No.2 コミュニティのメイン要素 -コミュニティまとめ-
前回の記事「No. 1 コミュニティの定義 -コミュニティまとめ-」で、コミュニティを定義しました。まだ読まれていない方はどうぞご一読ください。
今回の記事では、前回少し触れたコミュニティを構成する要素について深掘りしていきたいと思います。
かなりのボリュームですので、よろしければ保存をしていただきゆっくりインプットして下さい。
前回コミュニティにはメイン要素とサブ要素があり、それぞれの要素はさらに4つに分けることができると言いました。
この8要素について具体的にはどのようなものがあるか見ていきたいと思います。
構成員:
構成員とはコミュニティに所属する個人や団体のことです。
コミュニティに属している人を分類することで、参加者の大まかな特徴を把握し、対応を変化させることができます。
構成員は下記のように分けられます。
個人メンバー
組織メンバー
特別メンバー
それぞれについて見ていきます。
・個人メンバー
コミュニティの掲げる目的や価値観に共感し、個人的に参加するメンバー
目的は様々で、自分に合った形で参加するのが特徴です。
貢献度や活動量によってリーダーシップを取るコアメンバー、定期的に参加する一般メンバー、たまに参加する周辺メンバーに分けることができます。
・組織メンバー
法人や団体といったグループ単位で参加するメンバー
コミュニティ参加への目的が非常に明確であり、それに沿った活動しか基本的に行わないのが特徴です。
・特別メンバー
いわゆる名誉会員や一時的に参加するゲストメンバー
コミュニティに直接関与するのではなく、権威づけをしたりコミュニティに変化を与えたりするために参加するのが特徴です。
コンセプト:
人を結びつける中心的なテーマ、存在理由です。少しずれますが提供価値ともいえます。
これは、主催者・参加者それぞれの目的から考えられます。
それぞれの目的には以下のようなものがあります。
・主催者の目的
・売上向上
・コスト削減
・人材獲得
・アイデア、事業創出
・ファン化
・参加者の目的
・自己実現、成長
・娯楽、趣味を楽しむ
・人脈形成
・情報交換
・感情の共有
・金銭に直結する価値の獲得
・コンセプトの具体例
具体例として、新しく作ったアイスを想像して下さい。
新規事業部では、このアイスの売り上げを上げることが目的となります。(主催者の目的)
アイスの売り上げを上げるために、一度買ってくれた方に熱烈なファンとなってもらうことで、購買回数を増やしながらUGC増加を狙うことにしました。そのために、ファン化を実現するコミュニティを作ろうとなりました。(主催者の目的)
コミュニティでは、このアイスが好きな人とワイワイアイス談義をすることができたり、たまにアイスのクーポンがもらえてお得な気分を味わうことができます。つまり、感情の共有とクーポン獲得が実現できます。(参加者の目的)
こういったように、主催者と参加者の目的が同時に満たされる場を作ることで、みなが前向きにコミュニティに貢献し良い場へと成長していきます。
そして、この主催者と参加者を繋げるものがコンセプト(存在理由)になります。このアイスコミュニティの場合だと、「アイスデンティティ(ice+identity)」というのはアリかなと思います。
コンセプトの立て方は、それだけで相当な文章量になるのでここでは割愛します。
※運営が長くなると目的が変化しコンセプトも変化します。
相互作用のパターン:
コミュニティ内で人と人がどのような関係性であるかを心理的観点で表したものです。
ミクロでコミュニティを捉えることで、「あのグループでリーダーとメンバーがうまくコミュニケーション出来ていない」といった具体的な諸問題について考えるときの手助けになります。
相互作用のパターンは下記のような要素で捉えることができます。
1次的関係と2次的関係
垂直的関係と水平的関係
公式的関係と非公式的関係
内集団と外集団
・1次的関係と2次的関係
めちゃくちゃ仲が良いと1次的関係(家族や友人)、ある程度の仲を2次的関係(同僚や知人)といいます。つまり、どれだけ親密かで分類されます。
1次的関係では協力や支援が頻繁に起こりますが、情緒的モツレもよく起こります。2次的関係では良くも悪くも深い関与は起こらず、関係は切れやすいです。
・垂直的関係と水平的関係
権力や地位に差があり上下が存在する関係を垂直的関係、立場が対等な関係を水平的関係といいます。
垂直的関係はスムーズに物事を進められますが、忖度をしてしまい軋轢を生みといったことが発生しやすいです。水平的関係は相互協力や発言がしやすいですが、明確な意思決定者がおらず、物事が中々進みません。
・公式的関係と非公式的関係
組織や制度で作られた関係性を公式的関係、自然にできたものを非公式的関係といいます。
公式的関係には明確な役割や規則が存在しますが、個人の意志で参加していないことも多く他者との情緒的繋がりへの関心が低いことが多いです。非公式的関係は自分達が望んで参加しているのでモチベーションが高いですが、自由過ぎてまとまりがなかったり、容易に離脱してしまいます。
・内集団と外集団
所属コミュニティと参加者との関係性を内集団、自分が所属していないコミュニティとの関係性を外集団といいます。
