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読書感想文『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
最近読んだ本『LIFE SHIFT2 100年時代の行動戦略』の前巻あたる本を読んだ。というのも、『LIFE SHIFT2』がマジでめちゃくちゃ面白かったから。
内容は、医療やテクノロジーの発達により長寿化していく世の中で、どのように生きていけばいいのか、少なくとも旧来の「教育→仕事→引退」という3ステージしかない人生ではなく、より多くの移行(=シフト)を経験していく人生となっていくが、これははどのようなものかを考察していく本。
長寿大国、日本。年金問題や終身雇用の崩壊、晩婚化、働き方改革など、間違いなく今の我々に関係してくる話題を深く掘り下げている。
内容はすごく面白いしためになるんだけど、やっぱり第2巻『LIFE SHIFT2』と比べると、ちょっと暗い論調に感じたし、考え方や例もやや日本離れしている気がする。その点、第2巻は日本人カップルの例(架空のキャラ)が出てきたりするので、すっと頭に入ってくる。
時間があれば1も2も読んだ方がいいけど、ないなら2だけでもいいかもしれない。あと、1から先に読んだ方が希望が持てるかも。
以下、気になった文章。
2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。
(略)
日本では、長寿化の負の側面が話題にされがちだ。この変化を恩恵ではなく、厄災とみなす論調が目立つ。
まさしくこれだよね。厄災。実際これを読むまではそう思ってた。
そう言わざるを得ない点もあるし、僕が生きている間にそれらの問題点が解決されるかもわからない。それでも、この本が示す指針に従えば、「長寿化の恩恵に浴する」ことができそうだと思えてきた。
そこで、3ステージ(教育、仕事、引退)の人生に変わって登場するのが、マルチステージの人性だ。たとえば、生涯に二つ、もしくは三つのキャリアをもつようになる。(略)
あなたの周囲を見てみてほしい。あなたの親戚や友人のなかにも、新しいステージを実践している人がいるかもしれない。
ここにいますよ!(笑)
僕の周りでも転職組は何人かいた。まだ「珍しい」寄りではあったけど、そのうちそうでもなくなる世の中が来るのだろうか。
では、テクノロジーが目を見張る速度で進歩し続けることは、雇用にどのような影響を及ぼすのか?ロボットと人工知能をめぐる議論は、どうしてもSF映画のような内容になりがちだ。昨今の議論はたちまち『ターミネーター』のように機械が人間に反乱を起こす世界に入り込むか、そうでなければ、『ブレードランナー』のように「意識とはなにか?」という哲学的議論に発展するケースが多いように思える。しかし、このテーマを論じるときは、地に足をつけ、テクノロジーがすでに雇用に及ぼしている影響を見ることから出発すべきだ。そうすると、なぜ多くの論者が雇用なき未来を予測するのかがよくわかる。
ここめちゃくちゃ笑った。確かにね。自分が知っている範囲でしか例え話はできないからね。
アイデンティティの変化は、本人にとって難しい経験だ。なにかが変わるときは、なにが変わらないのかが重要な意味をもつ。人類学者のシャーロット・リンデは、大勢の人たちのライフストーリー(みずからの人生や生活について語る物語)に耳を傾けた。すると、とくに際立っていたのは、一貫性をもった人生の物語を描くことに人々が多大なエネルギーを費やすという点だった。人生の物語が一貫性をもつためには、継続性(自分の変わらない要素はなんなのか?)と因果関係(自分に起きたどの出来事が原因で変化が起きたのか?)の両方の要素が欠かせない。リンデによれば、自分についての深い知識は、その継続性と因果関係の要素を形づくるうえできわめて重要だという。
仕事を辞めるというのも大胆な行動だったと思うし、そこからすぐに転職活動するのではなく、しばらくニートでいること、そして全く違う業種・働き方に行こうとしていることもまた大胆だと思う。ともすれば軽率だったかもしれない。
自分にはなにが残っているのか?ルフィのように仲間はいないが、何かは残っているはずだ。失ったものを数えないようにしていきたい。
長寿化は、不平等の克服につながる大きな可能性を秘めている。人生が多くのステージで構成されるようになれば、キャリアの滑り出しで失敗したり、初期に挑折を経験したりしても境回のチャンスを得られるからだ。しかし、不平等の原因が(健康、教育、人的ネットワーク、貯部への)投資量の違いにあるとすれば、さまざまな資産への投資の重要性が増す長寿化時代には、むしろ不平等が挑大する恐れもある。
ニート化もある意味(というか間違いなく)挫折・失敗と言えるよね。だからこそ今こうして色んな本を読んで自分への投資にしている。筋トレ器具も買ったりした。
面白い本だった。ただ、めちゃくちゃ長かった。
次はオモコロチャンネルで恐山が紹介してた『プロジェクト・ヘイル・メアリー』と、今Amazonで倫理学カテゴリ1位の『DIE WITH ZERO』を読むぞ〜。
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