書籍【HUMAN ∞ TRANSFORMATION~日本企業をリデザインする、人起点の変革リーダーシップ】読了
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◎タイトル:HUMAN ∞ TRANSFORMATION 日本企業をリデザインする、人起点の変革リーダーシップ
◎著者:Ridgelinez株(編)、田中道昭(監修)
◎出版社:日経BP 日本経済新聞出版
富士通という会社そのものをトランスフォーメーションするための企画名称が「フジトラ」ということだ。
私が働く会社も、もちろん「変革せねば」と呼びかけてはいるが、当事者意識を持ってもらって、実行までに向かうのはなかなか難しい。
富士通と私が働く会社は、規模も社員数も全く異なる訳だから、単純に比較することは無理があるが、参考にできる部分があるかどうか。
当社も社員数が数百人程度いるために、正直言えば「自分がやらずとも」という意識の人が一定数存在していると思う。
全員が自覚して、自走する組織が理想であるが、現実的には無理がある。
これは当然で、ダイバーシティ(多様性)を認める以上、「変わりたくない」「一つの仕事を長く続けたい」と思う人の存在を否定することもできないだろう。
結局は、ポジティブな人もネガティブな人も、モチベーションが高い人も低い人も、色々な人がいる中で「どうやって全社が成長していくか」を達成することを目指すことが本質だ。
全員を一律の考え方に押し込めて、「ここに向かって進め」というのであれば、それはまさにトップダウンだし、過去散々やってきた方法だ。
このトップダウンが機能しなくなっているから、現場に権限委譲して、現場で解決させる方法を取る訳だ。
決まった手順で決まったやり方で成功していた時はよかったが、これだけ複雑化した社会になると、状況によって戦術を変えていかなければ、とてもじゃないが対応できない。
競技が野球からサッカーに変わったようなものだ、というのは良い例えだと思う。
打順やポジションが決まっている野球では、攻守が順番に訪れるが、サッカーの場合は、大まかなポジションはありつつも、戦況によって攻守も変われば、ポジションも入り乱れる。
まさに戦況に合わせて変化が必要であり、「私はこのポジションだから、そこだけ守る」という姿勢では試合に負けてしまう。
今まで野球型でしか経験がない社員に「これからはサッカー型です。頭を切り替えてください」と言ったところで、単純にいくはずがない。
「無理だ」と言ってしまうのは簡単だが、それでも何とかして対応しなければいけない。
時代の変化はそれだけ速度を増しているからだ。
今は競争優位であっても、ある日突然自社の優位性がひっくり返される可能性は十分ある。
常に変化することを受け入れて、困難に対応できる組織を作っておかなければ、本当にこれから生き抜いていくことは難しい。
富士通ほどの大会社がどうやって変革を進めているのか。
非常に興味ある部分だが、参考に出来そうな部分を取り入れていけばいい。
当社は遅ればせながら、まずはDX化と思っているが、これだけでも道のりは遠そうだ。
DXと言いつつ、単純にシステム化とか、デジタル化というだけではないのは分かっている。
結局は、富士通のような「4X思考」が必要になるだろう。
CX(カスタマー・エクスペリエンス:顧客)
EX(エンプロイー・エクスペリエンス:従業員)
OX(オペレーショナル・エクセレンス:運営)
MX(マネジメント・エクセレンス:経営)
という「4つのX」を主軸とし、テクノロジー(T)がベースになるのだという。
ここまでいくと「企業文化そのものを変える」という事と同意であるが、結局はそれが本質だ。
前述の通り、社員だって考え方は様々。
改革に対して、ネガティブな人だって、必ず一定数いる。
その状況の中で、「意識を変えていこう」と叫んでも、掛け声だけでは響かない。
社員が負担なく、意識をあまり変えずに、日々の行動だけを変えられるように「仕組化」することが大事だと思っている。
個人的には3点目の「OX(オペレーショナル・エクセレンス)」を、まずは最初に極めることが重要だと思っているのだが、どうだろうか。
(本書内ではそういう記述にはなっていない)
スマホだって、最初に誕生した頃は「使いづらい」や「電話だけなら、ガラケーで十分」という意見が多かった。
しかし、ものすごい勢いでUI・UXが改善され、使いやすさが極められると「これは便利だ」と使う人が一気に増える。
そうなると逆に、使っていない人がダサくなるし、ガラケーで電話しようなものなら「面倒なので、チャットにしてもらえます?」なんて拒否されるようになる。
結局、みんなでスマホを持たざるを得ない、という環境にしてしまえば、勝ちということだ。
これは、職場のPC普及だって、インターネットの普及だって、辿ってきた道は同じだった。
その時だってネガティブな意見の人はいたし、「私は絶対PCはやらない」などと豪語していた人もいたが、結局はやらざるを得なくなって、対応していた。
日本人は特に「恥」に対して敏感なので、「この波に乗らないのは、あなただけですよ」となると、結局は対応していくのだと思う。
当社のDXはこれからという感じであるが、人の気持ちを変えるのは時間がかかる。
まずは小さな行動から。
負担にならない程度の変更から進めていければと思っている。
道は遠いかもしれないが、やらなければ生き残れない。
そういうつもりで取り組んでいきたいと思っている。
(2024/12/3火)