内集団では、参加者は帰属意識や連帯感を感じます。また、コミュニティのメンバーということで経済的支援が得られるといった所属利益があります。しかし、自分達を客観視することが難しいので、一般的に考えると異常な相互作用や内部構造をもち、参加者が不利益を被るということもあります。外集団では、冷静にコミュニティを見ることができ適度な関係性を作ることができます。これにより、コミュニティと関わる上での知見を得られたり、いわゆる交易をすることも可能です。しかし、自分が差別や偏見といった攻撃対象になることもあります。また、個人よりコミュニティの方がリソースが多く力が強くなりがちなので、対等な交渉をすることが大変です。
内部構造:
コミュニティを俯瞰的に捉えた時にどういう構造になっているのかを表したものです。
マクロでコミュニティを捉えることで、「コミュニティをまわすことは出来ているけど、何だか雰囲気が悪く離脱者が多い」といったコミュニティ全体にわたる問題などに対応できます。
内部構造は下記の要素で構成されます。
リーダーシップ構造
意思決定プロセス
役割分担
・リーダーシップ構造
権限、責任、情報の流れ、指示関係を大きな視点で捉えたものです。
階層がどれだけ多いかによって特徴があります。相互作用のパターンの垂直的関係と水平的関係に似ます。具体的には下記3つを挙げられます。
ピラミッド型
フラット型
ハイブリッド型
ピラミッド型
階層が3段(もしくは2段)以上ある構造です。
権限と責任が明確で意思決定を素早く行えます。ただ、下位層の意見が反映されにくく、実態にそぐわない対応をしてしまうことがあります。
フラット型
階層が1段(もしくは2段)の構造です。
情報共有がしやすいだけでなく、忖度の必要もないので自由にのびのびと活動できます。ただ、意思決定が難しかったり、責任の所在が不明でプロジェクトが宙に浮いた状態になりやすいです。
ハイブリッド型
階層が2段、状況に合わせてピラミッドとフラットを変更、プロジェクトベースでフラット型の組織だが各プロジェクトはピラミッド型、という風に時期やグループによって様々な形が混じっているものです。
それぞれの特徴のいいとこ取りができますが、関係者の高い構造理解と丁寧な情報共有がなければまとまりを取れなくなります。
・意思決定プロセス
どのような方法で意思決定が行われるのかを表したものです。
意思決定の精度と納得感に影響します。ポイントは、権限・責任・担当任務が揃っていることです。下記2つの決め方があります。
決め方
決める権利を持った人が決める(権限)
みんなで決める(合意形成)
(専門家に従う)
(データに従う)
決める権利を持った人が決める(権限)
権限に基づいて決定権を持った人が決める方法です。
「経営陣の決定が降りてくる」、「現場の話を聞いて上司が決定する」、などがあります。前者はトップダウン・後者はボトムアップと呼ばれます。
トップダウンではマクロ視点で、ボトムアップではミクロ視点で実態に即した決定をできます。しかし、双方逆の視点が抜け落ちやすくよくわからない決定になってしまうことがあります。
他にもフラット型のリーダーシップ構造の場合に、下位層に権限を委譲する、権限と責任をまとめて渡すといったことも起こります。
みんなで決める(合意形成)
みんなで話し合って決める方法です。
全員が納得いくまで話し合う全会一致型、投票で決める多数決型があります。友達と旅行先を考える場合や寄り合いで集まったお金の使い途を決める時などがあります。
全会一致型では、当事者意識を高くもつことができますが、中々話がまとまりません。多数決型では、機械的に決定ができるのでスムーズですが、多くの意見が切り捨てられることになります。(60:40で意見が割れた場合、40%の意見は切り捨てられる)
他にも専門家に従う・データに従うという形で決定を下すこともあります。ただ、多くの場合、それらを参考に権限者かみんなで決めることになります。
・役割
参加者個人レベルの責任や任務を表したものです。役割を明確にすることで、参加者がコミュニティの中でどう振る舞えばいいのか理解できます。そうすると、活動量が増えます。また組織全体の効率を上げるといった効果もあります。
具体的には下記2つに分けられます。
固定的役割
流動的役割
固定的役割
責任や任務が明確なものです。
単純作業や仕組化された作業があてはまります。例えば、工場での箱詰め作業や電話対応があります。
何をやればいいのか考える必要なく動ける良さがあります。反面、暇なときがあってリソースが無駄になるということがあります。
流動的役割
その時々で責任や任務が変わるものです。
目的の抽象度が高くやり方を決めにくい作業があてはまります。例えば、新規事業開発やファシリテーションがあります。
変化の激しい仕事に柔軟に対応できます。その反面、都度やり方を考えないといけずコストが重いです。
これらの役割はスキルベースかやる気ベースのどちらかで決められます。
スキルベースとはできることで役割を決めることです。例えば、営業を3年やってきたので、次の仕事も営業というような決め方です。
それに対し、やる気ベースはモチベーションの上がる役割を任せることです。
どちらの役割分担の仕方をするかは、その役割の重要度で決めればよいと思います。
今回はここまでです。よろしければスキ・保存・フォローお願いします!
次回はサブ要素について説明したいと思います。(サブはメインより重要でない、と思いませんか?全然そんなことないです→)
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