8/18 Day18 輝かしきモノクロの夏
どうも、尾木です。
本日は日中日差しが強く、ここ1週間では最も気温が上がりました。
しかし、夜になると風があるためそれなりに過ごしやすく、少し蒸した風ではあったが、外出しても苦ではありませんでした。
夜の虫の音は既に秋の訪れを告げていた。じりじり鳴く夏の虫から、リンリン鳴く秋の虫へとシフトチェンジが完了していました。
本日英語の勉強をしておりましたら一日が終わってしまいました。何特筆すべきこともない1日ですが、このような1日こそが後まで生きてくる力となるはずだ。と、自分に言い聞かせ、書くことのない日記に苦悶しております。
そろそろ夏の終わりの予感がしているので、追悼という意味を込めて夏について語ります。
もう、すでに何度か語っているかもしれないですが、私は四季のそこにあってどこにもない情景が好きなのです。難しいですね。イデアという表現が一番しっくりきますけれど、日本語では、憧憬でしょうか?
次項から夏の幻想について網羅していくので、あなたも夏の思い出を手繰り寄せながら読んでみてください。
夏の憧憬
深い青空に巨大な入道雲・夕暮れの茜色の空に蜩の鳴き声と風鈴の音・夏に用事で訪れた校舎の静かで寂しい風景、外ではサッカー部が活動していて一人取り残された世界・意中の子と食べるギトギトに甘ったるいかき氷の味は記憶に残らず、皿の底にたまった茶色の溶けたかき氷だったものをつつきながら、内容も無いのに盛り上がったよもやま話・駅のホームでは1週間の命を懸ける蝉と感染対策のアナウンスが覇を競うが結局電車の到着音に全てかき消される・涼しい車内と暑い車外でお腹の調子を崩す・友達やカップルと携帯片手にじゃれ合う海辺、風は磯臭く、波は意外と煩い。しかしなぜか懐かしい空と海の境界・信号待ちで小型の扇風機を回す女学生に、ハンドタオルで額を拭うスーツ姿の小太りおじさん、日傘に白いアームウォーマーを装備した魔女のような女性、大きなバッグを背負った坊主の学生、ビーチサンダルにアロハ調のTシャツに膝が出るほどの短パンを履いた、やる気と目的を感じられない私、彼らには全員尊重されるべき名前と家庭が存在するという驚くべき事実・コンクリート上に揺れる陽炎とそれに目もくれず突っ切る自動車群・ニュースで眺める夕立に傘を奪われた大衆・川で遊ぶ小麦色の子供たちを見守る麦わら帽子の母と思しき女性、父は仕事なのかな?いない・夕方に学校あら奏でられる吹奏楽部の断片的な練習音・風に流れるご近所のピアノの夏をテーマとした演奏にはなびくカーテンと読書がよく似合う・花火の炸裂、浴衣の下駄、祭囃子、屋台の喧騒、幻聴が漂う河川敷の蒸れた夜・日焼けに苦しみながらプールサイドで食べる安っぽい焼きそば・徹夜明けに染みる鋭い日差しといつもより苦いアイスコーヒー・冷房で冷えた布団に潜る幸福・財布で眠る展覧会や動物園の整理券・玄関に漂う土と蚊取り線香の混ざった香り・いつから楽しめなくなったのか手持ち花火の虚しさ・夜明けと共に家から旅立つ重たい荷物と眠気と興奮を宿した少年・裸足でコンクリートを歩いたあの日の感触・わき目も振らず一心不乱に机に張り付いた受験期・涙が自然と流れるほど辛かった部活の練習・帰りの寄り道に友と食べるお菓子・パソコンに向かって日々の心情を書き連ねる夏
こうしてまた灰色の夏は過ぎ去っていく。
輝かしきモノクロの思い出。それは美しい灰色だった。