日本ワインとのペアリングに挑んだ一年
2024年も残りわずかになり、一年を振り返る時期が来ました。今年はたくさんの挑戦がありましたが、その中でも特に心に残ったのが「日本ワイン」との出会いと、それを軸にした新しい料理への挑戦です。今日はそのお話をさせていただきます。
レストランの改装と新しい挑戦
2024年は大きな変化の年でした。お店の改装を行い、カウンター席を倍増して8席のフルオープンのカウンターキッチンを導入しました。お客様との距離が近くなることで、料理の説明や食材についての会話が自然に生まれ、これまで以上に深いコミュニケーションが取れるようになりました。
カウンター越しでのやりとりは、料理人としての新しい発見の連続でした。お客様が目の前で料理の仕上がりを見守り、時には質問を投げかけてくださる。その緊張感が良いスパイスとなり、料理をさらに丁寧に仕上げるモチベーションになっています。
改装のために1か月間お店を閉めるという大きな決断をしましたが、その間も多くのお客様が応援してくださり、再オープン時には温かい言葉をたくさんいただきました。この改装は、お店にとって新しいスタートとなり、これからの土台を築く重要な一歩になりました。
日本ワインとフランス料理の新たな融合
改装を機に、お店のコンセプトを「日本ワインとフランス料理」にシフトしました。この挑戦のきっかけは、弟でありプロのソムリエでもある彼の存在です。弟は日本ワインに深い情熱を持っており、その影響で僕も日本ワインの魅力に気づかされました。
エルブランシュには、弟が厳選した500本以上の日本ワインを収めた特別なワインセラーがあります。この宝箱のようなセラーから選ばれる一本一本が、料理とのペアリングを考える上での新しい挑戦を生み出してくれました。
日本ワインは繊細な香りや味わいを持つものが多く、ペアリングを考える際には細部まで配慮が求められます。たとえば、信州のシャルドネには山菜を使った爽やかな一皿を、山梨のメルローには甘みのある鴨料理を合わせるなど、日本の素材を活かしたフレンチを新たに考案しました。この試行錯誤の過程は、料理人としての視野を広げる貴重な機会となりました。
日本ワインへの期待と感謝
日本ワインの知名度はまだ発展途上ですが、その品質は間違いなく進化しています。生産者たちの情熱や努力が詰まったワインを、料理を通じてお客様に届けることは、僕にとって新たな使命です。フランス料理との相性も非常に良く、そのペアリングが生み出す感動は、まるで魔法のようだと感じています。
今年は日本各地のワイナリーを訪れ、生産者の方々と直接お話しする機会も増えました。畑でブドウを育てる苦労や、理想のワインを追求する姿に触れることで、僕自身も大きな刺激を受けました。その背景を料理とともにお客様に伝えることで、日本ワインの魅力をより多くの方に知っていただきたいと思っています。
この挑戦を支えてくださったお客様、そして素晴らしい日本ワインを生み出す生産者の皆さんに、心から感謝しています。今年の挑戦は皆さんの応援があってこそ形になりました。
これからの展望
料理とワインのペアリングには、無限の可能性が広がっています。特に日本ワインはまだ未知の魅力を秘めており、その可能性を引き出すことで新しい食の体験をお届けしたいと考えています。
来年も引き続き、日本ワインとフランス料理の融合に挑み、お客様の記憶に残る一皿を作ることに全力を注ぎます。そして、料理を通じて日本ワインの素晴らしさをもっと広めることで、飲食業界全体の発展にも寄与したいと思っています。
最後に
2024年は挑戦の多い一年でしたが、それ以上に学びと感動に満ちた一年でもありました。来年も一皿一皿に想いを込めて、新しい挑戦を続けていきたいと思います。
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