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【目印を見つけるノート】11. 一面だけで、人は、はかれない

⚫アレクサンデル6世の愛情

きのう、ゲーム関連のニュースでひとつの紹介記事を見つけました。

教皇がモデルのゲームということで、あ、もしや……と思ったら、やはり16世紀初頭の教皇、アレクサンデル6世でした(出典は後述)。『信長の野望』と同じ路線でしょうか(日々いくさではないですが)。
ゲームは基本的にやらないのですが、思うことがありました。

16世紀の歴史の話になりますが、お付き合いいただけますと嬉しいです。

私は3年前、一編の小説を、チェーザレ・ボルジアを切り口にして書きはじめました。今も執筆中です。15世紀末から16世紀はじめにかけて名を馳せた人です。
そこで、彼の父親であるアレクサンデル6世のことも書きました。
かの教皇は史実によれば、身びいきをしていましたし、蓄財もしましたし、親密な女性もいましたし、子どももいました。人事などを見ても権力であるとか政治が常に頭にあったと思います。私もはじめは計算高くて冷徹な人だという印象を持っていました。

でも、その先入観でしくじったことがあったのです。

チェーザレ・ボルジアの弟であるガンディア公ホアンはローマで不慮の死を遂げました。
平たく言って、暗殺されました。
真相ははっきりしなかったようですが、兄のチェーザレが部下に命じて暗殺させたと考えられています。
父親である教皇はたいへん嘆き悲しみました。血眼になって真犯人を探しますが、途中で調査は打ち切られました。おそらく、兄が弟を殺させたのだと分かったのでしょう。
その理由については、本人に聞いてみないと分かりません。
いずれにしても、私はその時点で教皇はチェーザレを恨んだり、少なくとも距離を置くようになっただろうと思ったのです。

でも、そうではありませんでした。

チェーザレはそれまでの枢機卿という高位の聖職を返上しイタリア半島制圧に取りかかります。教皇軍の総司令官として。
前代未聞の転身です。
この一連のチェーザレの行動を、教皇は冷ややかに見ていたのではないかと私は思いました。ホアンのこともありますし、チェーザレの野望の大きさが自分の手に負えないとも思っていただろうとも。それですので、あまりチェーザレの行軍を歓迎していない前提で書きすすめていました。

(サイト用に描いたタイトル画です)

それは、『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』(塩野七生著 新潮文庫)を読み返していたときにひっくり返りました。
教皇がチェーザレを全面的に支援していたことがわかったのです。身内の不祥事を隠したいとか、ローマを守る軍事力が必要だったなどの計算もあったでしょう。でも私はその史実に、煩悶する、それでも子を許す一人の父親の姿を見つけました。
なので、少し書き直しました。

人は一面だけを見るべきではない、と強く感じたできごとでした。いい勉強に、教訓になりました。

ゲームの題材になるほど高名なアレクサンデル6世ですが、イタリア戦争のとっぱじめにフランスのローマ侵攻を辛くも止めたり、思惑は見え隠れするものの本初子午線を定める仲介をしたりもしています。そういった面も見てもらえればいいなと思っています。ゲームではそのような内容もあるようです。

今はその3代あとの、クレメンス7世を書いていますが、そのようなことは念頭に置くようになりました。

しかし、最近また「あっ」と思う史実を見つけました。クレメンス7世の前のハドリアヌス6世(在位1522~24)のときにローマでペストの流行があったということです。この時期にフランスで同様のことがあったのは把握していたのですが、ローマのことは恐れながら知りませんでした。ハドリアヌス6世を、「教会改革の途上で倒れた教皇」として書きましたが、ペストの終息に向けて祈りを捧げていたことを改めて書き加えたいと思いました。

それを教えてくださったのは、現フランシスコ教皇についてのニュースでした。ありがとうございます。

そのように、いろいろと教えてただきながら、書いています。

きのう自分のnote公開の10分後に塩野七生さんのお姿を見つけて仰天いたしました。憧れのかたなのです。こういうこともあるのですね。

出典などは以下の通りです。

・『史上最悪の教皇の人生をテーマにしたアドベンチャー『The Pope: Power & Sin』発表。暗殺や謀略で地位を守り、宗教を利用して一族の繁栄を目指せ』
https://news.denfaminicogamer.jp/news/200413a

・『16世紀のオデュッセイア』(おがたさわ)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/793313132/416136725

・『教皇、ローマの2教会でパンデミック収束を祈る』(バチカンニュース)
https://www.vaticannews.va/ja/pope/news/2020-03/preghiera-salus-populi-romani-san-marcello-al-corso.html

・『コロナウイルス騒動 人(国)みな本性を現わす|塩野七生|文藝春秋digital』 @gekkan_bunshun #note https://bungeishunju.com/n/n80f0f8ae73b4


⚫お籠りは引き続き

きのうは終日けっこうな量の雨でしたので、ベランダ写真館もできません。クラフトの方はお休みでした。

Amazonに頼んでいた本とCDが来ました。
・『お金の減らし方』(SB新書)
・『子供の科学』5月号(誠文堂新光社)
・『Mojo Hand』(Lightnin' Hopkins)

『お金の減らし方』から読んでいます。
減りますね。

そうそうのんびりしている場合ではありません。各種手続きを見落としなくしなければ。きのうは健康保険について電話で役所とやり取りをしました。年金もじきに来るでしょう。住民税は6月まで済んでいます。そのうちに失業給付の初回認定日がやってきます。

いっそ視点をくるっと変えてみようと思います。
数日は、にわか社会保険労務士のようになるでしょう。

このようなことは書かないほうがいいのかもしれませんが、このようなことを考えている方もいらっしゃると思うので、いいかなと思いました。noteの初回からハローワークですし(苦笑)。
あ、書くお仕事がありましたら、ご用命を。

ただ、暮らしていく。
そして、書いていく。

そのような趣旨です。
バラは元気です。

それではまた、ごひいきに。

おがたさわ
(尾方佐羽)

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