が透明なグラス、下の段はマグカップや急須など不透明なもの。

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食器棚の左側に、お皿。

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こんな感じで、なんとなくあのあたりにしまってありそうだな〜というアタリをつけられるようにしていきます。(恥ずかしながら、我が家では母以外どこにしまってあるかわからないものだらけだったんです。たいてい予想外な場所から出てくる)

迷いそうなものはラベリングする

キッチンには3つのゴミ箱が並んでるんですけど、

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全く同じ見た目なので、自分の手にしているゴミをどれに入れたらいいのか、一瞬迷ってしまうのですよね。小さなストレス。毎日使っている両親にとっては問題ないかもしれませんが、娘の私や祖母など親戚も出入りする場所なので、ラベルを貼りました。

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(一番右がゴミ箱ではなく、そうじグッズ収納になってるのは罠……って思うけど、使いやすいみたいだし、同じ形のものを並べて空間を有効活用するのは合理的なので、尊重)

ラベルを貼ることで、開けて中を見るというアクションを減らすことができます。

同様に薬類も種類別に整理して、かごの中身を見なくてもわかるようにラベルを貼りました。

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運用可能かヒアリング&様子を見る

ここまで色々改善をしてきましたが、私がいない状態で、運用できなかったら意味がないんですよね。

なので、母と父に、これなら使い続けられそうか、聞きました。「これとこれが一緒にあるのはどう?」「〇〇ってどこにしまってあると思う?」などヒアリングして、大丈夫そうだと判断してたら運用に乗せました。

実際にしばらく経って実家に帰って様子をみると、本来の意図からズレちゃってるところもあるけど、実際の使われ方を見ながらちょっとずつチューニングしています。おおらかに。

実家のUI改善でいちばん大事だったこと

実際にやったことひとつひとつはどうってことない。でも、暮らしのバッドUIが親子関係を蝕んでいたことに気づけたことが大事だったと思います。

考えてみれば、子供たちが小さい時、父も子供も家事を手伝わず、ゆえに母は自分一人だけがわかればよいという前提で家事環境を構築し、そんな環境なのでほかの家族がいざ手伝おうとしても手伝えない……という負のループに陥ってしまっていたのではないか。もっと早く気づいてあげられればよかったな、と思いますが、実家を出て、自分自身の暮らしを作ってみて、比較対象ができたことによって、やっと気づけたんですよね。きっと。

というわけで、実家のUIを改善した話でした!

今回の実家滞在は4泊でしたが、そこまでストレスに感じなかったので、やってよかったな〜と思っています。親のためと自分のために。あなたが「実家にいるのなんかしんどい」と感じるようだったら、もしかしたら暮らしのUIが助けてくれるかもしれません。

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