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「壁」というプロパガンダに騙される日本人

「103万円の壁を突破しても、次は社会保険料の壁が待ち構えていて、手取りは増えない」というニュースが、連日メディアを賑わせている。壁がひとつ取っ払われても、次から次へと新たな壁が立ちはだかり、手取りが一向に増えないという論調。そして、その複数の「壁」を越えるためには、制度設計を抜本的に見直す必要があるとする主張が、ある種のプロパガンダとして広まっているように感じる。

私はこのようなニュースの流れに、国民を不安に陥れようとする意図が見え隠れしていると考える。いくつもの「壁」をわざわざ並べ立て、制度がいかに複雑で、どう頑張っても報われない状況だと見せつける。それによって、人々は「何をしても意味がない」「自分たちはどうしようもない」と感じ、将来への希望を失ってしまう。しかし、これこそがプロパガンダの狙い。複雑さを強調し、不安を煽り、行動を萎縮させようとする者がいるのではないかとさえ思う。

控除額の引き上げと社会保険料は分けて考えるべき

私が言いたいのは、控除額の引き上げと社会保険料の制度は、別個に考えるべきということ。なぜか?控除額の引き上げによって、働きやすくなり、勤労意欲が増す人々が増えるのは確か。それに対して、社会保険料には確かに一定の負担があるが、支払った分に見合うリターンも期待できる。年金や医療の給付を受ける権利が蓄積され、将来的な安心が増す側面があるからだ。

また、社会保険料については、特に高齢者の医療負担の見直し余地があると考えている。医療負担の世代間のバランスを見直し、無理なく支払える仕組みにすることで、負担は軽減できるはず。だからこそ、控除額の引き上げと社会保険料は別個の問題として考える必要がある。あえてそれらを同列に並べ、次から次へと「壁」を並べ立てるのは、国民を混乱させ、行動の自由を奪おうとする意図があるとしか思えない。

複雑さを見せつけられても、その手には乗るな

このように「複数の壁があるから意味がない」と言われると、まるで自分たちの努力が無駄にされるかのような気がしてくるだろう。だが、これがプロパガンダの手口。制度を複雑化し、それをわざと強調することで、国民が「どうせやっても無駄だ」と考えるように仕向けている。複雑に見えることで考えない人々が増えることを、彼らはよく理解している。

だが、ここで大事なのは、その手には乗るなということ。冷静に制度を分けて考え、控除額の引き上げが持つ効果を見定め、社会保険料についてもそのリターンを冷静に見直すこと。「壁」があるかのように見える状況に惑わされず、真に必要な政策の効果を見極めて行動していこう。プロパガンダに流されることなく、自分たちの未来を支えるための選択をしていくことが重要。

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