【目印を見つけるノート】1790. 雪の降る、ある雛祭りの日

尾方佐羽

2025年3月2日 17:37

もうすぐ咲きそうです。
何の花だと思いますか。

岩手県大船渡の山火事のニュースを見ています。おおふなトンも心配でしょう。どうか早く鎮火しますように。

今朝は近江の時習斎についての研究発表資料も見ていました。

さて、
きのうも再び千代田区に出没していました。

日比谷図書文化館で開催中の『特別展「実録桜田門外の変」』を見つつ、講演会にも参加してきました。

先日、水戸学の藤田東湖と吉田松陰について講座を受けたので、採れたての野菜ぐらい話題として新鮮です。
飯野ビルで腹ごしらえしてから行きます。

そういえば学生だった頃、
このビルに入っていた証券会社でアルバイトをしていました。その証券会社も合併が二度あって、もう支店の跡形もありません。ビルの他のテナントもまったく違いますし、ビル自体も建て替えた模様。

私、もしかして浦島太郎？

これまでなかなかオツな場所で働いていました。全部は一時にいえませんが、例えば霞ケ関なら官庁街です。そこが職場というとピシッとした感じです。
でもどこにいても、まあ、その街っぽくならなかったです。

もとい、特別展。
「実録」と銘打っているだけあって、事件にまつわるさまざまな文書（伝聞も含む）や後の描かれ方など実に多面的です。

事件のあらまし、実行者たち、襲われた側、最初は秘匿された大老の死が全国に伝わるのにどれぐらいかかったのか、それにまつわるさまざまな立場の手紙・記録、実行者たちのその後……本当に実録（ルポルタージュ）です。それをよりリアルにする色刷り絵（版画）の数々。それらを比較検証しているのもルポルタージュです。
月岡芳年（大蘇芳年）さんの錦絵は息を飲む凄まじさです。前々からその凄さは拝見して存じてはいましたが、ここでしばらく思考も止まってしまいました。

常々、視点や焦点を変えて見るように心がけていますが、それがドンと形として呈示された印象です。この事件とその後の全容に迫る、たいへん見ごたえのある展示でした。

そこから、同じ場所のフロア違いの講演会に向かいます。この特別展の関連講演会『桜田門外の変の描かれ方』で、講師は東京学芸大学・大石学名誉教授（静岡市歴史博物館館長でもあります）です。

講座では井伊直弼のプロフィール（紆余曲折のある方です）から井伊家の位置付け、直弼の当時の評価、「桜田門外の変」の経緯についていろいろな方の文書資料を引きつつ紹介されました。評価などは本当にてんでバラバラで、一概にいいとか悪いといえるものではありません。将軍擁立で対立していた人々からすれば好機ですし、寄せてくる現状を何とかしようと思う人々からすれば恐怖でしょう。
大石名誉教授はNHKの大河ドラマの時代考証も多く担当されています。それでご担当されたいくつかの大河ドラマ、映画のセリフなどからその複雑さを解かれました。
該当する部分の映像もふたつ流れました。
『新選組！』と『篤姫』です。
講演会なのを忘れて見入ってしまいましたが、確かに立場によって受け止め方が両極に分かれることが理解できました。ドラマではそのあわいをうまく表現していると思います。
『龍馬伝』でも、熱狂している一同に龍馬はちょっと距離を置いていましたね。

大石教授はお話の中で例をあげて「今でもこの事件のしこりは残っている」と説明されました。
そして最後に「受け止め方は立場によって変わります。ここから何を学ぶかが大事です。生命の大切さ、暴力の恐ろしさを見れば正当化するような話ではありません。ドラマなどはいろいろな立場で描かれますので、今のリアルを見ながら読み取るリテラシーも必要だと思います」と締めくくられました。

（うなずく）

講演は１時間半でしたが、もっと聞きたいと思う講演でした。
終了後、
この流れで行かないという道理はありません。てくてくと桜田門に向かって歩きます。途中でヴィジュアル系の野音と鳥に捕まりますが、無事に到着。