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読書感想文 和田秀樹『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』を読んで
読書感想文。
本の内容は以下の通り。現代医療の進歩は目覚しく、延命はいくらでもできるようになった。しかし、大事なのは健康な心身でいられる期間の方であり、もし、認知症や寝たきりが深刻化しそうなら、やりたいことやって、じたばた(延命)せずさっさと死んだ方がいいのではないか、という著者の提言。
著者は高齢者専門の精神科医であり、人の死というものに人より多く触れてきた経験、および自信に起きた劇的な体調の変化(深刻な老化)から、このような考えに至ったようだ。
本文中で、
血圧は175/100mmHg(中略)で、良いとは言えない数字でも放っているわけです。(中略)それでも、食べたいものを我慢してまで長生きしたくない。ワインは毎晩飲んでいますし、週に5日ぐらい好きなラーメンを食べ歩いています。
とある。
…血圧175で週5ラーメンでも生きてます、は流石に生存バイアスすぎないか!?
それに、医者が「医者にかかるな」とは、随分と強烈なメッセージだな、と…
ただ、大事なのは「長生きして何がしたいかを自分で考え、医者に左右されない、自分でオールを漕ぐ人生を生きなさい」というところ。人として自然に生きて自然に死ぬ、そういったのが理想であり、周りの情報や医者の言葉に惑わされないようにしなさい、という趣旨。
正直な感想を言えば、「太く短く生きる」というのは、直ぐには賛成できない。医療大国日本で、しかも自分が高齢者になる40~60年後は、さらに医療が発達し、健康寿命がより伸びると思っているから。「太く長く」生きられるようになると思っている。実際にそうなるかはわからないけど、もしそうなったとき、不摂生や無知(健康診断に行かないとか)のせいで生きられるのも生きられないとなったらもったいないと思う。
ちょっと別の視点の感想、というか気づきだけど、なんか最近の世の中、ひろゆき然りホリエモン然り、なんか強烈で反骨的メッセージを発信してる人、増えてきてない?「今までの常識を疑いましょう」とか、頭では正しいとわかっていても、心がそれにすぐにYESと言うかは人によるよね。
この本も、読んでいて「自分がひろゆきとかのメッセージに触れた初期の頃のような気持ち」、つまり、「…ちょっと持ち帰っていいですか?」という思いで読んだ。
世の中、発信媒体も増えたし、色んな人が色んなことを言うようになった。大事なのは自分で情報を集め、自分で方針を決めること、これに尽きるなと思った。
医療系のトピックは、「へ〜、最新医療はこんなのもあるんだ〜!」みたいな発見もあり勉強になるので、これからも追っていきたい。
本書の最後に、「極上の死に方(ごくじようのしにかた)」を頭文字にして、死ぬときに後悔しないためのポイントをまとめたものがあるので、引用する。
ご 極上の死を迎えるために、自分が納得のいく生き方を貫き通す
く 苦しいことやわずらわしいことは、できるだけやらない
じ 自由気ままに暮らす。我慢すると心身ともに老化が加速する
よ 要介護になったら残された機能と介護保険をフルに使い、人生を楽しむ
う うかつに医者のいうことを信じない。治療も薬も選ぶのは自分
の 脳と体を使い続けて、認知症と足腰が弱るのを防ぐ
し 死を恐れれば恐るほど、人生の幸福度は下がる
に 人間関係が豊かなほど老いは遠のく。人づき合いが億劫になったらボケる
か 体が動かないとき、意欲が出ないときは「なんとかなるさ」とつぶやく
た 楽しいことだけを考えて、とことん遊ぶ。どうせ死ぬんだから
本書で言いたいことがここに全て要約されている。
(ちょっと長いと思う。「おかしも」って優秀なんだな。)