【詩です】Route1のファンタジー
遠くに行きたいという
ぼんやりとした渇望は
本当に足止めされると
奇妙に具体的になるし
さほど遠くもなくなる
横浜のみなとみらいに行こう
江ノ島で生しらす丼食べよう
箱根の源泉掛け流しがいいね
歩いてすぐのこの道路に立つと
身体を風が吹きぬけるよう
総延長758.8kmをただひたすら
進んでいけば大阪に着く
乗り換えもETCもなく
たった1本の道だけで
横浜も江ノ島も箱根もこの道で行ける
小田原のちょうちんも買ってこれるし
浜名湖の鰻で満腹にもなれる
織田信長の城だって見に行ける
自分なら刈谷だろうと目星をつけて
地図を眺める
目的地だけが目的ならば
点をふたつ打てばいいけれど
通り過ぎる景色すべて
線やら面や立体でつなげてみる
想像が愉しい
それならばどこまでも行ける
夜のとばりが降りた国道1号線から
なにかが広がっていくようで
ふと振り返る
尾方佐羽