【目印を見つけるノート】65. 下北沢 in my life
きのうは3回、救急車の音が聞こえました。
⚫地味な下北沢近辺暮らしの日々
20代の半分は世田谷区の代田というところに住んでいました。
その前も結構移動していたのですよね。生まれたのが東急病院で、そのときの大田区から荒川区、北区、荒川区、足立区、荒川区と下町ロードをまっしぐらでした。
間を開けて長く続いたテレビドラマ『3年B組金八先生』を想像いただければ、かなり近いイメージだと思います。
それから家族とも下町とも離れて、高円寺(杉並区)に移りました。特に、「どうしても高円寺じゃなきゃイヤだ」という選び方ではなかったのですが、本当にいいところでした。
『仲屋むげん堂』で買ったピアスを付けたいがために、穴を開けたりもしました。1年しかいなかったけれど、靭帯を切ったりもしていろいろと劇的な時期でした。
高円寺の話は改めて。
そこから世田谷の代田に引っ越しました。小田急線の世田谷代田から徒歩5分のアパート。今はもうありません。
なぜ、世田谷区に引っ越したかというと、笑われるかもしれませんが、好きなバンドが下北沢(隣駅)のライブハウスに出ることが多くなったからです。
平日のライブだと、仕事帰りに行って、ライブハウスから電車でうちに帰るわけですが、最後の一行程をはしょりたかったのです。下北沢から高円寺も決して遠くはないのですが、「明日の仕事」の絡みです。ライブハウスから徒歩10分でうちに着いてバタンと寝られるというのは素晴らしい環境でした。
なんて地味な理由でしょう!
もっと派手なエピソードはないのでしょうか。
ええ、当初はいろいろ想像していました。友人と連日飲み明かすとか、ライブハウスのVIPになるとか(大爆笑)……いやいや、やる気になればできたのでしょうけれど。
いやいや、本当に地味でした……。
ライブハウスはひとりで行くことが多かったですし、知り合いや友人と会っても通飲するようなことはありません。せいぜい喫茶店にちょっと寄ったりしたぐらいです。
喫茶店は一人でも頻繁に行きました。『カフェトロワシャンブル』が行きつけだったかな。
バンドの出待ちもしませんでしたし、打ち上げなんて滅相もない。
いちど、学生バンドマンにガレージ系バンドの人を紹介してもらうので、『ジャンプ亭』という飲み屋さんで飲んだことがあるけれど、どんなに頭の中をひっくり返してもそれしかないですね。しかも仕事のエッセイを頼むためという、地味な理由です。
あ、具体的なバンド名は出しません。
今は駅も駅前もだいぶ変わりましたね。
⚫ひとつのエピソードを
前にこんな話を書いたことがありました。
下北沢のライブハウスといえば、シェルターによく行っていました。
当時は現在ほどライブハウスも多くはなかったです。古株の屋根裏はありましたが、Queも251もしばらくしてからできたかと。シェルターもまだ新しくて。
対バン(出演者が複数)が多いときなどは、よく壁際の床に座り込んで、幕間にゲラを読んでいました。当時は月刊誌などを作っていましたので熱心に赤ペン(常備)で書き込んでいました。やれと言われれば道端でもできました。
ヘンな客です。でも、ライブハウスって放っておいてくれるので、心地よくできました。
あるとき、ふっと、すぐ左側に立っている人を見上げました。痩せていて背の高い人でした。幕間でもずっと動かず左側に立っていたので、不思議に思ったのです。入れ替え制ではないですけれど、結構人は動くのです。
えーと、ミュージシャンの方でした。
出演するバンドの人ではなかった。
こういう時はどうするのがいいのかしら、と一瞬思いましたが、結局ゲラに没頭し、バンドが出てきたら立ち上がってを繰り返しました。
混んでいないのに左隣はずっと同じ人で、うーん。
そのうち、スタッフの人が彼に気づいて、「◯△◯△さん、何でそんなところにいるの。カウンターで飲んだら」と言いました。
私は内心ほっとしました。そうだ、そうだと思いました。
すると、◯△◯△さんは驚愕の一言。
「ああ、あとでね」
ち、ちょっと待ってください。やっぱり、ミュージシャンは平場の壁際などではなくカウンターで飲まないとダメでしょう(汗)。
さらに落ち着かない時間が続きましたが、ゲラは見終わりました。
⚫ライブ以外もあります
そのていどのエピソードしかないのかといわれると悲しいですが、とっておきの話は胸にしまっておくということです(微笑)。いずれにせよ、地味です(苦笑)。
今も(たった今は無理ですね💧)ライブを見に行きますが、前とは少し違う感じで一回いっかいを大切に拝見しています。
昔がすごく熱を上げてショートするような「好き」だったとすれば、今はちょっと違います。
まるごとギュッとしたくなるようにいとおしいです。
▲今年オープンの『Flowers Loft』さん
音にどっぷり浸かって、その時間の中でぷかぷかとしていたいなぁ。ライブに早く行けるようになってほしいな。
もとい、
ライブハウスだけが下北沢ではありませんでした。
必ず覗いていたのが、博文堂下北沢店です。2階もある町の書店で、いい感じにいろいろ揃っていました。7年前に閉店したのですね。
・そのことを書かれている方のブログ
https://blog.goo.ne.jp/tokyoboy00/e/2dcc3e5efff2d145ce7488c0988f6e04
あの規模の『町の書店』はもう東京23区には数えるほどしかないのではないでしょうか。私が行く範囲で知っているのは、吉祥寺の『ブックス・ルーエ』さんぐらいです。ブックカバー大好きです。
今は個性的な書店が増えていてとても嬉しいのですが、『町の本屋さん』についてだけは、ちょっと淋しい気もします。
いくつもの古着屋さん、中古のCD屋さん、できたばかりだった『ヴィレッジ・ヴァンガード』、古道具屋さん、花屋さん、うつわ屋さん、『ふらんす亭』や『王将』や『シェ・リュイ』、みそパン屋さん、パスタ屋さん、メキシコ料理屋さん、ラーメン屋さん、胃痛で通ったお医者さん、今でも未踏の『レディ・ジェーン』や『スズナリ』……今あるところもないところも、全部好きでした。
In my life I love them all.
そして、
In my life I love you more.
(by THE BEATLES)
⚫お籠りクラフトとばら
きょうもイヤリングを。
ひとつは金色のわっかにアメジスト、そしてフェイクのバロックパール。
もうひとつは銀色。雨粒のイメージです。
もう少し雨が頻繁になったら、ばらに覆いを掛けるか考えています。
それではまた、ごひいきに。
おがたさわ
(尾方佐羽)
追伸 日曜の朝(Sunday Morning)といえばヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲ですが、私はあのアルバムではこの曲が好きです。「わたしがあなたを映す鏡になりましょう」という歌です。
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