(第4話)問題山積の長崎の斜面地。そこは空き家天国だった。 都市のエッジに新しい街を作ろう!
1軒目の木造民家を宿泊施設としてオープンさせてしばらくすると、地域の人とも徐々に交流がうまれた。
長崎は古くからの港町で、三方を山に囲まれ平地は極端に狭い。人口が増えると山を削って畑にしていたようだ。戦後は人口増加と経済成長にあわせて、ますます人は平野部から溢れ、山の中の段々畑に住宅を建てていった。
あぜ道をそのままに家を建てたため道幅は狭く、階段状の道だけが残され、大きな問題となっている。車が進入できないので、資材の搬入は困難。住宅の建て替えは進まず、住民の高齢化も進む。
地形的な制約によるアクセスの悪さ、住民の高齢化、建物の老朽化による空き家の増加。この問題を自分のアイデアで解決できたら面白い。
戦後、交通インフラを整える前に畑を住宅用地に変更したことが、現在の長崎の空き家問題の根本的な原因のひとつだろう。
△市街地に近い山裾は畑として開墾された。戦後、交通インフラを整える前にこの畑を住宅開発したことが現在の長崎の空き家問題の根本的な原因の一つだと考える。
住宅としては既に役割を終えている家屋が立ち並び、高齢者には坂の上という立地が厳しく現地では買い手がつかない場所。しかし、見方を変えたら街に直ぐにアクセスできる駅から徒歩10分圏内の立地は魅力的ではないだろうか?
空き家も使い方を変えたら何とかなるのではないか。
「若者や学生向けのシェアハウスはどうだろう?」
「眺望がいいからカフェやバー、レストランってのは?」
アイデアはいくつも出てくるが、どれも難しそうなことは容易に想像がつく。
若者や学生向けのシェアハウスは悪くないアイデアだと思うし現にいくつかある。カフェやレストランもやりかたによっては成立するだろう。しかし、どちらも私にはノウハウがない、採算ベースに乗せれる自信がない。
やはり最初はノウハウのあるホテルだ。なんてことはない民家を美しく改修して、眺望の良いホテルを作れば、これまでに出会った海外の彼らなら物珍しさと私の想いに共感して利用してくれるんじゃないか?
周りには似たような空き家が沢山ある。上手くいくなら、客室を増やしていこう。
利用者が増えれば飲食店や物販店を開くことができる。
空き家が崩れて空き地になっている場所は農園にしてもいい。そこでとれた野菜を収穫して宿泊客に食べてもらったり、加工して販売したりもできるだろう。
もとは畑だった土地だ。不可能じゃない。
客室が増えれば、スタッフが必要になる。住み込みのスタッフのために家を用意しなければならない。スタッフが増えれば、食事や日用品を買う場所だって必要になる。
物販店を開くなら販売するものが必要だ。海外の感度の高い人向けに地元の伝統工芸と掛け合わせたデザイン性の高いものが喜ばれるんじゃないか?
伝統工芸作家に客室の一部屋を無料で提供して、販売までしてもらう。そして、販売代金の一部を貰う形にすれば負担も少ないし、外国の人にも喜ばれる。
シェフがしばらく滞在して、農園でとれたものを使って料理して期間限定でレストランを開いたり、バケーションと言うより日常の延長線上のような空間を提供できれば面白い。
定住と旅行の間の……そう、ワーキングホリデーのような 1ヶ月から1年未満くらいの期間だけ滞在をする人、旅行者、そして定住者の3者が共存する街。
リゾート地ではなく、ある程度インフラの整った地方都市の、繁華街に近い割には斜面地故に空き家が増え過疎化しつつあるこの場所(=都市のエッジ)こそできることじゃないか!
△空き家を改修してホテルや店舗にする計画図。
ホームページに掲載したABOUT STORY(駅前でもないリゾートでもない。
都市のエッジの空き家をホテルにリノベしているワケ。)の文章を分割して掲載しています。続きが気になる方はコチラから全文が読めます。
https://www.nagasaki-guest.com/story
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