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書籍【インターネットのカタチ~もろさが織り成す粘り強い世界】読了
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https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/4274068242
◎タイトル:インターネットのカタチ~もろさが織り成す粘り強い世界
◎著者:あきみち、空閑洋平
◎出版社:オーム社
改めてインターネットの仕組みについて知りたくなったところで、古本で見つけたために購入。
2011年発行なので、相当に古いと思うが、技術というのは連綿と積み重なっているものだから、きっと基本的な部分は今でも変わらない部分が多いだろう。
私自身は総務経理人事などのバックオフィス部門が長く、技術屋ではないのだが、根本的にこういう仕組みを知ることが好きだったりするために、ついつい調べてしまう。
経歴はバックオフィス部門で、総務経理人事も行いつつも、俗に言う「1人情シス」状態でもあったため、多少はこの分野も勉強したのだ。
すでにインターネットはオフィス内でも普通に使われていたが、まだまだクラウドを使うという時代でもなく、スマホも誕生していない時代だった。
それでもインターネットの可能性にワクワクしていた。
会社はインターネットに直接関係する仕事ではなかったが、当時のメンバーとはよくそんな未来の世界の話をしていた。
それから約20年が経ったが、当時の未来予測と今とがどれぐらい違っているだろうか。
構想はあっても実現していないことがあれば、逆に予測もしていない事態が起きているということもある。
予想が当たるか当たらないかということよりも、そういう夢を語るのが面白い。
歳は取ったが、夢を語り続けられる状態でいたいと思っている。
著者は「教科書ではなく、読み物を意識した」として本書を執筆したという。「なるほど」と唸る部分もあった。
一方で、私にとっては難しい部分もあった。
普段ユーザーとして接している分には、インターネットの仕組みについて、裏側部分まで理解する必要はないだろう。
しかしながら、こうして基礎的部分を知ることは、自己満足かもしれないが、単純に面白い。
「こんな仕組みで動いていたのか」
「今後、データ量は益々増大化していく。どうやって回避していくのだろう」
そんなことをアレコレと考えて想像してしまうのだ。
改めてインターネットの未来を考えてみると、今後も進化の歩みが止まるどころか、加速度的に進んでいくことは間違いない。
今見えている技術的なボトルネックは、課題がハッキリとしてるが故に、近い時点では解消されていくのだろう。
しかし、今のペースを考えてみると、明らかに新しい課題もドンドン出てくるのだろうと思う。
結局は「日々課題が生まれ、それを解消し」の連続なのだろうと思う。
喫緊の課題として上げられるのは、「データ量の莫大な増加」だと思う。
メタバース世界が普通になって、世界中の人がアクセスしたら、ネットワークのトラフィックはどんな状態になるのだろう。
データ量が増える一方なのだから、世界中のネットワークを経由するよりも、出来るだけ地産地消した方がよいだろう。そうなると、より分散化が図られる可能性が高い。
地域ごとのデータセンターの役割が相当に高くなるが、今の課題は大容量電力が必要なこと。
これが解消されたら、データセンターがもっと小規模化されて各地域に作られるかもしれない。
そうなると、エネルギー問題の解決が最優先とも考えられるが、省電力でも動くサーバーの開発も同時に研究されている。
当然、ネットワーク間でも超省電力で動くような開発がなされている。
エネルギーの課題と、超省電力サーバーとネットワークの開発がほぼ同時期に適えば一気に様々なことが加速するはず。
そんな時に、どんな社会になっているのか。
世界がひっくり返るくらいの状態になっている気がするのだ。
もちろん自動運転は日常になっているかもしれない。
人類全体の知能を超えたAIを使いたい放題という状況になっているかもしれない。
そもそも脳にチップを埋め込んで、それが常時ネット接続されていたら、世界は大きく変わる。
AIの知能が全人類にリアルタイムに共有され、見えている視界も共有される世界。
つまり、リアル世界にいる必要はほとんどなくて、ほとんどの生活がメタバースのような脳内チップの映し出す世界の中で完結できる。
リアルとバーチャルの境目が無くなる世界だ。(映画「マトリックス」のような世界か)
今現代を生きている我々は、リアル世界の方が馴染みがあるが、生まれた時からリアル&バーチャル世界のネイティブ世代は、根本的に我々世代とは生き方そのものが変わってしまうだろう。
そんな時代が、実はすぐ眼前に迫っている。
果たして人類はその変化についていけるのだろうか。
環境に適応した生物が生き残る、という適者生存の考え方は進化論の本質であるが、果たして自分は環境変化に対応できるのだろうか。
本書の副題は「もろさが織り成す粘り強い世界」であるが、果たして人間もそういう存在になれるのか。
1人1人は脆くて弱弱しい存在だが、人同士が繋がることで、強大な力を生み出す。
こう考えると、インターネットこそ人間が作り出したものだというのも頷ける。
やはりきちんと基礎を学ぶというのは、本当に大切なことだし、新しい発見があるものだ。
最新技術も大切だが、自分に足りていない基礎部分は、今からでも勉強を続けていく必要があると感じるのだ。
(2024/8/15木)